行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

段取りや効率の改善は、基準を作るところから始めよう

Q.
段取りが悪くて仕事が時間内に終わりません。自分なりに段取りしているのですが、予定通りに進みません。

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A.
仕事を何となくで大雑把に捉えていると、効率は良くなりません。まずは今のパフォーマンスと作業プロセスを把握するところから始めましょう。

解説:現状を具体的に把握し、基準を作ることが改善のスタートライン

仕事の段取りの善し悪し、効率の善し悪しというのは絶対的な基準がありません。相対的なものです。Aさんと比べていまいちだなとか、Bさんと比べたら効率いいなとか。

で、誰しも全ての仕事を段取り良く、効率よくできるわけではありません。効率よく作業できる人は、それなりの改善を積み重ねた結果だったりします。つまり、過去の自分と比べて相対的に段取りを良くする、効率を良くするという取り組みをするといいでしょう。

では、そのような改善に取り組むにあたって、何が必要になるでしょうか。もう少し具体的にいうと、何をもって改善したことが判断できるでしょうか。あるいは、具体的に何を改善すればいいのでしょうか。

段取りや効率を改善するためには、改善に取り組むための基準が必要です。

基準がないままでは何かに取り組んだとしても、改善したかどうかを判断できません。何となく段取りが悪い、何となく効率が悪い。そんな風に捉えていると、改善のスタートラインに立つのも難しいです。

ですので、まずは現在のあなたのパフォーマンスと作業プロセスを明らかにしてください。

例を使って説明します。例えばこのコラムを書くということを考えてみます。

パフォーマンスの定義の仕方は色々あるでしょうが、僕は「90分で1,000文字前後のコラムを書く」が現在のパフォーマンスになります。その作業プロセスは「1.テーマを選択する(コラム冒頭の”Q”を選択) → 2.原因を分析する → 3.改善のアイデアを練る → 4.文章化する」です。

僕がコラム投稿の作業効率を改善する場合、まずはこれが基準となります。

現状の捉え方が大雑把だと、改善の基準が見えにくくなります。コラムを書くのに何となく時間がかかっているし、作業プロセスはいきなり文章を書き始めて行き詰まります・・・だと、どうなったら改善しているのか、何を改善するのかが見えてきませんよね。

なのでまずは現状を少しでも具体的に把握してください。現在のパフォーマンスは可能な限り数値化してみる。現在の作業プロセスはなるべく具体的に分解してみる。そうすると次のような改善の取り組みが可能になります。

  • 今は90分かかっているところを、同じ質・量の文章を60分で作成できるようにしたい。
  • そのために「改善のアイデアを練る」部分を効率化したい。普段気づいたことなどをメモっておくようにして、そのメモを参考にアイデアを練るようにする。

どのくらいの基準を目指しているのか、そのための一連の行動のどの部分を変えてみるのか。そういった改善の取り組みが具体的になります。この改善が上手くいくかは分かりません。しかし、上手くいったかどうかが判断できます。

段取りをよくすること、効率を良くすることは、一朝一夕には実現できません。パフォーマンス基準と作業プロセスを具体化して、ちょっとずつトライ&エラーで改善していくしかありません。

現状を具体的に把握して、改善のスタートラインに立ってください。



ちなみに時間内に作業が終わらない場合、段取りの善し悪しではなくそもそもの作業時間の見積に問題があるかもしれません。その場合は下記の記事を参考にしてください。

www.behavior-assist.jp