行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

目標設定すべきタイミングと目標達成のカギとなる習慣化の要点

目標を設定すること、そしてその達成に必要な習慣を身につけることは、少しでも豊かな人生を送るには欠かせないものだと僕は考える。

本エントリーが、不満だらけの現状から少しでも抜け出し、自らの行動で人生を形作っていくためのヒントになるかもしれない。

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目標を設定した方がいいのはどんな時か?

僕がこれまで見聞きしてきた中に、

  • 明確な目標をもち、達成することで結果を生み出すケース
  • 全く目標は立てないのだが、大きな成果を出しているケース

の2種類がある。

目標とは、自身の願望を明確に表現したものに他ならない。
願望が明確に表現されることで、現状とのギャップもまた明確になる。
故に、ギャップを埋めるための課題もハッキリするのである。

目標設定は願望を叶えるための強力でシンプルな手法の一つなのだ。

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目標が無くても大きな成果を出すパターン

ところが、中には目標を設定することなく、大きな成果を残す人もいる。
これは、なぜだろうか。

恐らく、あまりにも願望が明確であるため、改めて目標を意識せずとも、やるべきこと・やりたいことが自明なのだ。
加えて、今現在、願望に沿った行動を取れる環境にあるのだ。

私も、若干ではあるが、そういった経験をしたことがある。

今の会社に就職して4〜5年は、目の前の仕事に集中することが、そのままやりたいことに集中することであった。
やるべきこと、やりたいことなどは自明であり、改めて目標など意識する必要も無かった。

しかしながら人は変化を求める生き物である

こういった状態がいつまでも続けば幸せである。

しかしながら、人間は変化を望む生き物でもある。
あるいは、現実が願望とズレてくる場合もある。
そうして、願望の実現が現在の延長線上になくなったとき、向かうべき方向を見失う。

ここに至って、改めて目標を明確に表現する必要性に迫られるのである。

もし、あなたが何らかの願望を実現したいと思っていて、それが現在の延長線上にないのであれば、じっくりと自身の明確な目標を設定するほうが、間違いなく「易しい」。

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目標は日々の習慣によって達成される

目標を達成するのは、唯一、行動のみである。
それも、大きな力を発揮するのは、習慣化された行動だ。

習慣化するということは、それを行うことが自然になるということだ。
目標の達成に効果的な行動が習慣になっていて、毎日、大した負担もなく実行できているとしたら、目標の達成は予定された未来になるだろう。

明確に描かれた目標と現状のギャップ。
それを埋めるために、果たしてどんな習慣が必要なのか、試行錯誤しなくてはならない。

一番確実なのは、「巨人の肩に乗る」という様に、先達が取り組んできたことを聞き出し、真似をすることだろう。

習慣づくりの3つのポイント

うまく習慣を作っていくポイントは3つだ。

  • 確実に少しずつやること
  • 行動に習熟していくこと
  • 測定し、記録すること

1. 確実に少しずつやること

現在の延長線上にないところにいこうとすれば、我々は自分を変化させなくてはならない。

変化するとは、これまでの習慣を変えていくということだ。
しかし、習慣には慣性の力が働いているので、すぐに変えられるものではないだろう。

人は人生の一大事ともいうべき過酷な現実に直面すると、大きな変化を遂げることがある。
しかし、そんな重大事は頻繁に起こるものではない。

だから、少しずつ、でも確実に変えていくのである。
以下の問いかけを自分にして欲しい。

目標の達成に効果的で毎日やるべき行動のうち、1つだけあげるとしたら、何だろうか?

そう、1つだけ。それをしかし、確実に、毎日、例外なくやるのである。
無理だと思うなら難易度を下げたり、既存の習慣に紐付けることを考えよう。

ここで重要になるのは、目標と願望が一致していることであり、身につける習慣が確実に目標の達成へと繋がることがイメージできることだ。
そうすれば、習慣を身につけることが願望と一致するので、ポジティブな気持ちで取り組めるのである。

目標を撃ち落とす弾(習慣)を増やしていこう

ある程度、習慣化できたら次のターゲットを定めよう。
再び「目標の達成に効果的で毎日やるべき行動のうち、1つだけあげるとしたら、何だろうか?」と問いかけるのだ。

そうやって1つずつ効果的な習慣を獲得していけば、最終的には

  • 目標を達成しているのが当たり前な自分

へと成長することができる。
目標達成に効果的ないくつかの行動を、自然に簡単に実行できるようになっているのだから。

2. 行動に習熟していくこと

ところで習慣を身に付けるには、どれ程の時間は必要なのだろうか。

ある書籍には3週間が一つの目安とある。
また日本には「三日坊主」なんて言葉もある。

よく言われるのが3日、3週間、3ヶ月、3年を基準にしようというものだが、これは必ずしもそうとはいい難い。
例え3週間、3ヶ月続こうとも、環境や状況の変化であっさりとその習慣が途絶えてしまうことがある。

つまり、習慣化の達成基準を「これからずっとやり続けられる状態」としてはならない。
そのような基準は幻想だ。

本稿における習慣化の達成基準は

  • それを自然に簡単に実行できるようになるまで習熟すること

とする。

つまり今日はやらないかもしれないけど、いざやろうとすればあっさりと実行できてしまうこと、である。

どの程度で基準に到達するかは、やろうとしていることの難易度や複雑さによって違うだろう。
習熟するまでの期間の目安として3週間や3ヶ月を考えるといいだろう。

3. 測定し、記録すること

測定可能にしておくことは、とても重要だ。
なぜなら、測定できることは改善できるから。

目標も行動も、曖昧なままでは改善することができない。
例えば、

  • 本をなるべく毎日読む

という行動を設定したとして、本当に実行したか判断できるだろうか。
できなかったとしたら、どの程度できなかったのか判断できるだろうか。

しかし、仮に

  • 毎日、必ず15分以上は本を読む

となっていればどうだろうか。
できたかどうかは明確だ。

あるいは、

  • 毎日、必ず1行でも本を読む

としておいても結果は明確だ。
結果が明確になるので、3週間続けられたどうかもハッキリするのである(=達成回数が測定可能)。

どんな目標でも測定することは可能だ

そうは言っても測定可能になんかできない、というケースもあるだろう。
例えば、

  • 会社から帰ってから、妻や子供と楽しく過ごせる時間をつくる

という行動はどうだろうか。
楽しいということを判断するのは難しい。
しかし、この場合でも、結果が明確になるようにすべきだ。

例えば、次のようにすればいい。

  • 毎日、子供が笑顔でオヤスミと言ってくれるように、楽しく過ごせる時間をつくる

子供が笑顔であったかどうかは、見れば分かるだろう。

このように、結果を明確に判断できるようにしてこそ、意味のあるフィードバックが得られるのである。

まとめ

本稿でお伝えしたことは次の3点だ。

  1. 目の前のやるべきことと、自分のやりたいことが一致している場合は、現在に集中すればいい。しかしやるべきこととやりたいことにギャップが生じ、現在の延長線上に自分の願望の実現がないのであれば、目標を設定することが役に立つ。
  2. 目標を達成するのに最も重要なのは「習慣化された行動」である。習慣化された行動は自然に、簡単に実行できる。目標達成に効果的な習慣を獲得すれば、当然ながら目標達成は容易になる。
  3. 習慣を獲得するための3つのポイントは「確実に少しずつやること」「行動に習熟していくこと」「測定し、記録をとること」である。