個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

2つの世界の対立を解消すれば「やるべきこと」の先延ばしは減る

やった方がいいと分かっていても、なかなか行動できないことがあります。ついついやりやすいこと、楽しいことに時間と労力を割き、グダグダと先延ばしをしてしまいます。

先延ばしのストレスはなかなか厄介です。行動しようとすることにもストレスを感じますし、行動できないでいることにもストレスを感じます。こうなると僕たちにできることは現実逃避。やるべきことを忘れられそうなことに逃げてしまうのです。

そもそも先延ばししてしまうのは、僕たちが2つの世界に同時に生きているから。いまこの状況から受ける影響と、いまよりもずっと未来の想像から受ける影響とが対立するとき、先延ばしのストレスを抱えてしまうのです。

だから先延ばし問題を解消するためには、この2つの世界の対立を解消する必要があるのです。

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“やりたくないことをやる方法”が必要なのは?

先延ばしをしてしまうのは「60秒の世界」が行動を止めるから

やった方がいいと分かってはいるけど、どうもやる気にならないことがあります。できればやりたくなくて、可能な限り先延ばしします。一方、そんな先延ばしに陥っていること自体がストレスになるため、何とか行動できる方法はないものか…と考えてしまいます。

やった方がいいけどやりたくない、やる気にならない理由は「60秒の世界」にあります。

僕たちの行動は、行動の直後(60秒以内)に生じる結果によってある程度コントロールされています。行動してすぐにメリットのある結果が得られるなら積極的になれますが、すぐにメリットが得られない、またはデメリットが生じる場合は行動を避けるようになります。

行動してから60秒以内に何が起きるか(起きないか)が、僕たちのやる気に多大な影響を与えているのです。

先延ばしにストレスを感じるのは「未来の世界」を想像するから

一方で「やった方がいい」と思ってしまうのは、僕たちが60秒を遥かに超えた未来に想像を巡らすことができるからです。1週間後、1ヶ月後、1年後、数年後のことを想像し、いまこの行動をした方がいいと思えてしまうわけです。

時空を超えた世界は僕たちに「行動した方がいいよ」と囁き、同時に60秒の世界は僕たちに「行動しない方がいいよ」と囁いています。この2つの世界の矛盾が行動の悩みの元凶です。

「10秒だけでいいのでやってみる」が有効な理由

スムーズに行動するために2つの世界の矛盾を解消しよう

先延ばし対策の1つとして「極短時間でいいのでやってみよう」という方法があります。下記の書籍などでは10秒でいいのでやってみようと書かれていますが、これは有効なアプローチの1つといえます。

本気で変わりたい人の行動イノベーション

本気で変わりたい人の行動イノベーション

僕たちが行動に悩むのは60秒の世界と時空を超えた未来の世界とが矛盾するからでした。未来のことを考えれば行動した方がいいけど、60秒の世界によって行動を止められてしまう。この対立を解消しなければ、僕たちはスムーズに行動できません。

2つの世界の矛盾を解決する方法は2つあります。1つは未来の世界に対するアプローチで「やらなければという思い込みをなくす」ことで、そもそもの行動の必要性をなくす方法です。

”10秒だけでいい”は僕たちを「60秒の世界」で動けるようにしてくれる

もう1つは60秒の世界へのアプローチで、行動しやすい状態・状況を作る方法。

10秒だけでもいいからやってみよう、というメッセージはこちらに該当する工夫になります。10秒だけと時間を限定することによって、行動への負担感はぐっと減ります。60秒の世界で行動するための有効な工夫の1つといえるでしょう。

ちなみに前述の書籍では、10秒行動の前に「本当はどうしたい?」という50秒の問いかけをするそうです。この問いかけ自体は「未来の世界」へのアプローチになっていますので、2つの世界の矛盾を解消する優れた方法といえそうです。

60秒の世界への対抗手段を持とう

ということで、やった方がいいと思うことをスムーズにやれるようになりたいなら「60秒の世界」への対抗手段を持つといいです。その有効な手段の1つが「行動の負担を減らす」こと。

行動の負担を減らす方法はいくつか考えられます。

行動の負担を軽減する様々な工夫

10秒だけやってみようは時間を小さく分解する方法ですが、タスク自体を小さく分解する方法もあります。

例えばブログを書くのであれば、「ネタを決める」「見出しを書く」「書きたいことを箇条書きにしてみる」といったように、小さな行動へ分解することができるはず。この小さな行動を実行することに焦点を当てれば、行動への負担は軽減するでしょう。

他に道具の配置を工夫する方法もあります。作業に必要な道具がすぐに手の届くところにあるかどうかは、行動の負担感に影響を与えます。隣の部屋に取りに行かなければならないのか、それとも手を伸ばせば届くのか。これが思いの外、大きな違いになります。

パソコンが得意な方やプログラミングができる方でしたら、PC上での作業を一部自動化することを検討してもいいでしょう。Excelの計算式の埋め込みで工夫したり、マクロやスクリプトを作って繰り返し作業をボタン一つで実行できるようにしたり。もし可能であれば、負担軽減に大きく貢献してくれるはずです。

上記のようなことができない場合でも、誰か他の人に作業をお願いするという手もあります。全ての行動を自分でやる必要はないのです。誰か手伝ってくれる人がいるのであれば、一部あるいは全てをその人に委譲してみてもいいでしょう。

何かのついでにやってしまうことで負担が軽減することもあります。冷蔵庫に飲み物を取りにいくついでに、シンクに溜まっている皿を1枚だけ洗ってみる等です。座って落ち着いている状態から皿を洗いに行くより、立って冷蔵庫まで歩いてきた状態から皿を洗いにいった方が負担が少なくてすみます。

「60秒の世界」で行動しやすくなる工夫は僕たちの行動力を伸ばす

以上のように行動の負担を軽減する方法はたくさんあります。このような工夫を取り入れることで、60秒の世界で少し行動しやすくなるでしょう。矛盾が解消に向かえば、思い通りに行動できる機会も増えるはず。

そしてそれは1つの成功体験となり、次回行動する時にもっと行動しやすくなります。小さな工夫ですが、試してみる価値は十分にあるでしょう。

まとめ

本記事でお伝えしたことは次の3点です。

  1. 僕たちは行動の直後60秒以内に生じる結果によって行動がコントロールされている。これが「60秒の世界」。一方で僕たちは時空を超えたはるか未来に思いをはせて、いまやるべきことを判断する。これが「未来の世界」。
  2. 僕たちは2つの世界に同時に生きているため、この2つが対立してしまうと行動の悩みを抱えることになる。未来の世界からは行動した方がいいという力が、60秒の世界からは行動するなという力がかかる。これが先延ばしの状態。
  3. 2つの世界の矛盾を解消すれば、先延ばし問題は解決に向かう。本記事でお伝えしたのは「60秒の世界」で行動の負担を軽減する工夫。行動の負担を軽減すれば、いまよりもスムーズに行動できるようになるだろう。