個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

上手くいかない時も淡々と行動を継続し、成果をたぐり寄せる知識とは?

目標達成を目指して頑張ったのに、思うように成果が出ないことがあります。

そういう時、よくやってしまいがちなのが、成果が出ない理由を自分の性格や能力のせいにすることです。またそれと同じくらいありがちなのは、「この目標はやりたいことじゃなかった」と目標を否定するアプローチ。

いずれも後付けの理由で、自分を納得させようとしているに過ぎません。

せっかく立てた目標です。どうせなら達成するまで、あるいは自分が納得いくまで行動を継続したいものです。そのために必要なのは、成果が出ない現状を体系的な知識に基づき読み解くこと、そしてより効果的で具体的な次の手を打ち出すことです。

その2つができるようになれば、成果が出ない現状について言い訳を考える必要がなくなります。ただ淡々と達成に向けて行動を積み重ねるための準備が整うのです。

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現状理解を誤ると行き詰まる

結果が出ない時に陥ってしまう罠

目標の達成に向けて行動しても、思うに成果が出ないことはよくあります。成果が出ないと、行動する気力も萎えてきますよね。そんなとき、現状をどう理解するかによって次の展開が大きく変わることがあります。

結果が出ない原因を自分の性格や才能などに求める

例えば副業を始める前に売上○○円と目標を設定します。会社が終わった後の少ない時間をやりくりしながら、商品を作ったり、ホームページを作って販売を始めてみたりします。

ところが、それだけ頑張って作った商品が1つも売れません。すっかり意気消沈してしまい、何だか「自分にはビジネスが向いていない」ように思えてきました。

これは成果が出ない原因が自分の特性や性格、才能にあると考え、行動を止めてしまうパターンです。実際はビジネスの成果と自分の特性・性格・才能は、あまり関係ありません。個人攻撃の罠といって、間違った原因の捉え方になります。

目標を否定することで自分を納得させる

あるいは、同じく副業を始めて目標を売上にしたとしましょう。最初の三ヶ月くらいはモチベーションも高くて、ブログを書いたり、ビジネス交流会にも参加したりと、積極的に頑張れていました。

しかし、やはり思うように成果が出ません。段々と気が重くなってきて、最初は積極的にできていたこともやる気が起きません。そんな日々を過ごすうちに、何だか「この副業は自分のやりたいことじゃなかった」とか「自分の求めていたのは売上じゃないな」とか考え始めます。

これは「最初に立てた目標が間違っていたんだ、目標を達成しても楽しくない」と考えてしまうパターン。しかし、本当にその目標が自分の欲するものであるかどうかは、達成して結果を経験してみないと判断できません。

個人攻撃の罠も目標の否定も、上手く結果が出ない時に陥るパターンの一つです。共通しているのは、気の重い現状、行動できなくなってしまった現状について、もっともらしい理由を後付けしている点です。現状をそのように理解してしまうと、なかなか次の行動はできなくなります。

現状に対する実用的な理解が救いとなる

達成したくて立てた目標ですので、ここで必要なのは「どう立て直して、再びどう行動し始めるか」です。そして立て直すための前提となるのが、「現状に対する実用的な理解」です。正しい理解ではなくて、実用的な理解。ここがポイントです。

そもそも結果が出るかどうかはランダムなものです。目標に取り組み始め、狙い通りの行動ができた時、一定の確率で結果が出るものだとイメージしてください。その確率自体は、どのような状況でどのような行動を取ったかによって変動します。

ただし、90%成功するものだったとしても、10回に1回は失敗するわけです。いま行動した結果が、10回のうち9回の成功を引き当てるのか、それとも1回の失敗を引き当てるのかは分かりません。そこはランダムなのです。だからこそ大切なのは、十分な回数、試行することなのです。

とはいえ、成功確率が1%と50%では試行回数が大きく異なります。なるべく上手くいく確率を上げたいわけです。そこで必要になってくるのが「現状に対する実用的な理解」というわけです。

行動の継続に欠かせない体系的な知識と具体的なノウハウ

体系的な知識を使って「実用的な真実」へ迫る

体系的な知識とは何か

現状理解とは、簡単にいえば理想と現実のギャップを認識するということですが、そこで活躍するのが物事を体系的に整理するための知識です。物事を体系的に整理するための知識とは、例えば次のようなものです。

ヒトの行動は、その行動の前後でどんな変化が起きるかによって、積極的になったり消極的になったりする。行動が積極的になるような変化のことを「強化」といい、行動が消極的になるような変化のことを「弱化」という。これはヒトの行動を理解するためのベーシックな原理である。

これは人間の行動を理解するための知識の一つで「強化の原理・弱化の原理」です。他のジャンルだと次のようなものもあります。

あるスマートフォンについて友人Aが「良い機種だからオススメだよ」と言っていた。ある日、今度はAとは関係ない別の友人Bが「あれいいんだよねー、特にカメラ最高」と言っていた。そしてまた別の日、友人Cがそのスマートフォンを使っていることを知った。そろそろ機種変更したいと思っていたのだけど、友人達が勧めるスマートフォンが一気に本命候補に入ってきた。

これは口コミ3人の法則といって、周囲の人達が勧めたり使ったりしていると、その商品が素晴らしく思えてくる現象のことをいいます。

結果がでない原因を物事のメカニズムに基づいて説明できる

このような知識を知っているかどうかで、目の前の物事の理解の仕方が変わります。自分を責めるだけの個人攻撃や、目標の否定といった手段に頼らなくても、ちゃんと説明がつけられるようになります。

現状と自分とをある程度、分離させて捉え、なぜそうなっているのかという原因を見定めた上で、次の手を考えられるようになります。

体系的な知識に基づき現状を理解することは、簡単に成果が出ない目標に取り組むためには欠かすことはできません。

ノウハウを使って具体的行動を導き出す

具体的に落とし込めなくては行動できない

ただ体系的な知識で物事を読み解いていくことは、比較的「抽象的」な思考の使い方になります。非常に重要ではあるのですが、それだけだと次の「行動」までは辿りつけないこともあります。自分なりに納得はできても、抽象的であるが故に具体的にどうすればいいかが見えてこないのです。

例えば「ダイエットしよう」と決めたとして、その言葉から具体的にどう行動するのかが見えてくるでしょうか?人によっては直感的に「食事を減らすのかな」とか「毎日走るのかな」と思いつく人がいるかもしれません。そこまで具体的に落とし込めれば、次にやるべき行動も見えてきやすくなるでしょう。

これがダイエットのような一般的なものであれば、まだ何とかなります。しかし冒頭にあげた副業のように、成果を生み出すプロセスが複雑なものについては、直感的に妥当な行動を作るには、ある程度の熟練が必要になります。つまり、始めたばかりの人間にとっては難しいのです。

”ノウハウ”には具体的な行動についての情報がある

必要なのは情報です。ダイエットと副業・ビジネスの違いは、日常の中にある情報量の違いです。ダイエットであれば、普段テレビやWeb、雑誌などを観ていれば自然と情報が入ってきます。

ところがビジネスのようなジャンルの場合、自ら積極的に探さなければなかなか情報に触れる機会がありません。具体的なノウハウについての情報を探す必要があります。

体系的な知識と具体的なノウハウは、行動し続けるための両輪

ただ注意しなければならないのは、具体的なノウハウ”のみ”を求めてしまうと、「○○だけやっておけばいい」みたいにノウハウに依存しがちになる点です。

どんなに優れたノウハウだろうと、成果が出るかで出ないかには偶然が作用します。成果が出れば良いですが、問題は出なかった時のこと。ノウハウ通りにやったのに上手くいかなかった・・・このノウハウはダメだ・・・でも次にどうすれば・・・となってしまい、行き詰まりやすくなるのです。

大切なのは物事を整理し理解するための体系的な知識、そして狙いを具体的な行動へと落とし込むためのノウハウについての情報の「両方」を得ることです。

具体的なノウハウを体系的な知識と照らし合わせれば、それがどういった働きを持つノウハウなのかを判断できます。つまり、単にノウハウ通りにやるというステージから、どういう狙いを持ってそのノウハウを使うのか、代替手段として他にどんなノウハウがあるのかということを考えられるステージへとステップアップできます。

体系的な知識と具体的ノウハウは、成果が出るまで行動を継続するために欠かすことのできない情報です。体系的な知識だけでは具体的な行動へ落とし込めずに机上の空論になりますし、具体的ノウハウだけではノウハウ依存症になります。両方を学ぶようにしてみてください。

目的意識と強制力が実用的な学びの鍵

実用的な情報を手に入れる方法

ロングテールな情報でも容易に得られる時代

体系的な知識と具体的ノウハウの両方を学ぶ必要があるとして、ではどうすればその2つを学ぶことができるのでしょうか。いまの時代、情報自体は得ようと思えばいくらでも得られるものです。

Amazonで本を探してみれば、本屋においていないようなマイナーなものも見つかるでしょう。Googleで検索してみれば、求めていた情報そのものが見つかることもあれば、参考書籍などを紹介していることもあります。SNSなどでつながった人達から学ぶこともできます。無料・有料はさておき、直接教えてもらうこともできるでしょうし、教えてもらわなくてもその人のやっていることを観察・分析することも可能です。

情報は経験知によって加工することで実用的なものとなる

ただ一つ言えることは、どのような手段で得た情報であっても、そのままではあまり有効な知識にならないということです。情報というのは伝達の過程で変質してしまいます。言葉にした瞬間に、その人の持つ経験知や暗黙知が、かなりそぎ落とされてしまうのです。だから、得た情報が役に立つように自分なりに加工しなければなりません。

加工の方法はシンプルです。実践してみればいいのです。情報には発信者の経験知や暗黙知が欠落していますので、あなたの経験で肉付けするしかありません。そうすることで情報があなたにとって「実用的なもの」に洗練されます。

先に必要を作れば情報を実践しやすくなる

実践によって情報を洗練させることを前提とするならば、有効な学びの方法は「先に必要を作る」になるでしょう。先に必要を作るとは、情報が不足している状態を作るということです。簡単にいえば、「とっとと失敗して、どうしたらいいか分からない状態を作ってしまいましょう」ってことです。

情報が不足している場面が先に用意されていれば、そのために学んだことを実践するのは、そう難しいことではありません。即試してみることもできるでしょう。やってみることであなたは経験を得ることができますので、本やWeb、他人からでは決して得られない情報(経験知)が付加されていきます。

試してみて、失敗して、学び、再び試す。このサイクルこそが、実用的な学びのステップです。

このサイクルを回すうちに成果が出てきます。そうすると僕たちは「分かった」という確信を少し得られるのです。上手くいくことではじめて「理解できた」という感覚に辿りつけるんですね。

学びのサイクルを回し続けるための工夫をしておく

以上が実用的な学びのステップになりますが、そうすると予め考えておきたいのが「どうしたら途中で止めることなく学びのサイクルを回し続けられるか」です。

色々と「こうすべき」と言ったところで成果が出ないのは辛いですから、途中で行動を止めてしまいがちです。成果が出ない状況でも学びのサイクルを回し続けるためには、少し工夫をしておく必要があります。

この工夫には行動契約を使うといいでしょう。行動契約を使えば、成果にかかわらず行動せざるを得ない状況を作り出せます。行動契約については下記を参照してください。

www.behavior-assist.jp

予め「一定期間は必ず行動を続けざるをえない状況」さえ作ってしまえば、その中で実用的な学びのサイクルを回すことができます。その積み重ねの過程で、僕たちは目標を達成するためのきっかけを掴むことができるでしょう。

まとめ

目標に取り組んでみたけど結果が出ない時、その理由を自分の性格や才能のせいにしたり、あるいは目標を否定することによって自分を納得させようとすることがあります。本来は達成したいと思って立てた目標にもかかわらず、そうやって途中で行動を止めてしまいます。

これに対して本記事では、対象領域についての体系的な知識を使い、物事のメカニズムの中に原因を見つけることを主張しました。また同時に、具体的なノウハウの引き出しを持つことによって、体系的な知識による理解を行動へと落とし込むことの重要さもお伝えしました。

体系的な知識やノウハウは、いまの時代、容易に手に入れることができます。ただそれらはあくまで手がかりに過ぎず、自分の実践経験によって肉付けしていくことで、実用的な知識へと洗練されます。

目標に取り組んで失敗する、成果が出ないという状態は、新たな実用的な知識を必要としている場面ともいえます。そのような局面を先に作り出しておけば、情報を獲得し実践によって洗練させるという学びのサイクルが回しやすくなります。想定通りに結果が出ずに意気消沈する必要は、全くありません。新たな学びの機会へと繋げてください。