個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

スマホに現実逃避してばかりで仕事が進まない方への「行動レシピ」

仕事でちょっと詰まってしまうと、ふっとスマートフォンに手が伸びてしまいます。それでゲームを始めてみたり、動画を見始めたり、ニュースを読み始めたりしてしまいます。ええ、現実逃避です。

なぜスマホはこんなにも僕たちの仕事の邪魔をしてくれるのでしょうか。僕たちの意思は弱いので、スマホの誘惑に打ち勝ち仕事を進めることができません。

こういう時こそ行動の原理原則に沿って問題の正体を読み解き、対策を練るべきでしょう。どんな仕事が現実逃避を促しやすくて、それにはどう対処すればいいのか。またスマホの誘惑を弱めるにはどうすればいいのか。

そういった現実逃避の問題に対処するための「行動のレシピ」をお伝えします。

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なぜスマホに逃げるのか? パターンは3つ

現実逃避は僕たちがしばしば抱える行動上の問題の一つ。”逃避”ということは、何かから逃げ出しているわけですが、一体何から逃げ出しているのでしょうか?もちろん、仕事から逃げ出しているのですが、もう少しそこのところを具体的にみてみましょう。

行動の法則に則って分類してみると、現実逃避の対象となる仕事は次の3パターンに集約されます。

  1. 嫌な作業がある、嫌な人との接触がある
  2. ゴールが遠くて作業しても少しずつしか近づかない
  3. 手が止まりやすい仕事、すぐに次のアクションに移れない

1つ目のパターンは一番分かりやすいでしょうか。嫌なことは人間、誰しも避けたいものです。嫌な作業や嫌な人との接触はなるべく先延ばしにしようとします。現実逃避が嫌なものとの接触を先延ばしにする手段となります。

例えば、クレームのメールに返信をするだとか、部下にリストラを言い渡す仕事だとかが該当します。

2つ目のパターンはゴールまで遠い仕事です。頑張って少しずつしか進みません。こういう仕事は面倒さを感じたり、気が重くなったりするもの。ですので、やっぱり逃げ出したくなものです。

例えば、ブログでアクセスを増やしたくて、コツコツと記事を増やしていく仕事だとか、セミナーを開催するのそのための資料を作る仕事だとかが該当します。これらの仕事は、一歩一歩地道にゴールに近づいていくしかありません。

3つ目のパターンは手が止まりやすい仕事です。進めようと思っても、具体的な次のアクションが見出せなくて、何もできない時間がにぶち当たってしまいます。

例えば、新しい商品の企画を考えようとしているけど、何も思いつかずに手が止まっているような状態。あるいは、本を執筆しているのだけど、書こうと思っても続きをなかなか書けないような状態です。

パターンごとに使える行動改善のレシピ

仕事からの現実逃避が起きている場合、上記の3パターンのどれか、あるいはそれらが複合した仕事に直面していることになります。それぞれのパターンに対処する手段を持っていなければ、なかなかこの状況から脱するのは難しくなります。

そこで各パターンに応じた行動のレシピを紹介したいと思います。

パターン1:嫌な仕事、嫌な人からの逃避に対処するレシピ

嫌なことから逃げないでちゃんと仕事進めたいなら、嫌なことに負けないだけの強制力を作りましょう。一時的なものでいいので、それをやらざるを得ない状態にするのです。

例えば知人・友人に協力を求める方法があります。誰かと一緒にそのやりづらい仕事に取り組めば、逃げ出すのは難しくなるでしょう。

嫌な仕事を先延ばししてしまうことに、みんな悩んでいるはず。それなら嫌な仕事を進める時間を決めて、一緒に仕事してみるといいかもしれません。この時間はそれぞれが抱える嫌な仕事を片付けてしまう時間で、ちゃんと仕事を進めたかどうか互いにチェックしあえば、それなりに効果が見込めるかと思われます。

他の人の協力が得られない場合は、行動契約を使うといいでしょう。行動契約とは、やるべきことを約束し、もしそれができなかったらペナルティを負うという方法です。詳しくは下記の記事をみてください。

www.behavior-assist.jp

行動契約を使えば、相当強い強制力を作ることができますので、先延ばしを乗り越えることも可能です。

尚、嫌な気持ちを無くそうとか、勇気を出そうといったアプローチはドツボに嵌まるので止めておいた方がいいでしょう。嫌な気分であっても行動できるし、乗り越えることができる。そんな経験を積み重ねることは、中長期的にみるととても大切なことなのです。

パターン2:ゴールが遠すぎて少しずつしか近づけない仕事に対処するレシピ

ゴールに少しずつしか近づけない仕事の場合は、時間を短く区切ったり、トークンと呼ばれる擬似的なご褒美を使ってみるといいでしょう。

いずれにせまずやるべきことは、仕事をスモールステップに分解することです。スモールステップに分解してから、例えば「いまから5分で1ステップだけ進めよう」といった感じで取り組んでみてください。これくらいの時間なら頑張れそうと思える短い時間で大丈夫。

よく言われることですが、少し取り組んでみることができたら、不思議とそのまま最後までやれてしまえた、ということがあります。もしそうなれば儲けものですし、そうならなくても時間がきたら止めても構いません。

小さなハードルを作って、それを乗り越えていくことでこの問題に対処してください。

またその小さなハードルを乗り越えたら、トークンと呼ばれるポイントみたいなものを獲得できるようにしてもいいでしょう。5分頑張ったら1ポイント、このステップをクリアしたら3ポイント、といったように。

このやり方は行動契約を組み合わせると有効に機能しますので、もし良かったら下記も参考にしてみてください。

www.behavior-assist.jp

パターン3:手が止まってしまい次のアクションが生じない問題に対処するレシピ

仕事中に頻繁に手が止まってしまう場合は、何はともあれスモールステップへの分解から。何をやるべきかの具体的な行動のリストを作ってみてください。どんどん小さな行動へ分解していきます。

手が止まってしまう場合、具体的に何をすればいいか分かっていない場合があります。やれるかどうかは別にして、まずはやるべき行動を認識できるようにしましょう。

その上で行動しやすくするための補助を自分に与えてみましょう。例えばブログなどで何を書いたらいいか分からなくなった時、文章のテンプレートみたいなものを使ってみてもいいでしょう。

最初に結論を書いて、何が問題かを書いて、解決の方法を書き、また結論を書く。そんなテンプレートです。

こういうものがあれば、何も無いまま文章を書くよりも、何かを書けばいいか思いつきやすくなります。

文章に限らず、その仕事を進めるための型を幾つか持つことができると、手が止まってしまった時にそこに一旦戻ることで、仕事を立て直すことができます。少しずつでも先に進むことができるようになるのです。

スマホが使いにくい環境を作ろう

さて、以上のような工夫をすることで、仕事から逃避する理由を弱めることができます。これだけでも現実逃避の頻度は下がるでしょう。

しかし、そもそもなぜ現実逃避にスマホを使うのでしょうか。最後にその点についても考えておきましょう。

結論から言ってしまえば、スマホはあまりにも手軽にたくさんのことができてしまうのが問題なのです。常に近くにありますし、アプリを切り替えればいくつもの現実逃避の手段に接触できます。この手軽さの前には多少の現実逃避の対策をしたところで、なかなか勝てないかもしれません。

だから少しスマホを使いにくくする工夫をしておくといいでしょう。簡単な工夫です。例えば仕事をする時にスマホを遠いところに置いておくのです。隣部屋に置く程度で大丈夫。

もしスマホを隣の部屋において仕事を始めるとどうなるでしょうか。スマホを使いたくなったとき、わざわざ席を立って隣の部屋に移動する必要があるのです。この手間が加わるだけでも、スマホの手軽さを失わせることができるのです。

これはスマホに限りません。僕たちは色々な方法で現実逃避しようとします。その一つ一つを簡単には実行できないように工夫をしていくといいでしょう。少し負担が高くなるようにするだけで、思いの外、その現実逃避をやらなくなります。

仕事から逃げたくなる理由を減らしながら、同時に現実逃避の手段を重たくしていけば、僕たちの現実逃避癖は劇的に減ることでしょう。

まとめ

本記事でお伝えしたことは次の3点です。

  1. 次の3つのパターンに当てはまる仕事の場合、僕たちは現実逃避しやすくなる。(1)嫌な仕事や嫌な人との接触がある、(2)ゴールが遠すぎて頑張っても少しずつしか近づかない、(3)手が止まって次のアクションがなかなか生じない。
  2. それぞれのパターンに対処するための行動のレシピを知っておくこと。そうすれば、現実逃避を促す力を弱めることができる。
  3. スマホはあまりにも便利すぎるので、多少の現実逃避対策をしたところで効果が薄いかもしれない。現実逃避への対策と合わせて、スマホを使いにくくする工夫をするといいだろう。