行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

マタイ効果を活用して成功の流れに乗る。

エピソード1:ホリエモンがすぐに復活した訳

ホリエモンこと堀江貴文氏が刑期を終え、社会復帰すると、瞬く間に注目と評価を集め、再び流れに乗り始めました。彼は刑務所にいる間もメルマガを書き続け、ファンにメッセージを届け続けていました。彼を評価する人たちとのつながりを保ち続けました。

彼は「ゼロから」のスタートであると言っていたように記憶していますが、実際にはそれまで培ってきた評価と信頼という資産によって、次の活動を軌道に乗せていったのだと思います。

エピソード2:会社で自由に活動するには

以前、会社員をしていた時のことですが、あるプロジェクトの中心メンバーとして活動し、どうにか成功に終わりました。そのプロジェクトは、社内でも未経験の技術にチャレンジするもので、僕はその中で技術面のサポートをする役回りでした。

そんなプロジェクトで自分なりに頑張り続けた後に、ある変化が起きたことに気づきました。なにやら部内で注目を得やすい立場になっていたんです。おそらく一定の評価と信頼を得ることに成功していたのでしょう。

そうなってからは部内で以前より「言い分」が通りやすくなりました。部署の方針についての提案も採用されやすくなりましたし、社内で勉強会等を開けば自然と参加者が集まるようにもなっていました。 中小規模の会社だったこともあるのでしょうが、思いの外、自由に活動できる環境を得られていたように思います。

一度上手くいった人は、次も上手くいきやすい

これまでに築いた信頼が後押ししてくれる

一度、何かで評価と信頼を確立した人は、次に何かやろうとするとき、他の人たちよりもとても有利な立場にあります。「○○といえばあなた」というあるジャンルの第一人者としての評価や信頼が、人々から注目を集めるのです。ハロー効果もあって、人々はあなたのやることには「何かありそうだ」と期待してくれるでしょうし、話題にもしてくれるでしょう。

つまり、多くの人々にメッセージを伝えるルートを既に持っているということなんです。

小さくてもいいので最初の成功を掴もう

もしあなたが何かを世に向けて発信したことがあるなら、この有利さがどれだけ凄いことか分かっていただけると思います。

例えばブログについて考えてみましょう。ブログを始めたばかりの頃は、せっかく頑張って書いたあなたの記事は、殆ど読まれることもなく埋もれていったのではないでしょうか。何時間もかけて書いたのに、それに見合った成果は殆ど出ないという現実。

一方で、評価と信頼を獲得した後なら、あなたが書いた記事に多くの人が注目し、コメントを残し、SNSで紹介してくれたりするでしょう。この場合、あなたの記事は、多くの人の目にとまる可能性が高いのです。

成功は成功の上に築かれる、という言葉あります。小さくてもいいので最初の「成功のきっかけ」を掴むことが、スタートとなるのです。そして最初の成功で得た評価と信頼を活用して、次の活動を少しでも有利な状態にしていくといいのです。

きっかけを掴むまでは、サイコロを振り続ける

誰かの役に立つ機会が必要だが・・・

成功のきっかけを得てそれを次に活かすとして、ではその最初のきっかけはどうすれば得られるのでしょうか。そこが最も気になるところです。

成功のきっかけとは、簡単にいえば「誰かの役に立つ機会」です。しかし、誰かの役に立つ機会というのは、意外に貴重なものだったりします。みんなはあなたが何をできるか知らないし、何をやりたいかも知りません。あなたがあなたのできることをアピールしたとしても、ちゃんと伝わらないことが多いでしょう。

何故なら、あなたの使う言葉とみんなの関心のある言葉が違うからです。例えばあなたは「行動分析学は凄い!」と訴えるかもしれません。でも、みんなの関心のあることは「早起きできるようになりたい」とか「毎日30分、英語の勉強を継続したい」といったようなことです。

自分の関心事に行動分析学がどう役に立つかなんて、わざわざ考えてくれたりはしません。だから、本当はあなたはみんなの役に立つことができるかもしれませんが、その機会はなかなか訪れないのです。

偶然を掴むためにサイコロを振り続ける

基本的に「きっかけは偶然に訪れる」ものです。何かの会話からきっかけが生じるかもしれませんし、あなたのブログを偶々読んだ同僚から声がかかるかもしれません。妻が友人にあなたのこと話したら、たまたまその友人の知り合いにあなたを求めている人がいるのかもしれません。

何がきっかけとなるかは分からないし、それがいつ訪れるかも分かりませんが、1つ言えるのは、誰でもきっかけには出会える(出会っている)ということです。

だから、人々からの評価と信頼を確立するきっかけを掴むまで、色んなところでサイコロを振り続けるしかないのです。

この辺りのランダムな世界でどう活動するかについては、下記の記事で詳細に書きましたので、よかったらこちらも参考にしてみてください。

www.behavior-assist.jp

成功する方法は分からないが、失敗する方法は分かる

賢く試行錯誤するための3つのポイント

きっかけは偶然やってくるものであるとしても、サイコロの振り方には少し気をつけた方がいいでしょう。きっかけを確実に得る方法は分かりませんが、いくら試してもきっかけが得られないであろう方法は分かります。失敗する道が分かっているなら、少なくともその道は選ばなくてすみます。

賢くサイコロを振るには、次の3点を意識しましょう。いずれも失敗する道と表裏一体となっています。

  1. 独自の道を探す
  2. 前と違うことを試みる
  3. 活動している「場」のことを良く知る

1. 独自の道を探す

独自の道を探す理由は簡単です。みんなと同じ道を選ぶと、競争になるからです。しかも同じタイミングでスタートできる競争ではありません。既に道があるということは、大幅に先行している誰かがいるということです。その道を追随しても、そうそう追いつけはしません。

またみんなが殺到する道での競争は熾烈です。その競争を勝ち抜くという選択が悪いわけではないのですが、8割9割は競争に負ける前提で取り組むことになるでしょう。また一時的に競争で優位に立っても、すぐにみんな追いついてきます。しんどいです。

みんなと同じ道を選ぶよりは、人とは違う独自の道を探した方がいいでしょう。独自の道を歩むことも簡単ではありませんが、やり続ければその先には「○○といえばあなた」という、その分野での第一人者としての評価・信頼が待っています。第一人者としての評価は、あなたの今後の成功を支える確固たる基盤になります。

2. 前と違うことを試みる

あることを試みて完全に失敗しているにも関わらず、また同じことを試みようとすることがあります。まるでエンジンのかかっていない車を動かそうとして、何度もアクセルを踏み込んでいるようなものです。これではいくらサイコロを振っても、上手くいくきっかけを掴むことはできないでしょう。

きっかけを掴むためには、前と違うことを試みる必要があります。車が動かないのであれば、サイドブレーキを落としたり、キーを回してエンジンをかけたり、ガソリンを給油したりといったことを試してみましょう。そういった試みの中から、部分的にでも上手くいくものが見つかれば、それは前進した証といってもいいでしょう。

手段として全く違うものを試すという以外に、やっていることは以前と同じだが、その質と量を大きく変えてみるという方法もあります。質と量が不足しているために上手くいかない、ということもあるからです。

例えば、ブログを始めて500文字くらいの記事を3〜4つ書いただけでアクセスが増えないと嘆いているとしたら、それは当たり前のこと。記事の数を10〜20倍に増やしてみる、文字数を3000〜4000文字くらいに増やしてみる、といった大きな変化を加えてみるもの良いと思います。

3. 活動している「場」のことを良く知る

サイコロの振り方を見極めるために、活動している場のことを良く知るのも大切です。場のことを知ると書くと抽象的すぎて分かり難いですよね。活動対象のものごとのメカニズムであったり、そこに関わる人たちがどのような人々なのかを知る、ということです。

引き続きブログの例で説明すると、アクセスを増やしたいのであれば、Googleなどの検索エンジンのことを知るのは大切です。次にサイコロをどう振るかを決めるために、貴重な情報源となるでしょう。また、あなたのブログのジャンルによっては、そのジャンルに集う人々が何を求めているか知ることも大切です。特に未解決のまま放置されているテーマがあれば、同時に独自性を見つけることにもつながるかもしれません。

自分の活動する領域について、知れば知るほど次に何をすればいいか検討しやすくなりますし、検討内容も机上の空論から地に足のついた現実的なものになります。

兆しを感じたら選択と集中で流れに乗る

サイコロを振り続け、何度かの人の役に立つきっかけを経て、もしかしたら何か変化の兆しを感じるかもしれません。それはまさしく「兆し」なのです。流れを掴みかけているのです。

もし兆しを感じることができたなら、試しにそこに集中してみるといいでしょう。選択と集中という言葉がありますが、最初から集中してはいけません。兆しを掴むまでは、なるべく多くのサイコロを振った方がいいので、色々と試みるべきです。きっかけがどこで得られるかは予測できないのです。

しかし、一度兆しを掴んだのなら、その流れを確かなものにするために、そこに集中してみるといいでしょう。集中してみて、流れがより強いものになっていくことを感じられるのであれば、あなたはまさに社会的な成功を得ようとしていると言っても良いでしょう。

集中し成功すれば、次の成功の地盤となる

「選択と集中」は兆しを感じてから

成功とは、人のつながりの中で「○○といえばあなた」という評価・信頼を確立することです。最初の成功は、少ない人のつながりの中で確立するといいでしょう。何故なら、「○○といえばあなた」という社会的評価を得るためには、そこでつながっている人々の1/4の人からの評価・信頼が必要だからです。

あまりにも多くの集団の中で活動したり、異なる複数の人のつながり・集団で同時並行的に活動すると、あなたの評価・信頼が1/4の人に浸透するのに時間がかかってしまうのです。

きっかけを掴むまでは、ある程度、平行して異なる場所で活動しても構いませんが、成功の兆しを感じ取れたなら、ひとまずはそこの「つながり」での活動に集中するといいでしょう。

成功は成功の上に築かれる

あるつながりの中で「○○といえばあなた」という評価を確立できると、それは「次の成功」のための強力な地盤となります。足下がしっかりするのです。例えば、あなたのブログは「iPhoneアプリ作成について知りたいならこのブログ」という評価を確立したなら、その評価を活用して「iPhoneアプリ作成講座」や「iPhoneアプリを紹介するYoutubeチャンネル」を始めるのは、比較的容易なことでしょう。

成功は成功の上に築かれます。まずは最初の小さな成功を得てください。次にそれを活用して、より大きな次の成功を得るといいでしょう。それが流れに乗る、ということなのです。