行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

行動の継続をサポートしてくれる仲間が見つかる方法

行動の継続や変容のための典型的な工夫として、他者の力を借りる方法があります。誰かのサポートがあれば、行動を変えるための工夫の幅は一気に拡がります。一人だと行き詰まりがちなことや、なかなかできないでいることも、サクッとやれちゃったりします。

なので誰かのサポートが得られる環境を作ることができれば、行動はかなり思い通りになります。

しかし問題はそんな風にサポートしてくれる人と、どうやってつながればいいのかという点。結論からいえば、サポートしてくれる人を見つけようと思っても、そう簡単にはいかないでしょう。有料サービスを使うくらいじゃないかと思います。

そこでお勧めしたいのが、サポートしてくれる人ではなくて、同じ目的を共有する仲間を見つけるという方法。これはこれで簡単にというわけにはいきませんが、ある程度の方針を示すことは可能です。

そのあたりをお伝えしたいと思います。

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誰かが協力してくれると行動は継続しやすくなる・・・けど

行動を継続するなら、一人で頑張るよりも誰か協力してくれる人が居たほうがめっちゃ有利です。なぜなら他者が関わることで、行動に分かりやすい変化が伴うようになるから。

例えば、友人に早起きをすると約束したとしましょう。その証拠として朝5時に友人宛にLINEでメッセージを送るようにします。何日か継続したところで、友人から「結構がんばってるじゃん」といったフィードバックが貰えるかもしれません。友人からの反応という変化は、一人で頑張っていたのでは得ることのできない行動の結果です。

あるいは、一緒に英語の勉強をする仲間がいるとどうでしょうか。互いに声を掛け合うことで、その日の勉強を始める切っ掛けになるかもしれません。予め勉強会の約束をしておくことで、一定の勉強時間を確保できるかもしれません。一度、同じ空間で勉強をはじめれば、終わるまでの間、集中して取り組みやすくなるかもしれません。

このように協力してくれる他者の存在によって、行動を継続するための工夫は、そのバリエーションを格段に拡げてくれるのです。

しかし問題があります。そもそもそんな協力者はどこにいるのでしょうか。どうやったら出会えるのでしょうか。

協力者を探すのではなく仲間を作ろう

考え方として「行動をサポートしてくれる人を探す」というのは、あまり上手くいかないでしょう。あなたのことを知らないどこかの誰かは、あなたの行動に協力する理由はないのです。

大切なのは先に「つながり」を作ること。

たとえ行動をサポートしてくれなくてもOK、そのために繋がっているわけじゃないという仲間を作ることを考えてください。行動とは全く違うところで目的を共有したつながりで、それが場合によって行動をサポートする機能を持つ、という感じです。

仲間だからこそ積極的にやり取りもするし、場合によっては多少負担になって協力しようとしてくれるわけです。

では、そんな仲間を得るにはどうすればいいのでしょうか。

偶然に出会い、意図を持って関係を作る

出会いは偶然である

幾つかの出会いの中から、仲間になってくるかもしれない人が見つかる

まず「出会いは偶然である」という点を押さえておきましょう。

あそこにいけば仲間が見つかるとか、誰かに紹介してもらえれば仲間が見つかるといったことは、基本的にありません。仲間とは「共に何かをする人の集まり」です。背景には目的の共有があるのです。

仲間を作ることは、単なる知り合いを増やすのとは違うのです。お互いに負担を掛け合うことだってあるでしょう。それを許容できる間柄なのです。

そうそう狙って出会えるものではないですし、出会えたから即仲間ということもありません。

出会いが偶然だからこそ、試すことが欠かせません。幾つかの接触の中から、ほんの少しだけ仲間になってくれるかもしれない人が見つかります。

人に会いに行こう、人に会いに来てもらおう

だから、人に会いにいきましょう。人に会いに来てもらいましょう。

自分から会いに行く場合は、何か興味のあるコミュニティやサークル、あるいは講座みたいなものに出向いてみてください。気に入ったら継続的に参加してみるといいです。

あるいは向こうから会いにきて欲しいなら、何かを主催したり発信したりする立場になりましょ。コミュニティを作ったり、講座を開催してみたりすればいい。ブログだってやらないよりはやった方がいいでしょう。興味のあることを発信すれば、そこにやってくる人も同じことに興味を持っている可能性が高いはず。

因みに僕は後者の方法で少しずつ仲間が増えていきました。いまではそのメンバーと法人を設立するまでに至っているわけで、これは面白いことだなぁと感じています。

一緒に活動しようと誘ってみる

気の合いそうな人と出会ったなら、次に必要なのはほんの少しの勇気です。その人を誘ってみて欲しい。一緒に活動しないかと。いきなりそれだとハードルが高ければ、何か別のコミュニティであったり、食事会等でもいいでしょう。

同じことに興味があるからこそ、その人が「共に何かをする人」になってくれる可能性は十分にあります。

しかし、それもきかっけがなければ始まりません。相手から誘ってきてくれればラクでいいですが、誰かを仲間へと誘うのは割りと勇気のいること。可能であれば相手のアプローチを松のではなく、あなたからそのハードルを超えてみてください。

仲間としての関係を深めていく

共に活動することに合意してくれたなら、次は関係の構築です。もちろん、ここまでの間にもそれなりに関係を作ってきたことと思いますが、此処から先は共に活動する仲間としての関係を深めることになります。

そこで大切なのが「定期的に活動する場」と「日常的なコミュニケーション手段」です。定期的に集まり活動することで、コミュニケーションの回数・密度が高まります。お互いがどういう人間であるかを理解し合う機会にもなるでしょうし、何か新しい企画がスタートすることになるかもしれません。

また日常的なコミュニケーション手段も是非、用意しておきましょう。いまであればSNSを使えば簡単ですね。LINEやFacebook、chatwork等、グループチャットの機能が使いやすいかと思います。

注意点としてはこういったSNSだけのやりとりで関係を深められると思わないことです。基本は定期的に顔を突き合わせて活動する場であり、SNS等はその補助という位置付けで活用してください。

人のつながりを行動に活用できる環境へ

以上のような活動を続けていくと、少しずつ仲間が増えてきます。

繰り返しますが、仲間とは「共に何かをする人たち」です。その活動の中から、自然とお互いの行動をサポートする機会も生じることでしょう。

人のつながりを行動に活用できる環境が整った時、僕たちは今よりももっと行動を継続しやすくなります。行動を変容させやすくなります。

目的を共有した仲間の存在は、とても貴重なリソースなのです。

まとめ

本記事でお伝えしたことは、次の3点です。

  1. サポートしてくれる人がいると、行動の継続は容易になる。しかし、サポートしてくれる人を探そうとしても、そう簡単には見つからない。なぜなら見ず知らずの誰かは、あなたの行動をサポートする理由がないからだ。
  2. 目的を共有する仲間を探してみよう。共に活動しながら関係を深めていくことができれば、そのつながりが時々、行動をサポートする機能を兼ねることがある。
  3. 人に会いに行く、または会いに来てもらうことで出会いを増やそう。その中に気の合う人がいたら、思い切って一緒に活動しようと誘ってみる。仲間としての活動をスタートさせることができたら、定期的に集まって活動する場であったり、日常的なコミュニケーションの道具を活用し、仲間としての関係を深めていこう。