個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

意思の強い人間になるための行動科学的トレーニング

Q.
ついついその場の誘惑に負けて、やるべきことができません。意思の強い人間になるにはどうしたらいいか。

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A.
意思の力とは、自分で出した指示に、自分の行動を一致させることを指しています。つまり、意思の強い人間になりたいのであれば、自分の指示通りに行動できるように訓練するといいでしょう。

最初はゴミの片付けや食器洗いなど、やればすぐに結果が出るようなもので訓練を始めてみてください。それができるようになったら、ちょっと難易度を上げてチャレンジします。その繰り返しによって、少しずつ意思に従うことに慣れてくるかと思います。

解説:意思の力で行動することにメリットが伴う経験をすれば、意思は強くなる

意思の力とは何か?

自然な行為・欲求に逆らって行動を変える力

その場の欲求に従うことは、僕たちにとって自然な流れに沿った行動とも言えます。例えば、あなたがダイエットで食事制限をしていてお腹が空いていたとします。街中を歩いていると、飲食店から美味しそうな匂いが漂ってきます。ふらふら〜とそのお店に入りそうになってしまいました。

ダイエットという文脈があるからダメなだけで、そうでなければお腹が空いている時に美味しそうな匂いに釣られてそれを食べてしまうの、ごく自然な行為です。

意思の力とは、こういった自然な行為・欲求に逆らって、自分の行動をある特定の方向へと変えていく力だと言い換えられます。

自分の指示に自分の行動を一致させる

もう少し具体的にしましょう。

自然な行為・欲求に逆らおうとする時、僕たちは自分で自分に指示を出します。先ほどのダイエットの例であれば、「ここで食べたら痩せられないから我慢しなきゃ」といったような指示が出ているはず。

意思の力が発揮されると「自然な行為」を「指示に従った行為」へと変化させることができます。つまり意思の力が強いとは「頻繁に自分の指示と実際の行動とを一致させることができる」ということです。

なぜ自分の指示に行動を従わせられるのか?

そもそも僕たちは指示通りに行動する能力を持っている

そもそも多くの人は、指示通りに行動する能力をもっています。少なくともこの記事を読めるくらいの方であれば、これまでの人生において誰かの指示通りに行動した経験があるはず。

母親にお風呂に入りなさいと言われ、それまでやっていたゲームを止めてお風呂に入ったりとか。コンビニで買い物する時に、レジの前にある「こちらから並んでください」という文字に従って、自分の番が来るのを待ったりとか。

そういった行動ができるのは、僕たちが指示を理解し従う能力を持っているからです。ですので、僕たちは意思の力を発揮する可能性が十分にあるといえます。

指示に従いやすい状況を発見すると楽になる

ただ問題は、実際に僕たちが指示に従うかどうかは、指示を出す相手や指示を出した状況に大きく左右されてしまう点です。指示を出す相手によっては、全く従う気になれないこともあるでしょう。あるいは状況次第で、相手が変わらなくても指示に従わなくなることもあるはずです。

意思の力を発揮する場面で、指示を出す人は「自分」になりますので、「どういった状況だと自分の指示に従うのか」を発見できると楽になります。

意思の力を伸ばすには?

自分の指示に従うことにメリットのある結果を伴わせよう

意思の力を発揮する、つまり指示に従って行動できるようになるには、指示通りに行動した時に「メリットのある結果」が生じればいいのです。強化の原理です。指示に従う行動が強化されることによって、指示に従う行動が定着していきます。

最初は限定的な状況で指示に従うことを訓練してみましょう。指示通りに行動したら「すぐに」良い結果が得られそうな状況がいいです。床に散らかっているゴミを捨ててみるとか、Amazonから注文物が届いたらすぐに段ボールを片付けるとか、食事したらすぐに食器を洗うとか。

こういったものは、やってみることができればすぐに結果を得られます。訓練するのにちょうどいいハードルです。

逆に指示に従ってもすぐには結果が得られないものは、ハードルが高すぎるので最初から取り組むのは止めた方がいいでしょう。ダイエットや勉強などが該当します。最初はハードルを低く、慣れてきたら少しずつハードルを上げていってみてください。

得意パターンを発見して行動に有利な状況を作る

またこういった訓練を通して、先ほど書いた「どういった状況だと自分の指示に従うのか」も発見することができるでしょう。そうすると自分なりの得意パターンが見つかるかもしれません。

得意パターンが見つかれば、意思の力を発揮しやすい状況を整えておくこともできます。自分に有利な状況を作ることができれば、さほど意思の力を使っていないように感じるのに、行動だけみると意思の力が強うそうにみえますのでお得です。循環論バンザイ。

というわけで最初はハードルを下げて訓練してみましょう。慣れてきたら徐々にハードルを上げていきましょう。そして、訓練する中で得意パターンが見つかったら有効活用しましょう。以上が意思の力を伸ばす方法です。