行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

完璧主義を越えて「完璧以上」を目指せば行動しやすくなる。

Q.
完璧主義でなかなか行動できません。完璧主義を直したい。

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A.
無意識的に自分で行動への負担感を高めている状態なので、基準を下げることを受け入れるか、敢えてそれでも完璧を目指してみるかのどちらかを、自覚的に選択してみてはどうでしょう。自分で選ぶというステップを挟むだけでも、気分は楽になるかと。 どっちも嫌なら「試す」という方法で「完璧以上」の行動と成果を得る方法もあります。

解説:完璧を目指すからダメ。完璧以上を目指せばいい。

行動の負担感を自分で高めてしまっているので行動できない

完璧主義と表現される行動の傾向をより具体的に表現すると、「行動のコスト(負担感)を”自分で”高めている状態」だといえます。ではどのように行動のコストを高めているのかというと、次の2点になります。

  1. 行動コストが高くなる手順・プロセスを自己教示している。
  2. 成果を好子的に扱う基準が高すぎる。

行動コストが高くなる手順・プロセスを自己教示すると、それ以外の簡略化された手順だとか、いい加減な手順と自分の行動とが一致することを許容できません。自分で自分に課した「こうであるべきプロセス」通りに行動しないと、自分の行動を肯定できない状態です。

しかし、行動コストが高い手順であるため、そうそう簡単には実行できません。負担が大きいことは、行動するには不利ですから。結果、なかなか行動できなくなります。

また、成果を好子的に扱う基準が高くても、やはり行動することが困難になります。好子的に扱うとは簡単にいえば「その成果で良しとできる」ということで、その基準が高すぎるということは、それ以下の成果を良しとすることはできず、受け入れられない状態なのです。

高い基準の成果を出すためには、結局のところ行動の質を気にすることになり、それは行動コストが高くなる手順を自らに課すことへとつながります。

自覚的に選択するだけでもマシになる

ではどうすればいいのでしょうか。答えは簡単です。プロセスや成果に対する基準を下げればいいんです。満足できない行動の手順かもしれないし、満足できない成果かもしれませんが、行動しないよりは遙かにマシ。そう考えて、基準を下げることを受け入れればいいのです。

あるいは、基準の高い行動がしたい、基準の高い成果が欲しい。そういう自己への教示が行動を重くさせているとしても、それでもやはり完璧を目指すという選択もありです。無意識的に完璧主義的な行動を強いていた状態に比べれば、それを敢えて選んでいるという時点で、随分と状況は改善しているように思えます。

基準を下げてもいいし、完璧を目指してもいい。自分の好きな方を選んでください。

第3の道:実験という「完璧以上」を作る方法

ところでで「完璧以上」の行動や成果を実現する方法もあるんですけど、興味はありますか?完璧主義に嵌まりがちな人には、完璧以上というものはとても魅力的なものじゃないかと思います。次のやり方もあなたの選択肢の一つに含めておいてください。

それは「実験を繰り返す」というやり方です。行動する前に考えている「基準の高い行動」は、実は机上の空論です。その行動が良い成果をもたらすことは保証されていません。単なる思い込み。

質の高い成果を出すためには、現実を知らなければなりません。試してみて、フィードバックを得て、行動を少し変えてまた試す。その繰り返しが行動と成果の質を高めていきます。その繰り返しは、始める前には思いもよらなかった、想定以上のものをもたらします。それはまさしく完璧以上。

繰り返し試すためには、行動自体は簡単に実行できることが望ましいです。10日かけて1つの実験をするよりも、1日で1つの実験ができた方が得られるフィードバックが増えます。行動を調整する機会も増やせます。

僕たちの生きる現実は巨大で優秀な実験装置です。完璧以上の行動と成果。その可能性のためにも、現実という実験装置を使うことを選択肢に入れておくと良いと思います。