行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

消化できないToDoリストがあなたの行動を止める

Q.
ToDoリストに書いたことが消化しきれません。貯まっていく一方でウンザリします。 f:id:h-yano:20161008181941j:plain

A.
ToDoリストの使い方を間違っています。ToDoリストは「備忘録」と「いまこれからやることの管理」の2つの役割に使い分けましょう。

解説:備忘録としてのToDoと目の前の作業管理としてのToDoが機能的

ToDoリストに書いたことが消化できず、やることがどんどん増えていくのは良くあることだと思います。

どっかの偉い人が「人は今日やれることを過大評価し、1年でやれることを過小評価する」なんてこといってました。まぁ、要はもっとやれると思えてしまうからToDoリストがどんどん膨れあがっていくんですよね。

ToDoを書く時は「ToDo=未来に完了できること」って関係づけられるので、書けば書くほどたくさんのことができるってことになります。書きすぎてしまうのは仕方ありません。

しかし一方で、いざ実行する段階になると、頑張っても頑張っても残りのToDoが減らないわけです。嫌子が消失しないわけです。これでは行動が強化されません。ToDoリストがあることで、かえって行動が止まりかねない事態です(まぁ、実際はToDoリストがイヤになって見なくなるってパターンが多いかと思いますが)。

良くないですね。

僕からの提案としては、ToDoリストの役割を次の2つに分けてしまうことです。

  • 備忘録としてのメモ
  • これから60〜90分の作業内容の設定

ToDoリストの役割の一つは「やらなきゃいけないことを忘れないようにする」だと思います。これはとても重要で、どこかにやるべきことが書いてないと、全部頭で覚えておく羽目になります。これは非常に「うざい」です。

やらなきゃいけないこと、忘れてはいけないことが全て、どこか一カ所に書き留められていれば安心です。いまから取り組むことに集中しやすくなりますよね。

なので備忘録としてのToDoリスト・・・というかメモ書きですか。そういう場所を一カ所、用意しておきましょう。そこをみればやるべきことは全て書いてある。そんな安心感が得られる場所です。

やり終えるべきことではなく、忘れたくないことを書く場所です。忘れないようにするだけなので、別にやらなくてもいいんです。不要になった段階でメモから削除すればいいだけ。気楽に書いてください。

さて、もう一つの役割が「いまから60〜90分の作業内容」としてのToDoリストです。

例えば、ToDoリスト無しに次から次に作業に取り組むとしたら、どうなるでしょうか。やってもやってもまだまだ仕事が残っているように感じてしまうかもしれません。だって消化しきれないくらいToDoに仕事がリストアップされてしまうあなたは、とても忙しいはずだから。

行動分析学的に言えば、嫌子が消失しない状態です。強化されないのです。ToDoリストがないのは、消化しきれないToDoリストを持っているのと、あまり変わらないと言えます。

大切なのは、部分的にでも「仕事の完了」を決めてしまうことです。個人的にお勧めなのが、「いまから60〜90分の仕事内容」をToDoリストに書き出すことです。そうすれば、ひとまずの完了の目安が具体的になります。

60分頑張ったら書き出しておいた作業が終わった!

このように「ToDoリストに設定された仕事の完了」によって行動を強化すれば、ToDoリストは機能的になります。

僕自身は、A4サイズの裏紙を使って、いまから90分でやることを書き出し作業に入るようにしています。作業が終わったら、ToDoを書いた紙は丸めてポイです。気楽で実用的なToDo管理だと思います。