行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

努力しても結局才能のある人に負けちゃうのでは・・・それでも努力する?

Q.
努力で才能の差は埋まるのでしょうか。努力が同じなら、結局才能のある人には負けちゃうのでは・・・。

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A.
成果を期待するのは止めましょう。行動すること自体が楽しい何かに取り組んだり、実験的な感覚で努力してみるといいんじゃないでしょうか。でもね・・・(続きは解説にて)

解説:本当は「後悔無いくらい努力したい」が本音かもしれませんね。

同じ努力なら才能に恵まれている方が上手くいく

もうこれ以上は頑張れないというくらい努力するのは、不安を感じるものですよね。だって、もしかしたら努力しても報われないかもしれないから。

スポーツの世界なんかだと顕著に表れますが、プロになれるくらいに膨大な努力をしているにも関わらず、一部のトッププレイヤーとその他の人達との間には、その成果に大きな差があるように思えてしまいます。きっと本当は微々たる差なのですが、その微々たる差が成果面では大きな違いになるのでしょうね。

だからやっぱり考えてしまうわけです。同じだけ努力したなら、元々才能を持っている人の方がより上手くなるだろうし、より大きな成果を出せるのではないかって。

たぶん、それは事実なのだと思います。一般的には才能というのでしょうが、生まれ持った得手不得手はありそうですよね。それは僕らが薄々と感じつつも、目を逸らしていることの一つかなぁ、なんて考えたりします。

#行動遺伝学によれば、例えば収入は20〜40%の割合で遺伝的な影響を受けているそうです。興味があれば下記の本などを読んでみてください。

遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である (ちくま新書)

遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である (ちくま新書)

努力の積み重ねの重要さを感じるからこそ、報われない怖さも大きくなる

で、それを踏まえても努力した方がいいのか、ということなのでしょう。

努力を積み重ねること自体は「確立操作」となります。

例えば、あなたがブログを書いているとしましょう。5記事書いただけのブログと、500記事書いたブログ。どちらの方がよりあなたにとって重要でしょうか。たぶん500記事書いたブログの方でしょう。

つまり努力をすればするほど、その対象物や成果に対する確立操作となり、そのもの自体の重要性が高まっていきます。それだけ重要なものなのに、無駄になってしまったら・・・と考えると、無駄な努力をすることへの不安感が出てきてしまうのも無理はないかなって思います。

しかし、世の中にはそれでも努力をしている人がいます。なぜ彼ら・彼女らは努力ができてしまうのでしょうか。

やること自体が楽しいものか、実験的な取り組みをするといい

1つは行動内在的随伴性に答えがありそうです。成果がどうなるかはさておき、それを行うこと自体に充実感を感じられれば、行動した時点で十分に報われているといえるでしょう。

趣味でやっていること等はこのパターンに当てはまることが多いですよね。漫画を読むのが好きという人は、漫画を読んでいる時が一番楽しいのであって、その先に何かの成果を求めているわけではないはずです。

行動内在的な随伴性で行動が促されるなら、努力をしているという自覚すらないかもしれません。もしそういうものが見つかるのであれば、思う存分、努力してみるといいでしょう。

もう一つ、うまく努力をできている人は実験という感覚で行動しているように思えます。最終的には成果を得るための努力といえるのですが、行動の直接的な結果については実験的な捉え方をしています。上手くいっても、上手くいかなくても、一つの実験結果。

そういう捉え方ができると、努力によって高まりすぎた確立操作の影響を緩和させることができそうです。努力が報われないことに怯えなくてもすみます。

努力をしてみて欲しいという自分への期待に応えてもいいんじゃないかな

なので質問への回答としては、

  • それをやること自体に楽しみが見出せるなら思う存分やってみるといい
  • 成果を欲しているなら実験という感覚で取り組んでみるといい

といったところになります。

・・・とまぁ、ここまで書いておいてなんですが、実はそんなことはどうでもいいんじゃないかなって思います。だって、質問をくれたあなたは「努力したい」のではないでしょうか。

欲しい結果や成果があって、そのために努力してみたいのかもしれません。あるいは、以前努力できなかった記憶から未練を残しているのかもしれません。

いずれにせよ、自分で自分に「努力したい、して欲しい」と期待を寄せられているわけです。だったら、その期待に応えてみてはどうでしょう。努力の結果がどうなるかではなく、自分にどれほどの努力ができるのか、自分自身に見せつけてやりましょう。

その気になった方は下記の記事なども読んでみてください。

www.behavior-assist.jp