行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

行動を扱う技術に習熟したいなら、あなたは行動分析学を学ぶべきだ

一般社団法人行動アシストラボでは、行動分析学講座を提供しています。この記事では「なぜ行動分析学を学ぶべきなのか」「行動分析学を学ぶことで何がいいのか」についてお伝えし、最後に行動分析学講座の導入となっています。

つまりPR記事ですね!

行動アシストラボ主催の各講座にご興味がありましたら、最初に一読していただけると、受講判断の一助になるのではないかと思います。

f:id:h-yano:20170807112430p:plain

行動への不毛な取り組みに悩む僕たち

僕たちは繰り返し行動に躓いてきた

僕たちの多くは行動への不毛な取り組みに悩んでいます。

例えば、いつも締め切りギリギリになってからでないと行動できないという人。何とか間に合わせるものの、締め切り間際の身体的・精神的な負担はとても大きなものです。次からは早めに着手しようと決意するものの、何故かまた後回しにしてしまい同じ苦痛を味わうことになってしまいます。

例えば、いくら言って聞かせても部下が心を入れ替えてくれません。あなたの基準でみればやる気がないように思えるし、不真面目とすら感じてしまいます。たくさんの言葉を尽くしてきたけどそろそろ限界かもしれない。

例えば、赤ちゃんを連れて電車に乗るお母さんがいます。赤ちゃんが泣き始めてしまうともう大変。なかなか泣き止んでくれないし、周囲の目は気になるしで電車に乗るのが段々と憂鬱になってきました。

当人の性格や特質を行動の原因としていては問題は解決しない

僕たちには他にもたくさんのヒトの活動に関わる悩みがあります。なぜヒトはこのように振る舞うのでしょうか。自分や部下の性格がそうさせるのでしょうか。赤ちゃんとはそういうものだから仕方がないのでしょうか。

わざわざこう問いかけるということは、もちろんそれを否定するためです。行動の原因は当人の性格や特質には”ありません”。

つまり、心を入れ替えて行動を変えようだとか、思考の癖を変えて行動も変えようとかいったアプローチは、概ね行動を上手く変えることができないのです。だからこそ、それらの取り組みは不毛なものになりがちです。

原因でないものを原因として扱うということは、そこに新たな問題を作り出すということでもあります。行動の悩みをより複雑化し、解決困難になるばかりか、場合によっては悪化してしまうことすらあります。

だから必要なのです。行動についての原理原則を学び、真に行動の原因に対してアプローチできるようになるための学びが。

行動分析学が取り組んできたことは何か?

行動の予測と制御を目指す科学的アプローチ

行動分析学の目指すものは「行動の予測と制御」です。それも科学的なアプローチによってです。科学的とはどういうことでしょうか。色々と定義はありますが、一つ重要な点として「反証可能であること」が挙げられます。

反証可能であるとは「ある仮説が間違っていると証明される可能性がある」ことを意味します。

間違っていると証明されるかもしれないということは、仮設を立てた当人以外によって検証することが可能だということです。ある人が「A」と述べたことを、別の人が「本当にAなのだろうか」と検証でき、場合によってはAが否定されることがあり得る。

このようなスタンスを前提としたとき、科学は人々の取り組みによって累積的な発展を社会にもたらすことになります。

行動分析学が教えてくれる行動の法則を一部ご紹介

行動分析学もそのようなスタンスの下で、数多くの基礎実験が繰り返され、その中から見つかったものが行動の諸法則として体系的にまとめられています。

たくさんの行動の法則がありますが、一部を紹介します。

強化の原理

行動の後に何かメリットのある出来事が生じると、次回以降、その行動が生じる頻度が高くなる。これを強化の原理といいます。

例えばは日本に住んでいれば、水が欲しい時は「水道の蛇口をひねる」ことをします。これは「蛇口をひねれば水が得られる」というメリットの伴う経験をしているからこそ、維持され繰り返されている行動なのです。

このように僕たちが繰り返し行っていることの背景には、強化の原理の働きがあるんですね。

強化スケジュール

行動すると「毎回」メリットが得られることを連続強化といいます。毎回というのがポイントですね。先程の水道の蛇口をひねるという行動は連続強化になります。通常は毎回水が出てくるはずですから。

一方、行動しても時々しかメリットが得られない場合があります。

例えば、母親が時々、買い物ついでにおやつを買ってきて冷蔵庫に入れておいてくれることがあったとしましょう。そうすると「冷蔵庫を開ける」という行動には、時々「おやつが手に入る」というメリットが伴うおとになります。

毎回ではなく「時々」というのがポイントで、このような強化のされかたを「部分強化」といいます。

連続強化 vs 部分強化

さて面白いのはここからで「連続強化された行動よりも、部分強化された行動の方が維持されやすい」という法則があるのです。

つまり、水道から水が出なくなったら、蛇口をひねるという行動は速やかに実行されなくなりますが、冷蔵庫を開けるという行動は、母親がしばらくおやつを買ってこなかったとしても維持され続けるということです。

止めようと思ってもなかなか止められない行動の背景には、もしかしたら部分強化の影響があるかもしれませんね。

「行動を扱う技術」を習得しやすくなる

行動分析学を学ぶことで、このような行動の諸法則について知ることができます。ヒトの行動を読み解き、説明し、変えていくにあたって、これらの法則がとても役に立つのです。

行動の法則に照らし合わせて考えれば、僕たちの行動が”そう”なっている理由が見えてきます。答えがあるのです。

この答えがあるというのが重要で、つまり行動を変えようと思ってあるアプローチを試した時、それが上手くいっても上手くいかなくても、行動の法則に基づいた「理由」を見出すことができるのです。

これはフィードバックです。フィードバックがあるからこそ、僕たちは物事を改善していくことができます。この辺りは科学の反証可能性と似たような働きをしていますね。

性格や特質に行動の原因を求めていては、このようなフィードバックは働きません。性格を変えようとして何かのアプローチをしたところで、それが本当に性格を変えたのかどうか検証するのは非常に困難です。

検証可能であるからこそ、フィードバックがあるからこそ、少しずつ改善しながら「行動を変える技術」を伸ばしていくことができます。

つまり、行動分析学を学ぶということは、先人が見つけてくれた行動の諸法則をガイドラインに、「行動を扱う技術」について習熟していくプロセスを歩むことと同じなのです。

 
 
もし行動分析学を学んでみたいと思われ方は、行動アシストラボ主催の行動分析学入門講座をご検討ください。

詳細はこちら: aba-labo.org