行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

時間の使い方、予定の立て方が上手くなるために持つべき基準とは?

時間の使い方や予定の立て方が下手で、いつの間にかたくさんの仕事に追われるように日々働いている・・・ってことはないでしょうか。僕の日常はそんな感じでした。精神的にも身体的にも辛いです。

何でこんなことになってしまうのでしょうか。やろうと決めたときには、割と余裕があってできそうな気がしていたのに、いざやってみるとその余裕が全く無くなっていることに気づきます。

結局、目の前に現れた仕事やアイデアを「やっていいかどうか判断する妥当な拠り所がない」ということなのです。もっと時間の使い方や予定の立て方が上手くなるためには、自分の仕事量や余力について判断するための基準を手に入れる必要があるのです。

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感覚頼りで計画を立て、後で追い詰められてしまう

ついついその場の勢いで無謀な量の仕事を抱え込んでしまう僕たち

面白そうな仕事の依頼があったり、ワクワクするようなアイデアが浮かんだりすると、「よっしゃ、やろう!」とそれに取り組むことを即決することがあります。それはそれで良いのかもしれませんが、問題もありまして。

あとあといくつもの〆切に追われるように作業をすることになるんです。楽しい仕事だったはずなのに、精神的にも身体的にも苦しいのです。

このように時間的・体力的に無謀な仕事を入れてしまう時、その瞬間だけは割と余裕を感じていることが多いです。その余裕が僕たちを勘違いさせます。

既にやるべきことを抱えているのに、いまが〆切ではないから新しいことを始められるような気がしてしまうのです。その「今日の余裕」が明日以降も続くような気がしているんですね。

そうやって感覚に頼ってで立てた一週間後、一ヶ月後の予定に、後々苦しめられてしまうわけです。

“やる or やらない”をどう判断したらいいか分からない

ただ何が問題か分かっても、どうしたら改善できるのでしょうか。目の前に現れた仕事やアイデア、できればやりたいのです。やれそうな気もするし、やったらヤバそうな気もする。それをどう判断したらいいのかが分からないのです。

少し話は違いますが、初めて訪れる場所までの所要時間を知ろうとするなら、あなたはどうするでしょうか。多くの人は路線検索アプリなどを使うでしょうし、場合によっては人に尋ねるという方もいるかもしれません。そうやって得た情報を基準にして、概ね妥当な出発時間や移動ルートを決めるのだと思います。

ところが路線検索アプリもなければ尋ねる相手も居ない、客観的な所要時間を知る手段がないという状況になると話が変わってきます。出発時間や移動ルートについての妥当な判断基準がないのです。何となくこれくらいかかるだろうか・・・と感覚を頼りに判断するしか方法がなくなってしまいます。

目の前に現れた仕事やアイデアについて、やるかやらないかを決める場合も、これと似たような状況だと思ってください。感覚頼りでやるかやらないかを決めるしかないのは、他に判断する基準がないからです。

逆にいえば、感覚よりも信頼できる別の基準があれば、僕たちはそれを使うことができます。感覚よりも遙かに妥当な判断ができるようになります。

妥当な判断のための基準を持つ。この辺りが問題の根幹のようです。

時間も作業も分かりやすいモノサシで測る

仕事の単位を決めて、どのくらいかかったかを記録しておく

では、感覚よりも信頼できる基準を持つためにはどうすればいいのか。これに対する回答は「記録を取る」です。

僕の場合は、仕事量を1コマ90分という単位で測るようにしています。例えばこのブログは毎週2記事ずつ更新していますが、そのために必要な時間は6コマ〜9コマになります。

あるいは、何か講座やセミナーを始めるとして、そのためのテキスト作成に必要な時間は、まったく新しい講座であれば16コマ前後、既存の講座のアップデートであれば8コマ前後です。

僕が何かを始めようとするなら、こういった過去の記録から似たようなカテゴリのものと照らし合わせて、概ねどれくらいかかるかを測ることができます。

自分にどの程度、働く時間があるのかを把握しておく

さて、一方でもう1つ記録が必要です。それは自分が何コマの時間を確保できているのかということ。

新しい講座を立ち上げるのに16コマの時間が必要だと分かったところで、それだけでは受け入れていいかどうかが分かりません。自分の確保可能な時間と付き合わせることによって、やれる/やれないが判断できるのです。

自分がどの程度の時間を確保できているのかについても、1コマ90分という単位で記録していくといいです。僕の場合は、予め1週間の時間枠を設定し「科目の決まっていない時間割」のようなものを作成します。

仕事自体も1コマ90分を1つの単位にしていますので、何か作業をしたら時間割に作業内容を記入します。メモ書き程度の簡単なもので、例えば「ブログ」とか「メール対応」等です。

このようにしておけば、毎週何コマ分の時間働いたのか(働けたのか)や、それぞれの仕事にどの程度のコマ数が必要だったのかを集計することができます。妥当な判断の拠り所となるデータが蓄積されていきます。

限られた時間を認識して、継続可能な未来を設計する

感覚に頼ったスケジューリングからの脱出

記録を取っていくと、時間は思いの外、限られていることに気づきます。いままではそれに気づかずに、「やりたいからやる」とただ感覚と感情の赴くままに色々手を出していたわけです。

1週間で20コマしか時間が無いのに、30コマの仕事を詰め込もうとしているようなものです。時間が足りなくなって追い詰められてしまうのは当たり前ですね。

こういう働き方は、一時的にはできるのかもしれませんが、継続可能なものとはいえません。人生のどこかにしわ寄せがくることでしょう。もっと時間と自分を大切に使ってください。

記録が時間の希少性に気づかせてくれるので、選択を真剣に考えるようになる

記録があれば時間の希少性に気づくことができます。1週間でできること、1ヶ月でできること、3ヶ月でできること・・・限られた時間というリソースを何に割り当てていくのかに真剣になれます。

この「限られた時間を何に割り当てるか真剣になる」というのが、とても大切なのです。おそらくやりたいと思う全てをやることはできないでしょう。やらないことを決めなければなりません。少し、自分の人生を俯瞰することになるかもしれませんね。

仕事というのは基本的に4つに分類されます。

  1. ジョブとしての仕事:給料を得るための手段としての仕事
  2. キャリアとしての仕事:社会的評価を得るための手段としての仕事
  3. 天職としての仕事:使命感から行われる仕事
  4. 自己実現としての仕事:自分の強い興味・関心に駆られて取り組む仕事

目の前にある新しい仕事やアイデアが、この4つのどれに分類されるかを考えてみてください。仕事によっては同時に複数の役割をもっているかもしれませんね。

またこれらの仕事に優劣はありません。いまの自分がおかれた状況・文脈によって、あるいは今後のことを考えた上で、いまどの仕事に時間を割り当てるべきかを判断するといいでしょう。

時間の記録を拠り所に、感覚に頼らないより妥当な明日の展望を作ってください。

まとめ

本記事でお伝えしたことは、次の3点です。

  1. 今日の感覚で余裕があるからと、明日以降の仕事をどんどん受け入れてしまうと、〆切に追われる日々が始まって身体的にも精神的にも辛いことになる。
  2. 感覚に頼って判断しなければならないのは、仕事にかかる時間と自分に与えられた時間とを把握できていないから。記録を取ることで妥当な判断のための拠り所が得られる。
  3. 記録を取ると思いの外、時間が希少なものであることに気づく。限られた時間をどんな仕事に割り当てるのか、真剣に考えられるようになる。

記録をとることで、時間の使い方が上手くなるための改善の足場が手に入るのです。