個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

本気で頑張れる自分になりたい人は行動目標を立てろ

せっかく目標を立てたのに、どうも行動できない。あるいは行動が途中で止まってしまう。そんな時、「これは本気出取り組みたい目標じゃなかったんだ・・・本気になるにはどうしたらいいんだろう・・・」そう考えてしまうことがあります。

この問題の根幹には、そもそも「本気で行動する」ということへの勘違いがあります。本気だとかモチベーションだとか書くと、積極的に行動するための原因のように思えますが、実際のところ行動には関係ありません。

本気で行動する自分になりたいのであれば、本気になる方法を考えるのではなく、本気だろうと本気じゃなかろうと行動できる方法を探すといいでしょう。まずはあなたにとって本気だと思える基準の行動目標を立ててみることをお勧めします。

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本気じゃないと思えるのは目標が高すぎるから

本気で目標に取り組めないモチベーションの低い自分

エピソード1:講座に集客に消極的な自分

独立してからセミナーや講座を開講することがあります。自主開催なので、自分で集客をしなければいけません。ところがこれが大変なのです。メルマガやブログで告知しても、殆ど申込みがありません。そんな経験を何度もすると、集客に関わる行為に消極的になるもの。

こんな僕は集客に本気で取り組んでいないのでしょうか?

エピソード2:承認をもらうことにウンザリ

これは会社員だったときのこと。ある客先に常駐し、客先の社員に混じってプロジェクトに従事していました。ある時、議事録を書く担当になったのですが、面倒なことに、議事録を書いた後はそれを参加者全員に回して、一人ひとり承認印をもらう必要がありました。

で、最後の方になって「こんなこと言ってないんだけど」と言い出す人がいまして、「そうですか」と議事録を書き換えるのですが、そうするとまた最初から承認してもらわなければなりません。もうウンザリです。

こんな僕は仕事に本気で取り組んでいないのでしょうか?

本気やモチベーションは行動の原因ではない

行動してもポジティブな変化が生じない、あるいはネガティブな変化が起きる場合、ヒトは行動に消極的になります。やる気や本気度の問題ではありません。その状態に陥った後、自分の状態や行動の状況を評価して「本気じゃない」「モチベーションが低い」と考えてしまうのです。本気度やモチベーションは行動の原因ではなく、行動した後に結果論で分かった評価・レッテルでしかありません。

限界ギリギリまで頑張らないと本気じゃないように思える

エピソード3:限界ギリギリまで頑張ることが本気?

あなたはどれだけ頑張ると、自分が本気だと思えるでしょうか。

会社員をしながら副業を始めた時のこと。会社から帰ってプログラムを書いたりしていました。疲れているので、次第に眠気が強くなり体が船をこぎ始めます。今日も限界まで頑張ったと思い、就寝。このパターンは会社を辞め、独立してからも続いていました。

頑張りを時間や疲労感で確認すると・・・

このような頑張り方をどう評価すればいいでしょうか。どれだけの時間働いたか、どれだけ疲労しているかで自分の頑張り度合いを測っています。確かに、今日一日を限界まで頑張ったと言うことはできるかもしれません。

しかし、このような頑張り方は翌日に響きます。睡眠不足になるし、疲労も回復しきれません。翌日、疲れた身体を引きずって帰宅し、あまりの疲労に「今日は無理だ・・・」と挫折するのです。後になって、なんでもうちょっと頑張れないんだろう・・・と考えてしまうのは分かっているのに。

長時間労働や疲労感で「頑張ったフリ」をしている

時間や疲労感で頑張りを測るのはナンセンスです。中長期的にみれば大したパフォーマンスを発揮できません。頑張ったフリをしているだけです。

そもそも、パソコンに向かっている間、一心不乱に作業していたかというとそういうわけでもありません。疲れているので集中力もありませんから、現実逃避に費やした時間もかなりあるでしょう。非効率的なのです。

なぜ本気ではないと感じてしまうのか

感情では本気度を知ることができない

そもそも僕たちは自分の本気度合いを、どのようにして知るのでしょうか。感情の盛り上がりでしょうか。確かに感情的に盛り上がっている時、本気で何かに挑めるような気がします。しかし、このような感情は長続きしません。数日経てば、いつものテンションに戻るのです。

本気度は結果論でしか分からない

では何をもって本気かどうかを知ることになるのかというと・・・それは「実際に行動したかどうか」です。どんなに熱く盛り上がろうとも、行動できないまま日が経てば、あなたは「本気じゃなかったんだな・・・」と思ってしまうことでしょう。つまり、当初本気だったかどうかは、結果的にしか分からないのです。

そもそも行動するかどうかに本気さは関係ない

ヒトの行動は、その行動に伴う「変化」によって制御されています。行動にポジティブな変化が伴えば、行動は継続します。そうでないなら行動は止まってしまいます。この行動のメカニズムに、本気だったかどうかなんて関係ありません。

にも関わらず、僕たちは自分の行動の結果を観察し、自分が本気だったかどうか、モチベーションが高いかどうかを評価しようとするのです。

本気じゃないと感じてしまうなら、その目標はいまは高すぎる

目標を持って頑張ろうとしている時、目標に対して能力やリソースが不足していると、基本的に行動してもポジティブな変化が起きません。なかなか成果が出ないのです。当然、行動は止まりやすくなります。

本気じゃないから行動が止まるのではありません。目標の難易度が今の自分には高すぎるだけなのです。

本気の行動的基準と行動目標

本気で行動するとはどういうことか?

感情や思考で本気度を測ってはいけない

本気で行動しているかどうかを、感情や思考によって判断してはいけません。感情や思考はその時々で揺れ動くものです。常にポジティブな感情・思考だけを感じ続けることはできません。

行動に対して常に「ポジティブで積極的な感情と思考」であることを本気の証拠とするなら、本気であることはとてつもなく困難なことになるでしょう。

結果が出ているかどうかで本気度を測ってはいけない

また、結果が出ているかどうかで本気さを判断してはいけません。

行動に結果が伴えば、一般的には嬉しいことだと思います。努力が実を結び、報われたようにも感じられるでしょう。

では、反対に結果が出なかったらどうでしょうか。頑張っても結果が出ないというのは辛いものです。多くの場合、そこで挫折し行動を止めてしまうでしょう。行動を止めてしまった後、振り返って「結果が出るまで頑張れなかったのは本気じゃなかったからだ」などと評価してしまうかもしれません。

最終的に結果が出るまでやれたから本気なのか?

結果を基準にすると、結果が出るまで頑張れたから本気、途中で止めたから本気ではない。そうなってしまいます。

しかし、結果とはそれが社会的なものであればあるほど、偶然の影響が強くなります。○○をしたから成功した、などということはありません(そういうのは大抵後付けです)。

成果が出るかどうか、そのきっかけを掴めるかどうかはランダムに決まります。サイコロを振るようなものです。本気かどうかの判断を運に任せるのは、どこか違和感を感じませんか?

本当に大切なことは、いつでも行動できる工夫

以上を踏まえた時、僕は次のように考えます。

結果が出ない時でも、気分が落ちている時でも、不測の事態が生じた時でも、行動が継続する工夫をしておき、実際に粘り強く行動している状態を作ることが重要なのです。

成果目標から行動目標へシフトする

成果目標と行動目標の違い

目標には2種類あります。成果目標と行動目標です。

成果目標とは、期限までに一定の成果を出すことを目指すもの。成果が社会的なものであれば、先ほど書いたように偶然の左右する割合が高くなります。一方、行動目標とは、「一定の基準の行動を実行すること」を目標とするものです。

例を使って説明しましょう。成果目標の一つの例は、例えば「半年後にブログのアクセスを月間10万PVにする」といったものです。それに対して行動目標は「90日間、毎日1000文字以上の記事を投稿する」といったものになります。

成果目標は頑張っても達成できるかどうか分かりません。一方で行動目標は、自分が行動できさえすれば達成可能です。

自分が本気だと思える基準の行動目標を立てる

要は「これだけ行動できれば本気だと思える基準」で行動目標を立てればいいのです。

行動目標を立てる時は、具体的にどのような行動を実行するのか、またその行動をどの程度の量、どの程度の期間実行するのかを決めてください。行動目標を達成したかどうかを客観的に判断できるようにしておきましょう。

行動目標を達成するとどうなるか

本気で頑張れた自分になれる

行動目標の達成報酬は「本気で頑張れた自分」です。

結果が出ようが出まいが、気分が盛り上がろうが落ち込もうが、最初に決めた「本気基準」の行動を続けられたのです。それってなかなか凄いことではないかと思うのですが、どうでしょうか。

ベストを尽くしたことの証拠になる

過去の僕自身の経験では、「とにかく90日はブログを毎日更新しよう」だとか「プログラミングの練習としてチュートリアル本の内容を1週間で終わらせる」とか「とあるコンテンツを3ヶ月以内に完成させる」といったものがありました。

それぞれ欲している成果もあったのですが、成果に到達できたかどうかはさておき、その時の自分の状況からすればベストを尽くせたと思えます。

精神論では続かないので行動を継続させる工夫が必要

行動できさえすれば、行動目標は達成できます。つまり本気で行動できたことを実感できます。

とはいっても、目標を達成するまで行動を継続するのは結構大変です。精神論や根性論では行動目標を達成することはできません。結果や感情がどうであっても、自分で設定した本気基準の行動ができるように工夫しましょう。

本気で頑張れる自分を作る

ヒトはなぜ行動するのか?

強化の原理、弱化の原理を知っておく

行動が続くよう工夫するためには、ヒトの行動の原理原則について抑えておく必要があります。

何度も繰り返しますが、僕たちは行動に伴ってポジティブな変化が生じれば、その行動を同じ状況で何度も繰り返すようになります。これを強化の原理といいます。強化の反対は弱化といいます。行動に伴って嫌悪的な変化が生じると、行動の頻度は低下します。

本気さやモチベーションは行動の原因ではない

要は行動が継続するには、行動が強化される必要があるのです。

本気だからとか、本当に望んでいるからとか、モチベーションが高いといったものは、行動の原因にはならないのです。それらは基本的に「その人の現在の状態」について説明したものであり、これからの行動について直接的な関係はありません。

強化の原理を踏まえた工夫が必要

目標を持って行動しようとするとき、行動によって「成果というポジティブな変化」が生じるまで、時間がかかることがあります。小さな小さな自覚できない程の変化を、長い積み重ねることを求められることもあります。

このような場合、行動にすぐポジティブな変化が伴わないため、行動が定着しにくくなります。そのままにしていては、行動が止まってしまいます。強化の原理を踏まえた工夫が必要なのです。

行動しやすくする工夫

行動に「分かりやすく」「確実な」変化が伴うようにする

簡単にいえば、行動に「分かりやすく」「確実な」変化が伴うように工夫すればいいのです。そうすれば行動はその変化によって定着し、維持され、継続します。

行動の記録が行動目標の達成状況を見える化する

行動目標の場合、まずは行動の記録を取ることです。または行動に伴う積み重ねの記録(累計○ページ読んだ、ボールペンを○本使い切った等)を取ります。

特に行動目標に記した基準に関係するものは、ちゃんと記録しておきましょう。目標の達成状況が把握できます。その記録は行動すればその分だけ増えていきますし、それはつまり目標の達成に近づいていることの証拠でもあります。

水面下で起きている中間結果を見える化する

行動目標と合わせて成果目標も立てている場合は、本来欲しい成果の前段階で生じる中間結果を把握するようにしましょう。

例えば、ブログの検索エンジンからのアクセスアップを目標にしているなら、アクセスが増える前に「検索エンジンに登録されているインデックス数」とか「検索エンジンで表示された回数」などが増えるはずです。

そういった数値も抑えておけば、行動が成果に結びつきつつあることをより早い段階で知ることができるでしょう。

制約による行動デザイン

行動の記録という変化に新たな意味を追加する

また行動の記録に「行動を促す力」を持たせる工夫もあるといいです。行動を維持継続させるには、行動の記録だけではやや弱いのです。行動の記録が積み重なることによって、何かの付加的な変化が生じるようにしてみてください。

行動が促されやすくなる制約を作る

考えるべきは「行動が促されやすくなる制約」です。行動しない時には望んでいないことが起こり、行動すれば望んでいることが起きる。そんな制約下に身を置けば、必然的に行動は生じます。

なぜなら「行動に伴って望んでいる変化が起きる」のも「行動に伴って望まない変化を避けられる」のも強化の原理に従っているからです。

制約を作るのには「社会的フィードバック」が使いやすい

そのような制約を作り出すのに使いやすいのが「社会的フィードバック」です。社会的フィードバックは、主に人を介して得られる何らかの反応です。

例えば、誰かに今週の行動内容を約束すれば、達成を報告した際に何かの反応がもらえるかもしれません。ブログやSNSで宣言し、達成したことを同様に投稿すれば読者やフレンド登録している人から何らかのリアクションがもらえるかもしれません。

約束の発展系としての行動契約というものもあります。使いこなせると便利です。興味のある方は下記の記事で行動契約を取り上げていますので、参考にしてみてください。 www.behavior-assist.jp

行動の工夫によって「本気の自分」は作られる

さて、このような工夫までして行動目標を達成しようとするのは何故でしょうか。それは行動目標によって得られるものが大きいからです。前にも書きましたが、行動目標の達成報酬は「本気で頑張れた自分」です。本気で行動できる自分を作ってみてください。

まとめ

本気じゃない・・・に対する勘違いを正す

本記事ではまず最初に、そもそも「本気じゃない」と思ってしまうのは何故かを解説しました。一般的には本気じゃないから行動できない、本気じゃないから途中で止めてしまった等と考えがちだと思います。

しかし、行動の法則に従って考えれば、本気かどうかは行動の原因ではありません。行動の原因となるのは、常に行動に伴ってどんな変化が生じるかなのです。僕たちが行動できないのは、行動にポジティブな変化が伴わないからです。

先に行動できないという状況があって、その後、行動できていない自分を観察・評価することによって「自分は本気じゃなかったんだ」と評価してしまっているのです。

高すぎる成果目標から行動目標へのシフト

そのように本気じゃないと自己評価してしまうような状況に追い詰められてしまうのは、現状の自分にとって高すぎる目標にチャレンジしているからです。高すぎる目標に取り組むと、なかなか成果が得られません。行動しても変化が生じないのです。なので、次第に行動が止まるようになります。

この状況を変えるためにお勧めなのが、成果目標から行動目標へのシフトです。成果目標だと頑張っても達成できるかどうかは分かりませんが、行動目標であれば行動できさえすれば達成することができます。

自分にとって本気だと思える基準の行動目標を設定し、その達成を目指すといいでしょう。行動目標を達成することができれば、例え成果が出ていなくても、ベストを尽くすことができたという実感を得ることができます。

行動するための工夫を積み重ねて「本気で頑張る自分」を作る

行動目標を達成するためには、行動するために工夫が必要になります。精神論や根性論では、行動を維持することはできません。行動に「分かりやすく」「確実な」変化が伴うような工夫をしましょう。 そのために「行動の記録を取る」「水面下で起きている中間結果を捕捉する」といった工夫は、まずは試してみて欲しいところです。

加えて、社会的フィードバックを活用した付加的な結果を作ってみてください。行動目標の達成を知人やブログ、SNS等で約束したり宣言するする、いざ実行したなら行動したことを報告する等で、周囲から反応が得られるはずです。

一つ一つは小さな変化かもしれませんが、それを上手く束ねることができれば、行動を促す力となります。そんな工夫を積み重ねることで、「本気で頑張る自分」を作ってください。