行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

やる気が出ない日でも「ベストを尽くす」ことができる行動力

Q.
やる気が出ないときにやる気を出すにはどうすればいいでしょうか。

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A.
今日は”こういうことができればいい”という「理想の行動」から、今日は”こういうことをやるので精一杯”という「現実的な行動」に視点を切り替えましょう。やる気が出ないことに悩むよりも、与えられた手札(やれる行動)を駆使してベストな今日を作れたらカッコイイと思います。

”いつも”気分良く行動したい僕たちの現実

2つの問題が混在する「やる気が出ない」という悩み

どうにもやる気が出ない時ってあります。体も心も重たい感じがして、やるべきことになかなか取り掛かることができません。時間が過ぎていく中、やらなきゃという思いだけは強くなり、そのことがストレスになります。

こんな時、どうしたら僕たちはやる気を出すことができるのでしょうか。

実はこの悩みには2つの問題が隠れてします。1つはまさに「やる気」の問題。気分の問題と言い換えてもいいでしょう。そして、もう1つは「行動」の問題です。

よくある勘違いですが、ヒトは「やる気が出れば行動する」というわけでは”ありません”。やる気は行動の原因ではないのですね。この辺りの詳しい解説は、下記の記事などを読んでいただくといいかと思います。

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気分の問題と行動の問題が混在していて、それを同時に対処しようとしているために困難にぶつかってしまうのです。下記の記事を読んでいただければ分かりますが、やる気がどうあろうとも、僕たちは行動することができます。やる気出ないなぁ…と感じつつも、今日のやるべきことを終えられるのですね。

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でも、僕たちはやる気も感じたい。つまり「気分良く行動したい」というのが僕たちの望みということなのでしょう。

やる気の正体と理想とのギャップ

では少しやる気について考えてみましょう。

気分というものは意識的にコントロールできるものではありません。レスポンデント行動といって、ある刺激に対して自動的に誘発されるものが気分。好きな音楽を聴いている時に気分が高揚したり、嫌いな食べ物の匂いを嗅いだときに嫌悪感を感じたりするのは、自動的なものであり意思が介在する隙間はありません。

理論的には僕たちのいる環境、および個人的な要因(体調など)を完全にコントロールすることができれば、僕たちの気分や感情もまたそれに引っ張られるようにコントロールされることになります。

しかし、気分や感情を誘発する全ての刺激をコントロールするのは不可能です。睡眠の状態、気温や天候、家族や友人の振る舞い、仕事上のトラブルなど、僕たちにコントロールできないものはたくさんあります。

つまり、僕たちは気分…今回の場合はやる気になりますが、それをコントロールするのは難しいということです。

やる気をコントロールするのは難しいにも関わらず、僕たちは”常に”気分良く行動したいと望んでいます。この現実と願望とのギャップが悩みを作りだしています。

知恵と工夫で不利な状況を覆すかっこよさ

ガラッと話は変わるのですが、Web小説のジャンルの一つに「俺Tueeeeee」というものがあります。主人が作中で圧倒的に強く、大したピンチにもならずにサクサクと敵を倒していきます。

個人的にこの手の設定はツマラナイのです。それよりは不利な状況に置かれながら、知恵と工夫でそれを覆していくストーリーの方が面白く感じます。

何がいいたいかというと、いつも「気分良く行動できる」というのも、この俺Tueeeeeみたいなもんじゃないかな、と。そんな無敵状態は現実にはあり得ませんし、あり得たとしてもあまり面白くないな、と。

今日の自分の状態、いまの自分にできること等の限られた手札の潜在能力を、知恵と工夫を使って最大限に発揮して、今日という日にベストを尽くすことができればカッコイイと思うのです。

常に気分良くいることは現実的ではありません。理想的な手札が手元に来ないことを嘆くのではなく、いまあるものを活用することに意識を向けてみてください。それは僕たちに十分できることです。

やる気が無いなりに行動するところまで持っていく技術

やる気が無いときにやる気を出す方法ではなく、やる気は無いなりに行動するところまでもっていこうと視点を切り替えられれば、この問題は解決したも同然です。

やる気はコントロールすることができません。でも、行動はそれに比べるとかなりマシです。完全なコントロールは無理ですが、それでも多くの部分を僕たちの望む方へと修正することができます。

そのためにはまず「いまやれることは何か」を自己認識するところから始めましょう。いま”やりたいこと”は何かではなく、いま”やれること”は何かです。

例えば僕は今日、これから4000〜5000文字くらいのブログを書きたいと望んでいるかもしれません。でも、起きたときからどうも体調がいまいちで集中力にも欠けている。2000文字弱の文章を書くのが精一杯かもしれません。

これがやりたいことと、やれることの違いです。

やりたいことは僕たちの行動の方向性のチェックには役立ちます。でも、実際にどう行動するかは、いまやれることをベースに考えるしかありません。いまやれることで「自分なりのベストな今日」は何かを考えてみてください。

それが適切な難易度の今日の目標となります。

あとは行動をそれに合わせるのみ。実際に行動するにあたって、幾つかの工夫を導入してみるといいでしょう。先程も紹介しましたが、詳しくは下記の記事を参考にしてみてください。向かい風を無風状態くらいにすることはできますし、場合によっては追い風になるかもしれません。

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