行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

家に帰るとやる気が出ない人のための5つの行動の工夫

Q.
カフェ等で作業している時は大丈夫なのに、家に帰るとやる気がなくなって行動できません。私のやる気スイッチはどこにあるのでしょうか?

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A.
やる気は行動の原因ではありませんので、やる気の出し方を考えるのは止めましょう。少しでも行動しやすくなるよう「家の中の環境」を調整するといいです。以下で5つの工夫をお伝えしますので、組み合わせて試してみてください。

解説:やる気のレッテル貼りから抜け出し、行動するための環境を整えよう

「やる気が出ない」を具体的に分解してみよう

「やる気が出ない」は現状についてのレッテルであり、原因ではない

やる気が出ない、という表現は良く聞きます。やる気がでなくて行動できないわけですよね。でも、やる気が出ないとはつまりどういうことなのでしょうか。これを少し具体的にしていきます。

まず「やる気がない」とは単なるレッテルです。行動できないでいる現状について、自分なりに言及した結果、それを「やる気がない」と評しただけのもの。つまり結果について述べているのであり、原因ではないという点が重要です。

では、その行動できないでいる現状について更に具体的に考えていきます。

「○○しなきゃ」という思考が、ネガティブな感情を誘発する

やる気が出ないと思えるとき、どちらかと言えばネガティブな状態を感じているのではないかと思います。これはどこから来るのでしょうか。

ネガティブな感情や体の状態は、行動科学において「レスポンデント行動」と分類されます。レスポンデント行動は、特定の刺激によって自動的に誘発されるものです。つまり、ネガティブな感情や状態を誘発している刺激が存在するわけですが、その刺激は何かというと「○○しなきゃ(でもできない)」という思考だと思われます。

つまり、行動できないでいる現状で起きていることの1つは、「○○しなきゃ」という思考によって誘発されたネガティブな感情や状態を実感している、ということになります。

「○○しなきゃ」という思考が、自己教示として機能していない

また「○○しなきゃ」という思考は、自分から自分への指示のようなものです。これを自己教示といいます。自己教示が上手く機能すると、教示内容にしたがって行動が生じることがあります。

詳細は下記を読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

しかし、実際は「○○しなきゃ」と考えつつも行動できないでいるわけですので、この場合、自己教示は上手く機能していないということになります。これが行動できないでいる現状で起きていることの2つ目になります。

家ではやらない、と割り切るのも一つの手

ではどうすればいいのでしょうか?

一つの解決策というか考え方ですが、「家ではやらない」と割り切るのも悪くないと思います。

家に帰るとやる気がでないということなので、おそらく他の場所ではやる気を感じられることがあるのでしょう。そういった場所が分かっているなら、次に何かやろうとする時はそこでやればいいのです。行動しやすい環境をもっと積極的に利用しましょう。

その分、家では好きに過ごせばいいのです。

家でも行動するための5つの工夫

そうはいっても家でも行動できるようになりたいし、その方が時間も確保しやすい。だから、家ではやらないと割り切るわけにはいかないという場合もあるでしょう。

そんなあなたのために5つの工夫をお伝えします。

そもそも行動できないのはなぜか?

僕たちが行動できないでいる時、理由は次の2つのどちらかです。

  1. 行動することに分かりやすいデメリットがある(=弱化されている)
  2. 行動しても分かりやすいメリットがない(=強化されていない)

例えば、カフェでは作業できるけど家では作業できないケースを考えてみましょう。家で作業しようした場合、「家でできる様々なことができなくなる」というデメリットが生じます。あなたはテレビを観たり、ゲームで遊んだり、ご飯を作ったりしたいかもしれません。何かの作業をはじめてしまうと、それらができなくなってしまいます。

またカフェや会社では存在したメリットが、家の中では生じなくなっている場合もあります。例えば一緒に作業している誰かがいると、その相手との相互フィードバックという分かりやすいメリットが得られるようになります。

以上を踏まえて、家の中でも行動しやすくなるための工夫を考えてみましょう。

1. ライバル行動を遠ざける

家の中には「やりやすい行動」がたくさんあります。それらがあなたの作業の邪魔になっています。それらのライバル行動がやりにくくなる工夫を考えてみましょう。

TVのコンセントを抜いておいたり、ゲームを押入れの奥にしまったりするだけでも、かなり変わるはずです。やりやすさを「本来やりたい行動 > ライバル行動」となるように、家の中の環境を調整してみてください。

2. きっかけや手がかり(プロンプト)を増やす

作業に取り掛かるきっかけや手がかりを増やしてみましょう。リマインダーをセットしてみたり、壁に「○○をやろう」と書いてみたり、家に帰ってからの細かいスケジュールを立ててみたり、ToDoリストを作成してみたり。

これらだけで行動が改善する保証はないのですが、細かい工夫の積み重ねで行動が生じる可能性が上がります。その他の工夫と組み合わせて導入を検討してみてください。

3. 実行しやすいタイミングをつかむ

家に帰るとやる気がないという場合でも、相対的に行動しやすいタイミングとそうでないタイミングがあると思います。

例えば夕食を食べる前がいいのか、食べた後がいいのか。今日は観たいTV番組があるのか、そうでもないのか。夜に作業した方がいいのか、それとも朝早く起きて行動した方がいいのか。

思いの外、様々な選択肢があるものです。それらの中から少しでも実行しやすいタイミングを見つけてみてください。

4. 自己教示・自己賞賛のトレーングをする

○○しなきゃ…という思考は自己教示と呼ばれるものになります。これが行動を促すきっかけになっていないということは、自己教示として上手く機能していないものと思われます。

自己教示は行動の後の自己賞賛とワンセットです。この2つを上手く使いこなせるようにトレーニングしてみてもいいかもしれません。これについては先ほど紹介した、下記の記事を読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

5. 行動契約を使う

どうしても行動することができないようであれば、行動契約を検討しましょう。行動契約は「行動することを約束し、約束が守れなかった場合はペナルティを負う」という行動を支援するための道具です。かなり効果的なのでおすすめです。

長期に渡る行動契約を使ってもいいですし、ある程度、軌道にのるまでの初期段階を乗り切るために使ってもいいでしょう。

行動契約についての詳細は、下記も読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

以上、5つの工夫を紹介しました。どれか1つだけで行動できるようになるかもしれませんし、複数を組み合わせる必要があるかもしれません。何れにせよ「試してみる」というスタンスで取り入れてみてください。