行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

もうひと頑張りができない人は「短い時間でベストを尽くす」を考えよう

Q.
もうひと頑張りができません。もう少しだけでも頑張れたらいい流れになりそうなのに、それができないです。

f:id:h-yano:20111111201425j:plain

A.
自分に課した「もうひと頑張り」のハードルが高すぎます。ハードルが高すぎれば、頑張ることを避けるメリットが大きくなりますので。時間のハードルを5〜15分くらいにぐっと下げつつ、短い時間とはいえ「ベストを尽くせた」と自己賞賛できる行動をターゲットにしましょう。

もうひと頑張りができないのは、回避・逃避を選ぶメリットの方が大きいから

もうひと頑張りができないのは、頑張るメリットよりも逃避・回避のメリットの方が大きからです。例えば疲れている時などは、もうひと頑張りするよりも、止めてしまってYoutubeの動画を観ることのメリットの方が大きくなるかもしれません。

この場合、後者の選択のメリットは次の2つです。

  1. 疲れている状態での仕事という負担から逃れることができる
  2. Youtubeの動画等を楽しむことができる

もうひと頑張りができないという場合、1つめのメリットが大きく影響します。

”もうひと頑張り”ということは、少なくともその時まではある程度頑張ってきたはずで、そこから更に頑張ろうとすることには負担感を感じています。もうひと頑張りの負担感が大きければ大きいほど、止めてしまうことへのメリットも大きくなるでしょう。

この負担感を上手くマネジメントしなければ、もうひと頑張りすることは難しくなります。

回避・逃避のメリットを大きくしているのは0-100思考

ところで「もうひと頑張りできないでいる」時、前提として、どのような行動や作業を想定しているのでしょうか。

もうひと頑張りを避けることのメリットが大きくなっているということは、ほぼ間違いなく「もうひと頑張りのハードル」を上げすぎています。ハードルを上げれば、当然、負担感も大きくなりますし、それは結局もうひと頑張りを避けるメリットを大きくすることになります。

その時の状態にあった頑張り方が見えていないのです。

もしかすると自分に「大きな頑張り」を期待しすぎているのかもしれませんね。自分に期待することは悪いことではありません。しかし、期待し”すぎる”のは負担感を大きくします。

  • 頑張り度を点数化するとしたら、あなたは「何点くらいのもうひと頑張り」を自分にもとめているのでしょうか?

この質問について答えることで、100点や90点くらいの頑張り方を求めていることを自覚できるかもしれません。またそれ以下の頑張り方には価値がないように思えてしまうことを自覚するかもしれません。

5分という短い時間であっても、その時間はベストを尽くしたといえる行動は何?

そもそも、なぜ「もうひと頑張り」したいと考えているのでしょうか。具体的な理由は様々だと思いますが、簡単にいえば「その時の目的や理想を実現したいから」でしょうし、もっといえば「目的や理想に対してベストを尽くしたと実感したいから」でしょう。

ベストを尽くすことを意識すれば、行動への負担感は上がってしまうかもしれません。でも、そうならない方法もあるのです。例えば次の質問について答えてみてください。

  • いまから活動できる時間が5分だけだったとしても、少なくとも「その5分という時間はベストを尽くした」と自分を賞賛するに相応しい行動は何だろうか?

この問は行動の量に対するハードルを下げ、同時に質へのハードルを上げる質問です。

時間の長さは変えても構いません。その時の状態に合わせて、どのくらいの時間だったら無理なく頑張れそうかを考えてみるといいでしょう。15分かもしれないし、30分かもしれません。

どんなに短い時間であっても、その時間をベストに過ごせたと思える行動を見つけられればいいのです。

ベストを尽くすとは、無理をすることではありません。疲れが溜まっているのに、そこから更に1時間、2時間と頑張ることは本当にベストなことなのでしょうか。もしかしたら、今から10分という短い時間で高いパフォーマンスを出す方がベストといえるかもしれません。

量のハードルを下げ、質のハードルを上げることを考えてみれば、いまの状態にあった「もうひと頑張り」が見えてくるはずです。