行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

忙しさのせいで止めてしまった習慣を再開する方法とは?

一度、習慣化できたとおもった行動が止まってしまうのは悲しいものです。

ある時、一念発起して始めた行動が、幸いにも継続できて習慣化した・・・のだけど、仕事が忙しい時期にどうしてもやれなくて止まってしまった。この忙しさが終わったらまた再開するぞ!と決意したものの、いざその時になったらどうにも再開できない。結局挫折してしまった。

こうなってしまうと何だか自分への失望感を感じてしまいますよね。一度できたことが再開できないのは何故なのでしょうか。

僕たちの行動は常に環境との相互作用によって決まります。行動できていたことができなくなったということは、行動の環境が変わってしまったということなのです。

忙しい時期が終わって、以前と同じ状態に戻ったように見えますが、実は前とは違う環境になっています。それを理解できると習慣を再開するためのヒントも見えてきます。

f:id:h-yano:20140926231950j:plain

継続していた習慣が止まった時、何が起きているのか

忙しさが終わって元に戻ったはずなのに習慣を再開できない理由

どうにも仕事が忙しい時期、というのがあります。次から次にやることが出てきて大変。睡眠時間も削られていきます。

そういう時期に突入すると、それまでとは「行動の環境」がガラリと変わります。行動は環境に従いますので、ずっと継続してきた習慣であっても、忙しい時にはできなくなったりすることがあります。

それは仕方がありません。

しかし、問題はその後です。忙しい時に習慣化したことができなくなるのは仕方がないにしても、忙しい時期が終わった後に再開できないことが多いという点。忙しさは元に戻ったのだから、当然、習慣も元に戻せるはずです。でも、できない。何故でしょうか。

先ほど、行動は環境に従うと書きました。つまり忙しくなる前と忙しさが終わった後の「行動の環境」が異なるために、以前の習慣を再開できないでいるわけです。

行動の履歴が「今日もやれた」という結果に価値を与える

では、具体的にどのような環境が異なるのでしょうか。結論からいうと「行動を積み重ねたという自覚や実績」の有無です。

習慣が継続できているとき、僕たちは「よし今日も○○をやろう」と自分に言い聞かせ、その通りに行動できた時に「今日も○○をやれた」と自覚します。それが行動によって得られた結果です。

その結果は、毎日、毎週、毎月と行動を継続してきたという昨日までの行動の履歴によって、より魅力的なものとして輝いています。結果が魅力的であるからこそ、僕たちはその結果のために今日も行動することができるのです。

ところが忙しくて毎日の習慣を止めてしまった時期があることで、「昨日まで行動を続けてきた」という事実が失われます。忙しい時期を抜け出した後も、それは変わりません。今日もやれたという結果は、もはやかつての輝きを失ってしまっています。

だから、僕たちは再び行動することができないでいるのです。

再び離陸し、巡航高度に到達できるだけのパワーをかける

行動の履歴を積み重ねるための「行動の仕掛け」を作ろう

であるなら、やるべきことは一つ。今日もやれたという結果にかつての輝きを取り戻してもらうこと。それが忙しくなる前と同じ環境を手に入れる唯一の方法です。

今日もやれたという結果で行動が続いている状態は、飛行機が巡航高度で気流にのって飛んでいるようなもの。行動するのが当たり前で、継続することにさほど今ほど苦労していなかったことでしょう。

僕たちは再び巡航高度へと登るために、パワーをかけて助走・離陸する必要があるのです。

巡航高度に到達するには、行動を継続してきたという履歴を手にする必要があります。十分に行動を積み重ね、その履歴が価値あるものとして機能するようになったとき、僕たちの習慣が復活します。

そこまで行動を積み重ねるためには、多少、無理をする必要があります。飛行機でも助走から離陸する時が最も推進力を必要とするそうです。習慣も同じ。巡航高度に到達するまで、強制的に行動する仕掛けを作る必要があります。

強制的に行動するために使えるのは「人の力」と「契約の力」

行動するための強制力を作るには、人の力を使うか、契約の力を使うかです。

例えば、運動の習慣を再開したいのであれば、パーソナルトレーナーを雇うのもいいかもしれません。スポーツジムの何かのプログラムに参加するのもいいかもしれません。とにかく運動せざるを得ない状態を作ることです。

行動契約を活用するのもお勧めです。行動目標を達成することを約束し、守れなかった場合にはペナルティを負うことを契約します。行動契約の詳細は下記を読んでいただくと、何となく分かるかと思います。

www.behavior-assist.jp

www.behavior-assist.jp

また、行動契約を実際に使う場合は、StickK.comというWebサービスを利用するといいでしょう。こちらの使い方も下記の記事で取り上げています。

www.behavior-assist.jp

このように強制的に行動する仕組みを作り、習慣を無理矢理再開させます。

無理矢理なので最初は辛いかもしれません。いつまで強制的に行動する必要があるのでしょうか。答えは一つ。巡航高度に到達したと自覚できるまでです。

習慣が継続しやすい仕組みを作っておく

「忙しい」程度で習慣が止まらないようにする3つの工夫

以上のような取り組みで、無事習慣が再開できたとしても、そこで安心はしないでください。そもそも忙しい時期を挟むだけで習慣が止まってしまうのは、あまりにも脆すぎます。もっとスムーズに再開できるような仕掛けを考えておくべきでしょう。

次の3点を考えてみてください。

  1. 長期間の行動契約を結んでおく
  2. 行動の実行コストを可能な限り下げておく
  3. 行動できない日を許容するゆとりを作っておく

長期間の行動契約は「行動しやすい環境」を作ってくれる

行動契約には、行動を促す強い力があります。これを長期間にわたって使うということは、その期間の間、行動が生じやすい環境を手に入れるのと同じ。約束とペナルティのバランスをとっておけば、辛さは殆どありません。手軽な方法なのでお勧めです。

行動契約は忙しい時期も継続しておきましょう。約束を守れずペナルティを負うことになるかもしれませんが、習慣を促す力が常に働き続けますので、忙しくても少しはやろうとしたり、忙しさが緩和したらすぐにも再開しようとしたりできます。

簡単に実行できることは全てにおいて有利に働く

実行コストを下げておくことは、全てにおいて有利に働きます。同じことをやるなら、簡単に実行できた方が継続しやすいでしょうし、止まってしまった場合も再開しやすくなります。

どうしたらもっと楽に行動できるでしょうか。色んなアイデアを考えてみてください。道具の配置を変えるだけで楽になるかもしれません。パソコンを上手く使うと楽になるかもしれません。手順を変えてみたら楽になるかもしれません。

ほんの少ししか変わらないとしても、是非取り組んでおいてください。僅かな差が行動する/しないに関わることもあります。

ゆとりを設定することで粘り強さが生まれる

最後に考えておきたいのが「ゆとり」です。毎日欠かさず行動することを自分に課すと、1日でもできない日があったらそれでアウトです。

体調が悪くなってできない日があるかもしれません。緊急事態が起きてできない日があるかもしれません。遠くから友人が遊びにきてできない日があるかもしれません。今日、行動できなくなるかもしれない原因は、たくさんあります。

毎日続けることはカッコいいですが、習慣の継続という点では脆いのです。

行動できない日があったとしても「続いている」状態をキープできるよう、ゆとりを設けるようにしてください。例えば、週に5日実行できればOK、といったように。これならできない日が2日あっても、継続の条件をクリアしています。

以上の3点の工夫によって、僕たちの継続力は粘り強いものになります。全てではなくてもいいので、取り入れてみてください。

まとめ

本記事でお伝えしたことは次の3点です。

  1. 忙しい時期に習慣が止まることで「昨日まで続けていた」という行動の履歴を失ってしまう。そのため「今日も行動できた」という結果の魅力が失われ、行動を続けることができなくなる。
  2. 習慣を再開するためには、「今日も行動できた」という結果が再び魅力を取り戻すようになるまで、強制的にでも行動を積み重ねる環境を作るしかない。人の力、契約の力を使って、無理にでも行動するための工夫をしよう。
  3. 忙しくなるだけで習慣が止まってしまうのでは脆すぎる。長期間の行動契約、行動コストの低減、ゆとりを設けるといった3点の工夫によって、粘り強い継続力を手に入れて欲しい。