個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

逆境に対処できる行動を獲得すればレジリエンスは自動的に高まる

Q.
よくレジリエンスが低いと言われてしまいます。どうすればいいでしょうか。レジリエンス1つ、ください。

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A.
レジリエンスを高くしたいのであれば、レジリエンスを高くしようとするのは止めましょう。その代わり、不利な状況に対処できる行動のレパートリーを増やします。それらの行動を獲得できれば、あなたはまるでレジリエンスの高い人のように見えることでしょう。

解説:大切なのは逃避行動を減らし、逆境に対して適切な行動を増やすこと

「レジリエンスが低い」は個人攻撃の罠に嵌っている

レジリエンスってちょっと前から耳にするようになった言葉ですね。Wikipediaをみると2004年くらいからあるらしいです。知りませんでした。

まずは定義を押さえておきましょう。レジリエンスとは次のように定義されるようです。

社会的ディスアドバンテージや、己に不利な状況において、そういった状況に自身のライフタスクを適応させる個人の能力

難しいですね。一般的な解説を探してみると「逆境力」とか「折れない心」とか表現されることが多いようです。つまりレジリエンスが低いとは、逆境に弱いとかすぐに心が折れてしまうことを指しているのでしょう。

まぁ、結論は同じなのでなんでもいいんですけどね(投げやり)。

レジリエンス問題は単なるレッテル貼りでしかない

というのもレジリエンスがどうとかという評価は循環論であり、単なるレッテル貼りになっているということです。

レジリエンスが低いことがなぜ分かるかというと、ある状況において諦めてしまうとか、逃げてしまうといった振る舞いが観察されたからでしょう。行為を理由にレジリエンスが低いと評価されたわけです。

では、あなたが諦めたり逃げたりするのはなぜでしょうか。レジリエンスが低いから…だと話が循環してしまいます。逃げるからレジリエンスが低いのか、レジリエンスが低いから逃げるのか。鶏と卵の話のようですね。

こういった考え方は循環論といって、行動の原因を述べているようで単なるレッテル貼りにしかなっていないのです。行動には別の原因があるので、そちらを見るようにしましょう。

ちなみに循環論についてもっと詳しい説明が必要でしたら、下記の記事をご覧ください。

www.behavior-assist.jp

レジリエンス問題を行動的に表現し直してみよう

逆境から逃げてしまうこととレジリエンスが低いことは、同じ事象を違う言葉で表現しただけです。逆境から逃げるという行動が変われば、レジリエンスが高い人のように見えることでしょう。

なのでここでは逆境から逃げるという行動に注目して考えていきます。

逆境から逃げるという行動は、おそらくあなたにとって逆境に対処するための唯一の手段になっています。他に適切な行動がないため、逃げるしかできないわけですね。

逆境に適切に対処するためにまず大切なのは、逃げる代わりに何ができたらいいのかをハッキリさせることです。あなたがやるべき行動を決めましょう。

やるべき行動が決まれば、問題は次のように記述できます。

レジリエンスが低いという問題は、ある不利な状況において「逃げる」「止める」といった逃避行動が過剰に生じていて、かつその状況に対して適切な行動が不足していることをいう。

つまり過剰な逃避行動を減らし、不足している適切な行動を増やせばいいのです。

具体的に思いつく複数の状況で使える行動を獲得しよう

逆境とそこで使える行動のリストを作ろう

まず最初にあなたがこれまで「心折れてしまった逆境」を幾つかリストアップしてみてください。ある程度、数が出てくるといいので、大きな逆境・小さな逆境どちらも取り上げてみましょう。

ある程度、逆境と思われる状況が出てきたら、次に考えるのは「それらの逆境で使える行動」です。それぞれの逆境で別々の行動を考えるのではなく、全ての逆境である程度共通して使える行動を考えてください。

なぜ全ての状況で使える行動を考えるのかというと、これから現れるかもしれない未知の逆境への対処力を上げるためです。これまでの全ての逆境に対して使える行動であれば、新たな状況に対しても有効に働く可能性が十分にあります。

もし書き出した逆境が多すぎて、全てに対処できる行動を考えるのが難しいようであれば、逆境をグルーピングしてからそれぞれのグループごとに適切な行動を考えてみましょう。

”できる”ようになるために必要なのはトレーニング

ある程度、行動が出てきたら次はトレーニングです。リストアップしただけでできるようになれば苦労はありません。自転車みたいなもので、乗れるようになるためには練習が必要なのです。

一番いい練習方法は、誰かの協力を得てロールプレイしてみることでしょう。なかなか気恥ずかしいですが、なるべく当時に近い状況を再現した上で練習できると効果的です。

もしそれが難しいようであれば、一人でもいいので練習してみてください。実際に身体を動かしたことがあるかどうかで違いが出ることもありますので。

練習が本番でも発揮されるような工夫をしておく

一人で練習する場合は、何か決まった道具や小物、お守りみたいなものを持っておき、本番にもそれを持って望むようにしてみてください。自己生成般化媒介刺激(難しい言葉ですね)といって、練習の成果を発揮しやすくなる可能性があります。

また一人で練習するにせよ、誰かの協力が得られるにせよ、複数の状況を想定して練習を繰り返してください。1つの状況だけで練習した場合、限定された状況でしか練習の成果を発揮できなくなります。複数の状況で練習したからこそ応用力が身につき、実際の逆境の場面にも対応しやすくなるのです。

以上のような方法で「行動」を変えることができれば、あなたの振る舞いはまるでレジリエンスの高い人のそれと同じように見えることでしょう。つまり、あなたの評価は「レジリエンスの高い人」になります。