個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

やらなきゃいけないと分かっているけど行動できない時の対処法

Q.
やらなきゃいけないことは分かっているけど、そう思う程、手を付けられなくなります。

f:id:h-yano:20151025183553j:plain

A.
”やらなきゃ”と考えることは、ただでさえ気の重い仕事なのに、その気の重さを強めてしまうことになります。それが現実逃避等を誘発し、先延ばしを招いてしまうのですが、まぁ、やらなきゃなぁ…と考えてしまうこと自体は仕方ありません。それを受け入れつつも、目の前の最初のステップに集中できるよう工夫してみましょう。

解説:さっさと片付けたい、やらなきゃという思考が足かせになることもある

”やらなきゃ”という考えが行動に及ぼす影響

やらなきゃいけないと頭では分かっているのに、行動がついてこないってことは、誰しも経験があるのではないでしょうか。こういう行動がサクッと、悩むことなくできるのであれば、行動の問題の何割かは解決できそうにも思えます。

なぜ「やらなきゃいけないこと」になかなか手を付けられないのでしょうか。もう少し具体的にいえば、「やらなきゃ」と考えることは行動にどのように影響を与えているのでしょうか。

気の重い仕事は、ただそれだけでも厄介な存在です。手を付けるのが難しいというのもうなずけます。

しかし、ここに「やらなきゃ」という思考が重なることで、仕事の「気の重さの影響」がより強くなる可能性があります。

やらなきゃという思考には「気の重い仕事を忘れないように、早めに手をつけられるように気にしておこう」といった意図が含まれています。

気にしておくというのは、その対象についてなるべく意識の前面においておこうという行為であり、つまり結果として「気の重い仕事と常に一緒にいる」という状態を作り出すことになります。

気の重い仕事は僕たちにとって、なるべく避けたいものだと思われます。当然、さっさと片付けてしまいたいはずです。少なくともそうすることができれば一番いいことは、皆さん分かっていることでしょう。

気の重さへの対処の仕方が罠になる

常にそばにいる気の重い仕事への対処法として、最も良いのはさっさと終わらせること。これはまさに何の問題もない、ベストな対処方です。しかし、質問者のような悩みを持つ人の場合、それができないから困っているわけです。

気の重い仕事をなくしてしまう方法は、実は他にもあるのです。

問題は「気の重い仕事のことを常に気にかけている」という状態です。気にかけているからこそ、気の重い仕事にウンザリします。ではもし「気にかけている状態」から抜け出す方法があったとしたらどうでしょうか。一時的に忘れる方法といってもいいかもしれません。

実はこれは「気の重い仕事をなくす方法」の1つとして機能します。もっと分かりやすくいいましょう。この対処法は一般的には「現実逃避」と呼ばれるやり方です。

例えば、気の重い仕事を抱えている時、ふとYoutubeのおすすめ動画が目に入ったとします。ちょっとだけ動画を観てから始めよう、と思ってクリックする人は少なくないはず。

あるいは何か別の急ぎの仕事を思い出して、そっちをやってからにしようと考えるかもしれません。他にも珈琲を入れてから始めようとか、数分で終わるスマホのゲームを1回だけやってからにしようとか、以前から欲しいと思っていたiPad Proの口コミを調べたりとか…ええ、まぁ、全部僕の例なんですけね。

このような対処法はいずれも「頭の中」から気の重い仕事をなくしてくれます。やらなきゃという思考がもたらしていた「気になる状態」を一時的に解消してくれるのです。

ところが問題は仕事自体が全く進んでいないということで、現実逃避から戻った時にまた「やばい、そろそろやらなきゃ」と考えることになります。再び「気になる状態」に戻ってきてしまうのです。場合によってはより悪化していることでしょう。

行動や仕事を大きくも小さくも捉えない

気になる状態というのは、その仕事の「気の重さ」をより強めることになります。つまり、やらなきゃと思いつつ、なかなか手をつけられないでいるということは、「気の重い仕事の気の重さ」を本来よりも大きく感じていることになるのです。

気が重くなり過ぎれば、当然、それを遠ざけたいという力も強く働きますので、その最も手軽な手段である現実逃避も頻繁に生じることになります。

このあたりがこの問題の正体です。

気の重い仕事そのものを無くすことはできません。それこそ、さっさと完了させるしかないのです。そうせずに「やらなきゃ」と考えたり、そこから逃避したりすると悪循環に嵌ります。

この問題に対して僕たちのできる生産的な対処法は、気の重い仕事をなるべくそのまま捉えることです。大きくも小さくもせず、そのままのサイズで。

ただ頭の中だけで対処しようとすると、どうしたって「やらなきゃ」と考えてしまいますので、それ以外の方法が必要です。気の重い仕事は自分の外で管理するようにしましょう。

忘れないように気にしておく必要があるのなら、ToDoリストやリマインダーを使うといいでしょう。繰り返し考えてしまようであれば、ノートに実際にやらなければならない行動と自分が気にしていることとを分けて書き出してみましょう。気の重さを生み出しているのは、仕事そのものではなく「自分が気にしていること」の方だと気づきます。

またやるべきことを具体的に考えてみるのも、適切なサイズを認識するのに役立つでしょう。漠然とやらなきゃ…ではなく、それを具体的な行動のリストに落とし込むだけでも捉え方が変わることがあります。

本来、僕たちが集中すべきことは、その気の重い仕事についての最初のステップなはずです。あれこれと考えてしまうことはあるかもしれませんが、それはそれとして、目の前の行動「だけ」が意識の前面にくるように工夫してみてください。