行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

「自分から行動できない」という悩みを克服するための効果的なトレーニング

Q.
相手の反応が心配でオドオドしてしまい、自分から行動できない。

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A.
まず「自分から行動できない場面」を具体的に限定してみてください。その後、その場面で上手く行動できるように練習を繰り返せば大丈夫です。そうやって1つずつクリアしていけば、行動できることが増えていつの間にか「自分から行動できる」ことが増えていきます。

解説:「行動できない」を「行動できる」に変えるために必要なのはトレーニング

行動できない状況を限定的に捉えなおそう

オドオドしてしまって自分から行動できないという悩み。まず状況をなるべく正確に捉えなおしちゃいましょう。

いつも、どこでも、誰に対してもオドオドしてしまうのでしょうか?

親しい友人に対してはどうか。家族に対してはどうか。後輩に対してはどうか。近所の子供に対してはどうか。

僕たちの行動は環境の影響をばっちり受けてしまいますので、自分から行動できないという場合でも、どんな環境でそうなのかをなるべく具体的にしてみてください。そうすると「大丈夫だ、問題ない」という場面と、やっぱり上手く行動できない場面とがあることに気づくはずです。

その上手く行動できない場面を1つ、具体的にピックアップしてみてください。その場面でどのように振る舞えていれば、あなたは「自分から行動できた」と思えるのでしょうか。

自分から行動できたと思えるような具体的なアクションのリストを書き出してみてください。それらを上手くできるようになればいいのです。

安心できる環境でリハーサルを繰り返してみよう

できないことをできるようになるのに必要なのは、トレーニングです。

トレーニングするためには、そのための安心できる環境が必要です。練習台になってくれる友人や家族はいないでしょうか。もしいるようなら、協力を依頼してください。練習台になって欲しい、と。

もしそういった協力をお願いできる相手がいないのであれば、カウンセラー等にかかってみてもいいかもしれません。

とにかくあなたに必要なのは、比較的安心できる環境で繰り返し練習することなのです。リストに書き出した行動を、簡単なものから練習していって引き出しを増やしてください。

練習相手にはあなたが上手く行動できているように見えたときには、ポジティブなフィードバックを返すようにお願いしておいてください。上手くできていない場合には、具体的にどの辺りが上手くいっていないのかを指摘して貰えると、より良いでしょう。

本番で行動しやすくする工夫を考えてみよう

さて、ここが重要なポイントになるのですが、あなたにとって大切なのは練習の場で上手く行動できることではありません。

あなたが最初に想定した日常の場面、つまり本番で上手く行動できることが最も重要なはずです。本番で上手く行動できて、結果、ポジティブなフィードバックが得られて、自分から行動できたと思えるようになりたいはずです。

そのために、練習の場に本番を想起させるような要素を取り入れていきましょう。練習相手を変えたり、人数を変えたり、実際の場面と似たような場所で練習したり、道具を変えたり、服装を変えたり。練習の場面が本番の状況に近づくために、考えられるだけの工夫をします。その上で、同じように練習します。

これは「般化」と呼ばれる現象を促すための工夫です。

よくあるのですが、練習の時は上手くできるのに本番になるとそれが全く発揮できないという場合、練習の場面と本場とが全くことなる状況であるため、練習の成果が反映されなくなってしまっているのです。

頑張って練習するのですから、どうせなら本番との連続性を担保しておきたいものです。

以上のような工夫をすることで、かなり行動しやすくなるはずです。最終的には本番で上手く行動できることを経験する必要はありますが、そうできる可能性を事前に少しでも高めておきましょう。