行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

8個の行動しない理由 vs 10個の行動する理由

僕たちはなぜ行動するのでしょうか。あるいはなぜ行動できないのでしょうか。行動分析学を使えばその理由は明らかなのですが、説明がやや専門的過ぎてハードルが高くなるので、少しライトに解説してみます。

f:id:h-yano:20171009055123j:plain

何故人は行動するのか?

何故人が行動するのかといえば、それは次の状態が成り立っているからだと思います。

行動するコスト < 行動するメリット

行動に関する悩みを聞いていると、つまり「自分を行動させたい」「他人の行動を変えたい」に集約されますが、それを実現するには上の式を満たしてあげる必要があるんです。

では、行動するコスト・メリットとは、具体的にどんなものなのでしょうか。そこを分かりやすくできれば、行動改善の助けになるかと思いました。

行動に伴う8つのコスト

まずは、行動のコストについてです。全部8つあります。この8つを理由にして、私たちは行動しません。1つずつ、説明します。

行動のコスト1:お金がかかる

まずはこれがありますよね。金銭的負担は、しばしば私たちに行動することを諦めさせます。

  • 金銭的な価値観
  • その時の経済状況
  • これから先の経済状況

この辺りが考慮に入るかな…?

行動のコスト2:時間がかかる

時間も大きな理由になりますね。

時間管理のブログ記事などは、コンスタントに人気を得ているように思いますが、時間を有効に使いたいというのは今の日本人にとってかなり関心の高いことなのでしょうね。

行動のコスト3:肉体的に負担がある

疲れることはやりたくないですよね。行動そのものに対する肉体的負担だけではなく、

  • 病気になった
  • 睡眠不足である

といったものでも、肉体的負担の度合いが上下するかと思います。

行動のコスト4:頭脳的に負担がある

考えるのが大変なことは、避けたいですよね。

昔からノウハウものがもてはやされるのは、考える負担が小さくて済むからでしょうね。そこに答えが書いてある、というのは魅力的です。

このエントリもそれ系だと思いますが、果たして人気を得られますかどうか^^;

行動のコスト5:不安を感じる(精神的な負担その1)

不安は避けたいものです。

例えば、独立したら生活できなくなるかもな〜とか、ここにメルアド入力したら個人情報取られたり、スパムメールが来るかもな〜などは、不安が原因で行動しないパターンですよね。

行動のコスト6:退屈を感じる(精神的な負担その2)

ツマンナイことはやりたくないです。

最初は楽しくても、飽きてしまうと次第に行動のコストが上がっていくということですね。(正確に言うと、行動のメリットが無くなっていく…なのですが、まぁいいか)

行動のコスト7:バカにされるかもと感じる(精神的な負担その3)

ちょっと不安と似ていますけど、ちょっと違います。

自尊心を傷つけられるとか、低く見られるとか、そういった可能性を感じるのも行動のコストになります。

行動のコスト8:孤独を感じる(精神的な負担その4)

孤独を感じることも、当然、行動のコストになります。

例えば、携帯に依存している人が携帯の電源を切ることに怖さを感じるだとか、Twitterに依存している人がネットの届かない所に行くとか、そういった例が思いつきます。

あと、仲間外れにされたくないので、周囲と同調して行動を諦める、というパターンもあるでしょうか。

以上が8つの行動コストです。

行動に伴う10のメリット

コストを考えていると、暗くなってきますね。今度は楽しくメリットを考えてみましょう。

こちらは10個あります。この10のメリットを理由にして、私たちは行動します。

行動のメリット1:お金が得られる、節約できる

お金、健康、性に関するビジネスは、いつの時代も強いらしいです。

その1つ、お金。

FXだとかが流行るのは明らかにお金が理由になっていますし、節約系の本が売れるのもこれが理由ですね。金銭的なメリットがあると感じられるから、私たちは行動します。

残念なのは、実際に行動してみると、勘違であることが分かるケースが多いってことでしょうか orz

行動のメリット2:時間が短縮できる、有効に使える

時間が短縮できるのは、大きな行動の理由になりますよね。

ある駅に行くのに、急行電車はめっちゃ混んでて、各停の電車はガラガラってパターンは、よくあります。

行動のメリット3:肉体的に楽、快適、快楽

肉体的負担が減る場合も、私たちの行動の理由になりやすいです。

私は宮崎出身ですが、宮崎は車社会です。車が無いと不便で仕方ないのですが、チャリでも直ぐに行けそうなコンビニに行くにも、ついつい車を使ってしまいます。

これは時間的なメリットよりも、肉体的なメリットが強く作用していそうです。

行動のメリット4:頭脳的に楽

なかなか答えが出ないことや、分からないことを考えさせられるのは、とても負担ですよね。

長期的に良いかどうかはさておき、答えを提示されると、とっても楽でいいです。

自分で考えるより、インターネットで検索してしまう理由の1つかもしれませんね。

行動のメリット5:安心できる、自信が持てる(精神的な快楽その1)

安心できることや自信が持てることは、行動しやすいですね。

あるいは、いま不安なので安心や自信を得たい、というのも行動の動機になります。

例えば、将来に備えて貯金するのは、金銭的メリットよりも安心したいという動機の方が強そうです。

行動のメリット6:楽しめる(精神的な快楽その2)

みんな楽しいことは大好きです。

行動のメリット7:尊敬される、褒められる、認められる(精神的な快楽その3)

自分の価値を感じられることも、人にとってはゴチソウです。だから、尊敬されたり、褒められたり、認められるのが好きな人は、たくさんいます。

TwitterでたくさんRTされたり、たくさんはてなブックマークが付くと、この欲求が満たされるわけです。

行動のメリット8:誰かと繋がっている、愛されている(精神的な快楽その4)

コミュニティなどに帰属したい、あるいは誰かから愛されたい好かれたいという欲求も、人を行動させる強い動機になります。

SNSに人が集まるのは、この辺りが主な理由でしょうか。

行動のメリット9:成長できる(精神的な快楽その5)

成長することが大好きな人もいますよね。

実際、自分の成長を実感できるというのは、かなり快感です。

ただ、実は自信を得たい(メリット5)、誰から尊敬されたい(メリット7)辺りが背景にあって、「自分、もっと成長したいっす」という言葉で感じの良いように言い換えている場合もたくさんあります。

成長したいと言いつつ、不安を避ける傾向にあったり、バカにされる状況を避ける傾向にあるなら、満たしたい欲求は成長ではないかもしれません。

行動のメリット10:貢献できる(精神的な快楽その6)

自分のやったことで誰かが喜んでくれる。

それが行動の理由になる人もいます。マザー・テレサなどが代表例だと思います。たぶん(あまり詳しくマザー・テレサのことは知らないので)。

これも成長と同じで難しいのですが、背景に別の欲求が隠れていることがあります。

貢献することで、尊敬されたい(メリット7)とか、誰かとの繋がりを感じたい(メリット8)という欲求を満たそうとしているかもしれません。

ボランティア活動にいったはずなのに、そこで権利を主張してしまうパターンとかは、本当は違う欲求を満たしたいのでしょう。

それが悪いわけではないですけど、何を満たしたいのかしっかり意識してないと、行動がズレちゃいますね!ってズレてるのは話ですか、そうですか。

行動させたいなら

というわけで、自分や他人を行動させたいなら、

8の行動コスト、10の行動メリット

を意識した上で、

行動コスト < 行動メリット

となるように工夫するといいですよ!

最後に行動分析学的な話題を入れるなら、8のコストと10のメリットで行動の動機を分析した後に、それが行動随伴性によるものなのか、ルール支配行動によるものなのかを判断すると、その後のアプローチが変わってきそうですね。