行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

成果が出ないことに備えておけば、目標達成まで行動は継続できる

自分なりに頑張って行動しているのに結果が出ない時というのは、行動を継続させるのがとても困難な場面です。特に「明確に悪い結果が出るわけでもなく、寧ろ何も起きない・・・」という場合、次に何をどうしたらいいか分からなってしまいます。

しかし、残念ながら成果というのは確率的に得られるものなので、成果が出ないというのは割と普通のことだったりします。だからこそ、多くの人は目標を立てても達成することなく行動を止めてしまうのです。

目標達成に向けて行動を継続したいのであれば、この成果の出ない期間をどうクリアするか、予め対策を練っておく必要があるのです。何をターゲットとし、どのように行動を継続するかをお伝えします。

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なぜ途中で行動を止めてしまうのか?

すぐに結果が出るとは限らない

目標を達成するのは時に簡単なことではありません。とりわけ社会的な成果を得ることを目標としている場合は、その傾向が顕著になります。何故なら行動と成果とが比例しないからです。

10の行動をすれば10の成果が、100の行動をすれば100の成果がでるわけではありません。10の行動で成果が0の人もいれば、成果が100の人もいる。そして一度成果を出した人は、それ以降、たった1の行動で100以上の成果を得られるようになる。そんなことが起こる世界です。

社会的な成果とはビジネスで売上を上げたいとか、ブログのPV数を伸ばしたいとか、出版してミリオンセラーを記録したいといったものが該当します。特徴は成果が出る/出ないに他者の評価が大きく影響している点です。自分ひとりが頑張っても、他の人から評価されなければ成果は殆ど出ません。

このような特徴の目標に取り組んだ場合、頑張っても何も変化が起きない期間というのが存在します。多くの人はこの期間に耐えきれずに行動を止めてしまいます。

希望を託せる「次の手」が見つからなくなる

僕たちの行動は、行動に伴って生じる変化によって維持・強化されています。

いま僕はパソコンのキーボードを叩いて文章を書いています。ちょっと想像してもらいたいのですが、もしキーボードを叩いても、画面上何の変化も起きなかったらどうなるでしょうか?

最初は色々試してみるかもしれません。パソコンを再起動したり、キーを強めに叩いたり・・・。それでもやっぱり画面に文字が出なかったとしたら、恐らくキーを叩くことを止めてしまうでしょう。

頑張っているのに成果が出ないという状況は、これと似たようなものです。「○○という方針で行動すれば、必ず3ヶ月後に結果が出てくる」という知識があれば、少しは行動が維持されやすくなりますが、それでも多くの人は3ヶ月経たずして行動が止まります。

行動しても結果が出ないという経験を繰り返すと、僕たちはどう行動したらいいか分からなくなります。何かをやった方がいいと頭では分かっているけど、具体的な行動は思いつかないか、思いついても気が重く感じられてとてもじゃないけど希望を見出せない状態に陥ってしまうことでしょう。

最初から「結果が出ない期間」に備えておく

成果が出ない期間があるのは当たり前

冒頭に書いたように、社会的成果を目標とした場合、成果が出ない期間があるのは当たり前のことなのです。

結果が出るかどうかは確率的なものです。1の行動で結果が出ることは稀です。10でも難しいでしょう。100なら何かのきっかけを掴めるかもしれません。もしきっかけを掴むことができて、それを成果へと繋げられたなら、次からはもっと容易にきっかけを掴めるようになります。

要は上手くいくためのきっかけを掴むまで、試行錯誤しながら行動を繰り返す必要があるます。この辺りについては、下記の記事などもご覧ください。

www.behavior-assist.jp

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成果が出ない期間があるのは当たり前、しかしその間も行動を続けなければならない。これは難題です。どうすれば結果の出ない行動を続けることができるのでしょうか。

感情やモチベーションに頼るとほぼ失敗する

ここで確実に失敗するだろうと言えるアプローチがあります。それは「感情を変える」とか「モチベーションを立て直す」といった方法です。

主観的には気分が落ち込んでいて、やる気が出てこないので、感情だとかモチベーションを何とかすれば行動できそうに思えるかもしれません。しかし、感情やモチベーションは行動の原因ではありません。

気分が落ち込んでいるのも、やる気が出てこないもの、単に行動できないでいる現状を表現しただけのもので、行動できない原因を述べたものではないのです。行動できない状態にいるいまを「やる気が出ない」と言い換えただけです。

この辺りについては、下記を読んでもらうと良いかと思います。

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ヒトが行動する理由は2つだけ

行動が維持されるのは、行動に伴ってメリットのある変化が生じるからです。メリットのある変化とは、次の2つになります。

  1. 行動することによって、欲している何かが得られる/増える
  2. 行動することによって、避けたい何かが遠ざけられる/減る

この2つの原則に基づいて、成果の出ない期間にわざとメリットのある変化が生じるように工夫をすることになります。

行動目標とそれを支える実行の仕組みを持つ

行動目標で達成感を感じながら成果に近づこう

まず最初に考えるべきは行動目標になります。行動目標とは、成果目標とは違い、行動の量と質についての目標になります。例えば「体重を5kg減らす」は成果目標ですが、「3ヶ月間、週5日、30分のジョギングをする」は行動目標になります。

行動目標は行動すればしただけ、目標の達成に近づくことができます。行動しても何も変化が起きない、ということはありません。ですので、成果が出ない期間にどのような行動目標を達成するかを決めておくといいでしょう。

また、適切な行動目標を設定することができれば、成果が得られる確率が上昇します。どのような行動目標が適切なのかは、欲している成果についての知識が必要となります。

しかし、これから取り組む目標についての十分な知識を持っているケースは、殆どありません。ですので、行動しながら「学びのサイクル」を回す必要があります。実用的な学びのサイクルが上手く稼働していれば、行動すればしただけ成果目標の達成に近づくことができます。

この点については、次の記事で詳しく取り上げていますので読んでみてください。

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行動目標を必ず達成できる仕組みを用意する

行動目標を定めたら、確実に行動目標を達成するための仕組みを用意します。先ほど書いた通り、行動目標は行動しさえすれば達成可能な目標です。感情がどうなっていようと、モチベーションがどうなっていようと、行動するしかない仕掛けをしておけば、行動目標の達成は約束されたようなものです。

そんな仕掛けをどうやって用意するかというと、このブログでは何度も出てきますが「行動契約」をお勧めします。先ほどあげた「3ヶ月間、週5日、30分のジョギングをする」という行動目標の場合、例えば次のような行動契約をします。

  • 毎週、最低5日は30分ジョギングすることを約束する
  • 約束が守れなかった週は、ペナルティとして$30支払う
  • 以上の契約を3ヶ月間(12週)継続する

このように行動契約しておくと、ジョギングすることでペナルティを回避できるというメリットのある変化が生じます。ペナルティが十分に「避けたい何か」として機能しているのであれば、行動を促す強力な仕組みとなります。

行動契約はStickK.comを使うと簡単に導入できますので、下記の記事を参考に試してみてください。いきなり3ヶ月も契約するのは怖いという場合は、2週間〜1ヶ月程度の期間で契約を作ってみて、行動契約の威力を確認してみてください。

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まとめ

自分なりに頑張って行動しているのに結果が出ない時というのは、行動を継続させるのがとても困難な場面です。特に「明確に悪い結果が出るわけでもなく、寧ろ何も起きない・・・」という場合、次に何をどうしたらいいか分からなってしまいます。

しかし、残念ながら成果というのは確率的に得られるものなので、成果が出ないというのは割と普通のことだったりします。だからこそ、多くの人は目標を立てても達成することなく行動を止めてしまうのです。

そこで大切なことは、自分にとって「重要な基準の行動」に集中することです。たとえ成果が出なくてもこれだけの行動ができれば満足だと思える行動目標を設定し、その行動目標を達成するための仕組みを予め作ってしまいましょう。

行動目標の達成それ自体は達成感を感じさせてくれますし、同時に成果が出る確率を引き上げてもくれます。成果目標の達成は、複数の行動目標達成の積み重ねの上にあります。