行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

”時間がない”でやりたいことを躊躇している人の抱える本当の問題とは

Q.
やりたいことがあるけど、それを始めると時間がギリギリになってしまいそう。

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A.
これは「時間についての問題」ではありません。やりたいことをやってみた場合のデメリットは具体的にイメージできるのに、メリットは曖昧にしか考えられない故に、デメリットの影響が大きくなってしまっているのです。結果、やってみたいけど躊躇し続けるという状態にとどまり続けているのです。

やりたいことのメリットとコスト

やりたいけど躊躇してしまう状態を解消する方法は2つ

やりたいことがあるけど、時間を理由に躊躇してしまう。しかも「躊躇している状態」に悩み続けているわけです。

この状態を解消する方法は2つ。1つはやりたいことをスッパリと諦めてしまうことです。そうすれば少なくとも躊躇している状態ではなくなりますので、今やるべきことに集中しやすくなるでしょう。

でも、やってみたいわけです。

だとすればもう1つの解消法。多少無理をしてでも「やってみる」しかありません。

やりたいことをやるデメリットは何か?

そこでまず現状をもう少し具体的に捉えてみましょう。やりたいことに躊躇してしまうのは、やってみることのメリットとデメリットを勘案し、デメリットが上回りそうな気がするからでしょう。

では”やりたいことをやってみる”ことのデメリットとは何でしょうか。これも2つあります。

1つはリソースの欠乏を招いてしまうかもしれない点。例えば仕事などがおざなりになることで、金銭的に困ってしまうかもしれません。今まで通りに仕事しつつ、やりたいことをプラスαでやると、今度は時間に困窮するかもしれません。

もう1つのデメリットは周囲の人達の反応です。やるべきことよりもやりたいことを優先するために、誰かの依頼を断ったり、いままでやってきた仕事などを止めると伝えなければならないかもしれません。これが強いブレーキになる可能性があります。

以上がやりたいことをやるデメリット。ではメリットはどうでしょうか。

僕たちはやりたいことに取り組むメリットをまだ知らない

実は「躊躇しているやりたいこと」のメリットはよく分かりません。何故ならまだやったことがない状態なので、漠然と想像するしかできないのです。

ここのこの問題の根っこがあります。つまり「やりたいことをやるデメリット」はある程度明確になっているにも関わらず、「やりたいことをやるメリット」は具体的に想定できない状態なのです。

ハッキリしているデメリットと曖昧なメリット。どちらがより強く影響するかといえば、当然ながらデメリットの方でしょう。結果、僕たちは躊躇してしまうのです。

どの程度なら”無理”をしても致命傷にならないか

この問題を解決するための唯一の手段は、やっていたいことを「試す」しかありません。試すことを通して、やってみたいと思っていたことについて現実的な情報を得る必要があります。

それをやることで得られるものは何なのか。そこに具体的なイメージが持てるようになれば、より本格的に時間と労力を割くべきかを判断できるでしょう。

試すための大前提は「致命傷を負わない」ことです。試すことの目的は成果を得ることではありません。経験を得ることが目的です。経験から得られる情報は多い方がいいでしょうから、繰り返し試すことが望ましい。致命傷を負ってしまうと、それ以上、試すことすら難しくなります。

ですので、リソースの欠乏をどの程度までなら許容できるかを考えてください。お金であれば、最低限、どのくらいの収入があれば生活を維持できるでしょうか。意外と少ない金額で済むこともあります。

あるいは試すことにどれだけの時間を割くことができるでしょうか。本格的に始めるのではなく、少し経験してみるための時間を確保してみてください。何をやるかにもよりますが、1〜2日の経験でも何もやらないよりは遥かにいいでしょう。

そうやって試すことを繰り返しながら、やりたいことについての現実を知り、その後、もっと本格的に取り組むか、それとスッパリ諦めるのかを判断してください。