行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

「継続は力なり」が本当に力になる時と、そうでない時の違い

Q.
継続は力なりっていいますが、それって本当なんでしょうか?

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A.
行動の蓄積のみで成し遂げられることに取り組むのであれば、答えは「Yes」です。社会的な成果を目指しているのであれば、「Yesとはいえないが必要なこと」という答えになります。  

解説:継続によって少なくとも何かを成し遂げる可能性は高くなる

力なりの「力」って何でしょうね。まずはそこを具体的に定義できないと、継続が力になるのかどうかも判断できなさそうです。

こういうときはまず辞書を引いてみるのがお勧めです。辞書の説明って本当に良く考えられていて、凄いなぁと思う今日この頃です。

で、「実用日本語表現辞典」によると継続は力なりの定義は次の通り。

  • 個々の成果は微々たるものであっても、地道に成果を積み重ねていけば、やがて大きな事業を達成できる。目標を達成できる。

  • 今は実力不足であっても、挫けずに修練を積んでいけば、いずれ大成できる。

  • 物事を成し遂げるまで諦めずに取り組み続けるということは、それ自体、優れた能力のひとつである。

最初の2つは似ていますかね。到達地点は成果であったり、何かを成し遂げることであったりするようです。

3つ目のは少しニュアンスが違いますか。継続するという能力自体に価値があるという言い方。でも、成し遂げるまで〜という表現もあるので、目的は成果を出すこと、成し遂げることなのでしょう。

ですので、ここでいう「力」とは、「何かを成し遂げること、目標を達成すること」といった意味と考えていいように思います。

で、最初の質問に戻ります。「継続は力なりは本当か?」という問は、「継続すれば何かを成し遂げられるのは本当か?」ということですね。

行動分析学で継続の難しいパターンの行動に「塵も積もれば山となる型」というものがあります。これは、行動すると小さな結果は生じているのだけど、あまりにも小さくて累積しないと意味のあるものにならない、というもの。

この場合は、継続することに意味はあります。なので質問に対する答えはYes。

一方、世の中には成果が出るかどうかに、他人が大きく関わってくるものがあります。スポーツの世界などが分かりやすいのですが、本人がどれだけ努力しようとも、他の競技者が上回ってしまえば成果は得られません。

このような世界では、継続することはそのまま「力(つまり何かを成し遂げること)」につながるとは限りません。

ただそれでもいえることは、継続することは成果を得る可能性を高めてくれるわけですから、力になるとは限らないが必要なことだろうな、という答えになるわけです。