行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

結果が出なくて心折れそうな時の拠り所を作る方法

せっかく頑張ってみたのみ、蓋を開けてみたら期待外れの結果だった。そんな時って心が折れそうになりますよね。もう頑張る気がなくなっちゃったよ、ってなります。

でも本当はそんな時でも、もうちょっと頑張れた方がいいと思っているのではないでしょうか。だから行動できないことに悩んでいるんですよね。

僕の場合、心が折れそうな状況になった時、高校生の頃に遊んでいたゲームのことを思い出すと不思議とまた行動できるようになったりします。ファイアーエンブレムで遊んだ記憶が僕の行動の拠り所。

何故その記憶が行動を促すのか。その辺りの話とあなたが心折れそうな時に拠り所となるものを得るにはどう考えればいいか、といったことをお伝えします。

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思うような結果が出ないとどうなるのか?

心が折れるとそれ以上頑張れなくなる

心が折れるっていいますよね。2000年辺りにスポーツ選手が使い始めた言葉らしいですが、何を言わんとするかが伝わってきます。

思うような結果が出ない時、心が折れそうになります。心が折れるとどうなるのでしょうか。行動が止まります。それ以上、頑張れなくなるということです。

心が折れたから行動が止まる、だと循環論に嵌まって改善できなくなりますので、ここはもう少し行動分析学に寄せて言い直してみましょう。あ、循環論について詳しく知りたい方は下記の記事を読んでください。

www.behavior-assist.jp

心が折れるを行動分析学っぽく言い換えると・・・

まず思うような結果が出ないというのは、恐らく期待していた何らかの結果があって、いざ蓋を開けてみたら期待外れの事実が目の前に現れた、ということでしょう。その事実が「行動してもメリットのある結果が生じない」ことを示すサインとなり、行動が止まってしまったのだと思われます。

期待外れの事実が現れる前は、○○すれば上手くいくという思い込みや教えといったものが「行動すればメリットのある結果が生じる」ことを示すサインとなり、行動できていたということなのでしょう。

心折れる前と心折れた後の違いは、行動と結果との関係についてどんなサインが出ているかだけなのです。

ゲームの記憶が救いになった

心が折れそうな時、それでも行動したい僕たち

では心折れそうな時、つまり「行動してもメリットのある結果が生じない」ことを示すサインが出ている時、本来、僕たちはどう行動したいのでしょうか。

もちろん、もうひと踏ん張り頑張ってみたいのです。そう願うからこそ、行動が止まってしまった現状が不満であり、悩んでしまうのです。

ところで僕にはあるゲームで遊んだ記憶があります。実はその記憶が心折れそうな時の救いとなることがあるのです。ちょっと昔話にお付き合いください。

ファーイアーエーンブレム、手ー強いーシミュレーション♪

任天堂のファイアーエンブレムというゲームをご存じでしょうか。最近、スマホで最新版が発売されたようですが、僕の記憶のファイアーエンブレムは1作目のもの。1990年発売なので当時は高校生だったはず。

そのファイアーエンブレムで遊んでいると、時々、もう9割方ダメだろうなという状況に陥ることがあります。そんなとき、当初僕は諦めてしまっていました。

するとある時、奇跡的に残り1割の目が出たのです。ところが僕はすでに諦めていたので、やるべきことをやっていませんでした。結果どうなったかというと、せっかく1割の可能性を引き当てたにも関わらず、何もできなかったのです。

ベストな選択を取っていなかったので、9割の失敗可能性を10割にしてしまっていたのですね。

そんな経験をしてからというもの、ゲームで遊ぶ時にどうにも希望が持ちづらい状況になっても、もしかしたら・・・と考えてしまいその時なりにできることをやるようになりました(できない時もある)。

そうすると何回かに1回は、そのおかげで救われることがあるのです。上手くいってしまうのです。

現実で心折れそうな状況の時、僕はこのゲームの記憶が時折頭をよぎります。

確かにいまは上手くいっていないし、上手くいきそうな可能性も低いかもしれない。でも、自分なりにベストを尽くさなかったら、万が一のチャンスを逃してしまうかもしれない。

そう考えることができた時は、もうひと頑張りできます。

頑張って報われた経験を「今」と関係づける

ゲームの記憶がベストを尽くせとささやくのです

つまり僕にとってゲームの記憶は「行動したらメリットのある結果が生じる」ことを示すサインとして機能しています。だから行動できるのです。

このことは僕以外の人にとっても解決の糸口になるかもしれません。

ゲームの記憶が教えてくれることは「いまにも失敗しそうな時であってもベストを尽くせ」だが、そのこと自体は重要ではありません。この言葉は僕にのみ有効なものなのです。

ファイアーエンブレムで遊んだ記憶が触媒となり、心折れそうな状況とこの言葉とが機能的に関係付けられ、結果として行動に影響を及ぼしているのです。言葉だけを取り上げて「なるほどその通り」と思ったところで、行動はさほど変わらないでしょう。

もしそれで行動が変わるなら、たくさんある名言集を読むだけで僕たちの行動は変わっているはずです。実際は気分が良くなるだけで、行動は変わらないですよね。

あなたが使える、あなただけの記憶を見つけよう

ではどうすればいいかというと、具体的なノウハウを示すことは難しいのです。

何故かというとこれは「経験知(暗黙知)」だからです。僕の経験知はあなたのヒントになるかもしれませんが、あなたの行動を変えられるわけではありません。あなたは僕の経験知を見聞きしたところで「使う」ことができません。

あなたが「あなたにとって使える経験知」を手に入れる必要があります。

そのためのヒントをこれから書きます。が、少々つかみ所のない話だと感じるかもしれません。

心折れそうな状況と関係性を見出せる記憶を探す

まず最初のステップは、心折れそうな状況と関係性を見出せる記憶を探してみてください。それは僕と同じような何かをした記憶かもしれません。あるいは小説や漫画のあるシーンの記憶かもしれません。

具体的に何かは分かりませんが、あなたの行動に効きそうな記憶を引っ張ってきましょう。

見つけた記憶の使い方を試してみる

次にその記憶をどう使えば良いか、幾つか試してみてください。僕の場合、ファイアーエンブレムで遊んだ記憶を使う方法は「言葉」でした。ベストを尽くそう、という言葉です。

あなたの記憶の使い方も言葉かもしれません。そうじゃないかもしれません。あるシーンを映像として思い出したり、誰かの声が頭に浮かんだり、音楽が聞こえてきたりするかもしれません。

個人的には言葉が汎用的に使いやすいのではないかと思いますが、何せ自分の主観的な経験は人と比較できませんので、言葉があなたにとっても有効なのかが分かりません。ですので、色々試してみてもらいたいのです。

自分にあった「記憶を使う方法」を探してみてください。

記憶それ自体とその記憶の使い方。この2つが上手く機能すれば、あなたは心が折れそうな時に、もうひと踏ん張りするための拠り所を得ることになるでしょう。

まとめ

この記事でお伝えしたことは次の3点です。

  1. 心折れて行動が止まってしまうのは、目の前の事実が「行動してもメリットのある結果が生じない」ことを示すサインとして機能しているため。
  2. 心が折れそうな時にファイアーエンブレムで遊んだ記憶が頭をよぎり、「ベストを尽くしておかないとチャンスが来た時に何もできない」という言葉が浮かんでくる。それが「行動したらメリットのある結果が生じる」ことを示すサインとして機能し、もうひと踏ん張りできる。
  3. ベストを尽くして〜の言葉自体は重要ではない。それだけでは行動は変わらない。大切なのは「心が折れそうな状況と関係性を見出せる記憶」と「その記憶の有効な使い方」である。この2つが上手く機能すれば、心が折れそうな時にもうひと踏ん張りするたえの拠り所になってくれる。