行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

ムダが多くて重要なことに時間を割けていないように感じる…。

Q.
どうもムダなことをしすぎているように感じます。 もっと重要なところに時間を割けるようになれば、効率も良くなるし成果も上がるんじゃないかと思うんですが…。

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A.
2つやってください。1つ目はあなたがやる作業を、もっと細かい具体的な手順へと落とし込んでみること。もう1つはそれらの手順の重要度を判断するための基準を作っておくこと。この重要度は、作業の目的にどれだけ貢献するかで決まります。

解説:重要度を判断するための基準作りと具体的な手順への分解が鍵

重要な作業かどうかの見極めが欠かせない

ムダなことをしすぎている、重要なところにより時間を割きたい。これは最もな考えだと思います。短い時間でなるべく効果的な成果を出したいですよね。

この場合、問題はどうやってその作業が「ムダ」なのか「重要」なのかを見極めればいいかという点。この判断が上手くできなければ、当然、重要なところに時間を割くという選択も取りようがありません。

この見極めを上手くやるためには、2つのポイントがあります。

  1. 作業の重要度を見極めるための時間を取る
  2. 作業の重要度を判断するための具体的な基準を作る

慣れてくればすぐにできるので、いちいち見極めのための時間を設ける必要はありません。しかし、現状うまくできていないのですから、一度、作業の重要度をしっかりと判断するための時間を取るようにしましょう。

重要度を見極めるためだけの時間は、作業自体は進まないのでさっさと終わらせたく思うかもしれません。しかし、この判断が曖昧ではいまのような問題を抱えてしまうことになるのです。見極めは繰り返しやってみればどんどん上手くなっていきますので、最初だけ我慢してください。

またせっかく時間をとったとしても、判断それ自体が不味くては上手く重要な作業だけをピックアップするのが難しいでしょう。そこで、重要度の見極めをサポートするための具体的な基準を予め作っておいてください。詳しくはあとで説明します。

一度作業を分解してみて目的に貢献しているかを検討してみよう

さてまずは作業の重要度を見極めるための時間を設けてください。

そこで何をするかというと、まずはあなたの作業を具体的なステップへと分解してみるといいでしょう。普段、どのように作業を進めているかを思い出しながら、1つずつ手順をリストアップしていってください。

ムダがあるということは、要はその手順の中に本来やらなくてもいいこと、あるいはやった方が良いけどあまり時間をかけるべきではないことが含まれているはずです。それを見つけ出すための下準備になります。

もしかしたら書き出しただけでムダな手順に気づくかもしれませんね。そういうものはさっさと排除してしまいましょう。次回からやる必要はありません。やるにしてもある程度こだわりを捨てて、簡単に終わらせるようにしましょう。

自分なりの”基準”を作っておけば重要度を見極めやすくなる

1つ1つの手順が分かったら、今度はそれぞれの重要度を見極めることになります。そしてここが一番難しいところ。どうすれば重要かそうでないかが分かるのでしょうか。

今回の場合であれば、作業の目的に対してどれだけ貢献するステップかを考えることになります。目的に対して貢献するとは、例えば成果物の質の向上につながっているとか、作業効率の向上につながっているとかです。

これからやる作業にどれだけの時間をかけられて、どれだけの質・量が求められているのかを予め把握しておくと判断しやすくなります。基本的に時間と質・量はトレードオフの関係になることがおおいでしょう。

作業や成果物の質は、上げられるものであればどんどん上げても構いません。しかし、それには当然時間を割く必要があるわけですが、限られた時間をどの具体的な手順のために割り当てるのかも検討しなければなりません。

つまり、時間という制約を考えたときに、自分が達成できるであろう妥当な質・量が見えてくるということ。それを作業の目的として、目的に貢献するステップをより重要に扱うようにするといいでしょう。

重要度を見極めるための時間と、その判断に使う基準とを明確にしておけば、いまよりも重要なことが何かを判断できるようになるでしょうし、判断できるのであれば時間や労力の配分をそれにあわせることも難しくはないはずです。