行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

目標を立てても忘れてしまいがちな人のための目標設定のコツ

Q.
せっかく立てた目標をよく忘れてしまいます。忘れないようにする方法はないでしょうか。

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A.
目標を忘れても特にデメリットがないのが問題かと。つまり「どうでもいい目標」になっているのです(レッテル貼りだ!)。目標のことが気になって仕方がない状態になるよう、目標設定に手間をかけたり、目標に沿った行動をやらざるを得ない環境を作ると良いのではないでしょうか。

解説:目標が「気になる状態」になるように目標設定に手間をかけてみよう

どうでも良い目標だから忘れても問題がない

立てたはずの目標を忘れてしまって、何もしないまま時間だけが過ぎていくなんてことは、よく聞く話ですね。なぜせっかく立てた目標を忘れてしまうのでしょうか。

原因は2つです。

  1. 日常の中に目標のことを思い出すきっかけがない
  2. 目標が「日常的に気になる」状態になっていない

特に後者が影響大きいのではないかと思います。簡単にいってしまえば、あなたが立てた目標は、あなたの日常という文脈において「どうでもいい目標」ということなのです。

どうでもいい目標から「気になって仕方がない目標」へと変えることができれば、目標はあなたの日常の中に居場所を見つけることができます。そうすれば忘れることがないとは言いませんが、かなり忘れにくくなるはずです。

目標を日常にインストールする3つの方法

では、目標が「気になる」ようにするためにはどうすればいいでしょうか。ポイントは次の3つです。

  1. 目標設定にしっかりと時間と労力をかけることで「手間をかける」という確立操作を設定する
  2. 現状で気になっている何かと目標とを関係づける
  3. 目標達成に効果のあると思われる行動を積み重ねやすい環境を作る

1. 目標設定にしっかりと「手間」をかける

  例えば5分くらいで適当に立てた目標と、じっくりと検討し表現もSMARTルールなどに沿って練り込んで立てた目標とでは、後者の目標の方が「重み」があることだと思います。しっかりと手間をかけるという確立操作を経て、目標という刺激があなたへ影響力を持つようにしてみましょう。

2. 既に気になっている何かと目標を関係づける

また、既にいま現在、気になっている何かと目標とを関係づけるのも効果的です。自分が何を気にしているかを自覚できているのであればそれに関連した目標を立てればいいですし、もし自覚できていないのであれば自分の現状を分析してみるといいでしょう。

現状分析をする場合、現状を幾つかの領域(仕事・お金・時間・健康・人間関係・住居環境など)に分けて満足度を評価し、欠乏が生じている領域についての目標を立ててみるといいでしょう。

例えば、最近忙しすぎて自由になる時間の欠乏を感じているのであれば、その欠乏から回復するのに効果がありそうな目標を設定してみてください。欠乏と関係づけられた目標になりますので、結構「気になる」はず。

3. 目標に沿った行動をやらざるを得ない環境を作る

最後に目標の達成に効果のある行動を積み重ねやすい環境を作るといいでしょう。

行動契約や人間関係などを活用して、目標に沿った行動をやらざるを得ない状態にしてしまえば、目標のために手間をかけることになります。そうやってかけた手間の分だけ、目標は日常の中へ入り込んできます。

最後のダメ押しにプロンプトを使う

以上のような方法で目標を「気になる」状態にしてください。ここまでできていれば、最後の一押しとしてプロンプトを使って目標を思い出すきっかけを日常に作っておくといいですね。

リマインダーアプリとか、スケジュール帳などを利用して、普段の行動パターンの中に「目標を目にする機会」を作ってください。

ここまでやれば「目標のことを忘れていた」という事態には陥らないかと思います。

ちなみに目標が気になる状態になっていないのに、プロンプトを使って思い出すきっかけを用意したとしても、目標自体がどうでもいい刺激なので、行動には影響を与えないでしょう。先に「気になる目標」を手に入れてください。