行動できる時とできない時ってありますよね。あれ、なんででしょうね。やる気が一定じゃないから、行動できたりできなかったりするんでしょうか。それとも、どんなときも行動し続ける意思の強さが足りていないから?
いえいえ。そんなのは行動の原因じゃないんです。
僕たちの行動は環境からたくさんの影響を受けています。行動できた時の環境、行動できなかった時の環境。その違いを読み解いていけば、行動しやすい条件も見えてくるんですね。
今回お伝えするのは、そんな行動に影響を与える環境要因の読み解き方です。
行動できる時とできない時がある理由
行動するかどうかは「環境」で決まる
行動できないのはやる気がないから?意思が弱いから?
同じことをやっているのに、行動できる時とできない時があります。
例えば、読書。同じ本を読んでいるのに、スムーズに読み進められる時もあれば、なかなか読む気になれず本を開きすらしない時もある。あるいは勉強。英語でも資格試験のためでもいいのですが、満足な時間勉強できることもあれば、全く勉強できないこともあります。
やることが同じなら、いつもできそうなものですが、どうもそうではないようです。何故でしょうか。やる気が出ないから? それとも意思が弱いから?
実は行動するかどうかに僕たちのやる気や意思は関係ありません。行動できていない現状をみてやる気が無いとレッテルを貼っているだけで、やる気が行動の原因ではないんですね。この辺りの詳しいことは下記の記事で書いていますので、興味のある方は読んでみてください。
環境からの影響によって行動するかどうかが決まる
では僕たちの行動の原因は何かというと、すばり「環境」です。より正確にいえば、僕たちと僕たちを取り巻く環境とが相互に作用した結果、僕たちが行動するかどうかが決まります。
環境との相互作用を読み解いていけば、僕たちが行動できる時とできない時の違いが分かるようになります。
ではその環境との相互作用をどう読み解いていけばいいでしょうか。今回は3つの視点をお伝えします。
視点1. 前提条件次第で行動の結果が変わる
行動する理由の読み解き方、その1。行動に結果をもたらす前提条件をみます。
- 行動しようとした時、誰がそこにいたのか。あるいはいなかったのか。
- いつ行動しようとしたのか。
- どこで行動しようとしたのか。
こういった条件は時に僕たちの行動に何らかの結果をもたらします。
例えば、あなたが勉強しようとしている時、友人が近くに居たとしましょう。その友人とは一緒に資格試験の合格を目指しています。そんな状況であれば、勉強は捗りそうです。勉強しないでいれば、友人から「そろそろ勉強したら?」などと言われてしまうかもしれないから。
あるいは同じように友人が近くに居たとして、それが行動を止めてしまう可能性もあります。友人は良く一緒に遊びにいく相手。あなたが勉強しようとしている時に、「勉強は後でいいじゃん、遊びに行こうよ」などと声をかけてくれば、あなたはなかなか勉強を始めることができないかもしれません。
同じ行動であっても、誰がいる時に、いつ、どこでやろうとしているかによって、その行動に伴う結果が変わってしまうのです。そしてその結果次第で、僕たちは行動できたりできなかったりします。
視点2. 状況次第で結果の影響力が変わる
行動する理由の読み解き方、その2。行動に伴う結果の「影響力」が変わる前提条件をみます。
行動しようとした時、あなたはどんな状態だったでしょうか。その状態をもたらした前提条件はなんでしょうか。それが行動の結果の影響力を強めたり、弱めたりしているかもしれません。
例えば、あなたが勉強しようとしている時、友人が遊びに誘ってきたとします。あなたはここしばらく頑張って勉強するために、遊ぶ時間を取っていませんでした。我慢していたのです。そうすると、久しぶりに友人と遊ぶことはとても魅力的なものになるかもしれません。このような条件下では、勉強するのは難しそうです。
あるいは資格試験の当日まであと一週間という状況だと、どうでしょうか。あなたにとって勉強時間を確保することは、とても重要なことになっているはずです。この場合は、友人からの誘いを断ることになるかもしれません。
どう行動しようとも、その行動には結果が伴います。しかし、同じ結果であっても僕たちがおかれた状況次第で、その結果の影響力が変わります。行動しやすい状況、そうではない状況というものがあるのです。
視点3. 行動する負担が増える時、減る時がある
行動する理由の読み解き方、その3。行動しようとした時の負担感を見ます。
同じ行動であっても、簡単に行動できる時とそうでない時があります。
例えば、勉強道具を自宅においている場合を考えてみます。あなたがいま、自宅にいるのであれば、すぐにでも勉強を始めることが可能でしょう。これは負担感が低い。
一方で、出先でポッカリと時間が空いてしまいました。せっかくなので勉強時間に充てたいのだけど、そのためには一度自宅に戻らなければいけません。この後、また外出する予定があるので、一旦戻って勉強を始めるのは面倒ではないでしょうか。これは負担感が高いです。
このように行動できる条件が整ったとしても、その実行負担次第では行動したりしなかったりするのです。
記憶ではなく「記録」に頼りに自分の動かし方を見つけよう
自分が行動しやすくなる条件を見つけよう
僕たちの記憶にはたくさんの誤りがある
このように様々な環境要因の影響が積み重なり、僕たちは行動できたりできなかったりしています。
どのような環境要因から影響を強く受けるかは、人それぞれで異なっていますので、自分がどういうときに行動できて、どういうときに行動できないかを知るのは、自分を動かすためにとても大切なことです。
では、どのようにすれば「自分の動かし方」が分かるのでしょうか。ぱっと思いつくのが、記憶を遡ってみる方法。行動できた時ってどんな時だっけ?と問いかけることで、もしかしたらヒントが見つかるかもしれませんね。
ただ人の記憶とは曖昧で誤りを含むものです。全然行動できていないと思い込んでいたけど、客観的にみると十分に行動できているなんてことは、よくある話。人は自分が重要だと思う情報を過大評価しがちなんですね。
記憶ではなく「記録」へ
自分が行動できる時と行動できない時をなるべく正確に知りたければ、頼るべきは「記憶」ではなく「記録」です。
- いつ行動したのか
- どのくらいの頻度で行動したのか
- どのくらいの時間、行動したのか
そういった行動に関する記録をつけてみてください。行動できる環境を読み解いていくにあたって、記録は重要なヒントを与えてくれます。
例えば、火曜日は割と行動できていることが多いけど、他の曜日だと殆ど行動できない。そんな記録が残ったとすれば、火曜日と他の曜日の違いは何だろうか、と考えることができます。その違いの中に自分を動かすヒントがあるはずです。
行動の記録を取る方法
簡単に記録が取れる用紙を作っておこう
でも記録を取ると言っても、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
一番シンプルな方法は、記録用紙を作って行動したかどうかだけを記入できるようにしておくことです。記録用紙とは、例えば次のようなものです。
これはある一つの行動について、実行した時間帯を塗りつぶしていくだけのものです。これがあるだけでも、どの曜日のどの時間帯に行動する傾向があるのか、あるいは全くそういった規則性が見えないのか、といった情報が得られます。
もし行動した時の感触も記録しておきたいのであれば、塗りつぶすのではなく○や△といった記号を記入してもいいでしょう。回数や実行時間がハッキリカウントできるなら、もう少しマスを大雑把にして数字を記入しても良いかもしれません。
行動しやすい条件を見つけるヒントになる
きっちり正確に記述する必要はありません。ある程度の正確性で十分です。この記録は自分が行動しやすい条件を見つけるための手がかりにすぎません。記録をもとに、何が行動を促す環境要因だったのかを読み解いていくのです。
行動しやすい条件に思い至ったら、その条件を再現できないか工夫してみるといいでしょう。工夫してみた後はまた行動の記録を取って、効果があったかどうかを確認してみてください。
少々手間に感じてしまうかもしれませんが、このようなことを繰り返していくと、自分の動かし方も見えてきます。得意パターンが見つかれば、様々な行動に応用が利きますので、かけた労力以上の見返りがあると期待してください。
まとめ
本記事でお伝えしたことは次の3点です。
- やる気や意思の強弱が行動するかどうかを決めるのではない。環境からの影響によって、行動するかどうかが決まる。行動に影響を与える環境要因の読み解き方を知ろう。
- 行動できた時と行動できない時の環境の違いを知ろう。但し、記憶に頼って違いを読み解こうとしても、記憶はたくさんの誤りが含まれているので正確な要因が分からない。記憶ではなく記録を取り、その記録をもとに行動できる条件を探っていこう。
- 行動の記録を取る場合は、簡単に記録できるように予め記録用紙を用意しておこう。完全な正確さは不要。環境を読み解いていくためのヒントが得られれば十分。