行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

アイデアを実行できない4つの理由と行動するための4つの質問

優れたアイデアを思いついた時、停滞した状況や困難な状況を覆してくれそうに思えて、未来に希望を感じることができます。あとはこれを実行すればいい。そう確信しているにも関わらず…なぜかそのアイデアを実行することができません。

たくさんのアイデアを思いつき、たくさんのアイデアが形になることなく消えていきます。

アイデアが実行できない理由は次の4つです。具体的な行動が定義できていない、行動と結果との関係が明確になっていない、結果に魅力を感じられない、行動に有利な環境になっていない。

アイデアをちゃんと行動という形に落とし込みたいのであれば、この4つの実行できない理由を乗り越える必要があります。本記事ではその方法をお伝えしています。

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そのアイデアは何故実行されないのか?

いいアイデアを思いついたのに行動することなく流れていってしまった…という経験はないでしょうか。僕はあります。しょっちゅうあります。残念です。

いいアイデアなのに、なぜ行動しないのでしょうか。

アイデアの実行には具体的な行動が必要だ

アイデアが実行されない理由はいくつかありますが、その中の一番の理由は行動が定義できていないことでしょう。例えば次のようなアイデアは、そのままでは実行することができません。

  • ブログのメニュー構成を検索ニーズに合わせて変えよう

一見、行動できそうに思えてしまうのが厄介なところです。しかし実際に行動するとなれば、次のような表現で具体的行動を記述する必要があるでしょう。

  • サーチコンソールでニーズのあるキーワードをピックアップする
  • メニューに採用するキーワードを4〜5つ程に絞り込む
  • キーワードに合わせて記事のカテゴリーをどう整理するかを決める
  • その方針に従って記事のカテゴリーを修正する
  • メニューを変更し、対応したカテゴリーの記事が表示されるようにする

アイデアが小さな複数の行動によって構成されていることに気づかず、そのまま実行しようとすると「何をどうすればいいか分からない」という状態に嵌ってしまうことがあるのです。

アイデアの実行には具体的な結果が必要だ

次の理由は行動は把握できているが、それによってもたらされる結果が明確になっていないという点。

良さそうに思えるアイデアは、最初は「面白そう!」とか「いけそう!」といったように感覚的に評価したものであることが多いです。もちろん最初はそれで構わないのですが、そのままでは行動にはつながりにくいでしょう。

なぜなら行動はその結果によって促されるからです。アイデアに基づいた行動が、どんな結果をもたらすのか。そういった行動と結果との関係を明確に認識できた方が、実行しやすくなります。

反対に行動によって得られる結果が曖昧なままだと、アイデアは行動を促す力を失っていきます。

アイデアの実行には魅力的な結果が必要だ

3つ目の理由は、アイデアによって得られるであろう結果が、どの程度魅力的なものになっているのかについてです。

行動と結果との関係が明確だったとしても、その結果自体に魅力を感じられなければ意味がありません。結果が行動を促す力を持たないのです。

アイデアによってもたらされる結果が魅力的なものなのか。あるいは、アイデアによって既存の結果が魅力的なものになったのか。このあたりを注意する必要があります。

アイデアの実行には有利な行動環境が必要だ

最後の理由は行動環境の問題です。アイデアを実行するということは、恐らくいままでやっていなかった行動をやることになるのでしょう。それはつまり、代わりに既存の行動のどれかを止めなければならない、ということです。

アイデアによる新しい行動といままでやっていた既存の行動との間で、時間や労力などのリソースを奪い合うことになります。その競合の結果、これまで通り既存の行動に優先的にリソースを割り当てるのであれば、当然、アイデアは実行できなくなるでしょう。

アイデアを実行するための4つの質問

以上を踏まえると、アイデアを実行するには次の4つの質問に答えてみるといいでしょう。

  1. そのアイデアについて具体的には何をやる?
  2. そのアイデアにもとづく行動によって、どんな具体的な結果が期待できる?
  3. その結果はどう役に立つだろうか?
  4. その結果のためにいまリソースを集中すべき理由はあるだろうか?

これらの質問は先ほどから説明してきた、アイデアを実行できない理由のそれぞれに対応したものになっています。

行動の具体性を判断する方法

具体的な行動を記述する場合は、その行動を実行している場面を映像に写せるかどうかを考えてみるといいでしょう。

例えば「ダイエットする」だけだと、映像に何が写っているのかイメージすることができません。これが「毎朝15分、ジョギングする」であればどのような映像になるかイメージすることは可能です。これが具体的ということです。

行動と結果との妥当な関係

行動によってどんな結果が期待できるかを考える場合、鍵となるのは「なぜその結果が得られるのか」についての妥当な説明です。行動と結果との関係に妥当性を感じられなければ、結果は行動に対して影響力を持てなくなります。

何をもって妥当とするのかは、人それぞれ個人差のあることですが、行動と結果との関係に確信が持てれば持てるほど、結果は行動に影響を及ぼしやすくなります。

結果そのものの魅力

ただし、その関係にどれだけ妥当性を感じていようとも、結果そのものに魅力がなければ意味がありません。その結果がどのように役立つのかを考えてみることで、結果の魅力に気づくことができるかもしれませんね。

あるいはその結果を「いま気にするべき理由」があるかどうか検討してみるのもいいでしょう。既存の行動や結果に比べて、アイデアによってもたらされる新しい結果の方を優先して気にかけるべき理由は何かを考えてみてください。

行動することが約束された環境を作る

以上のような質問に答えていくことで、アイデアを実行しやすくなってくるはずです。更にダメ押しで行動しやすい環境を作ることを検討してみるといいでしょう。

いつ、どこで、誰と行動するかを決める

具体的に記述した行動をなるべく簡単に実行できるように、道具やタイミング、場所等を工夫してみましょう。

あるいはいつ、どこで、誰と実行するかを決めてしまうのもいいです。決めた後はリマインダーにセットしておいたり、スケジュールに記入したり、誰かと一緒に行動することを約束したりするといいでしょう。

行動しやすいタイミングを知ろう

いつ行動するかは結構重要かもしれません。例えば読書したいのであれば、朝起きて頭がスッキリした状態で読むのか、それとももう眠気が強くなってウツラウツラしてしまいそうな寝る前に読むのかで、行動のしやすさが変わるでしょう。

他にも十分に睡眠を取った後なのか、それとも3時間しか寝てなくて睡眠不足なのか。こういったものも行動のしやすさに影響を与えます。

自分が行動しやすいタイミングを上手く見極めてください。

やりたいことのみに集中しやすい環境

本来やりたいこと「以外」の行動が実行しにくい環境も用意できるといいですね。アイデアによる新しい行動を既存の行動が邪魔しているなら、既存の行動が実行できない環境や時間帯を作ってみると、新しい行動を実行しやすくなるはずです。

例えば執筆活動に専念したいと思うのあれば、ネットのつながらない喫茶店などにパソコンを持ち込んでみるものいいでしょう。そうすればメールの返信だとか、Facebookのメッセージなどに煩わされずに済みます。ついでスマートフォンもおいて出かけてみると、普段とは全く違う作業環境になるかもしれませんね。

こういった工夫を積み重ねることで、行動しやすい環境を作ることができます。

まとめ

本記事でお伝えしたのは次の3つです。

  1. アイデアの実行には(1)具体的な行動、(2)具体的な結果、(3)結果の魅力、(4)有利な行動環境の4つが必要である。
  2. アイデアを実行しやすい状態を作るために4つの質問に答えてみよう。具体的な行動を定義し、行動と結果との妥当な関係を見極め、結果の魅力について検討することができる。
  3. ダメ押しとして行動しやすい環境を整えよう。いつ、どこで、誰を行動するかを決めてしまおう。行動しやすいタイミングであったり、やりたいことのみに集中しやすい環境を念頭に置くといい。