行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

達成するまで忘れることなく、継続して行動できる人の目標設定法

目標を立てるということは、そこに達成したい何かが存在するということ。僕たちは自分の願望や思いを込めて目標を設定します。

しかし、残念なことにそうやって立てた目標の大半は忘れ去られてしまいますし、達成のために行動することも殆どありません。なぜこうなってしまうのでしょうか。

目標を立てる上で大切なことは、それが「気になるテーマ」を含んでいることと、達成についての「現実感」を持てること。

この2つのどちらかが欠けてしまうと、目標は僕たちの日常で存在感を発揮できず、いつしか忘れ去られてしまうのです。

では、気になるテーマに沿って目標を立て、しかも達成に現実感が持てるようにするにはどうすればいいか。本記事ではそれについてお伝えします。

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せっかく立てた目標を忘れるのは「気になる」状態じゃないから

”気になること”にならない目標は忘れ去られてしまう

年始になると気持ちを新たに一年の目標を立てる方は多いかと思います。

しかし、数ヶ月過ぎた頃には、自分がどんな目標を立てたか思い出せない人もまた多いでしょう。更に目標達成のために何かの行動をしたかと問われれば、殆ど行動していないと答えるのが僕たちの現実。

こんなことになってしまうのは、簡単にいうと「目標のことが気にならない」からです。

気になることは僕たちの頭の中で存在感を持ち続ける

日々を生きる僕たちには、日常的に「気になること」があります。

具体的には様々ですが、例えば来週締め切りの仕事のことが気になったり、先週あった友人とのトラブルのことが気になったり、今月末のクレジットカードの請求が気になったり、来月発売の漫画の新刊がきになったりします。

気になることは僕たちの頭の中の座席を確保していて、それが解消されるまで居座り続けています。瞬間的に忘れることはあっても、気になることである以上、日常的に思い出すことでしょう。

目標もこのように「気になることの座席」を確保できていれば、忘れてしまうということはありません。ここがとても重要なポイントです。

よく紙に書いて貼っておく等のアプローチを聞きますが、それが気になる状態になっていないと「目には入るけどそれだけ」で終わってしまいます。僕たちの日常において存在感を示すことはできないでしょう。

いまの自分のテーマに引きつけて目標を設定しよう

ではどうすれば「気になる目標」を設定することができるのでしょうか。この答えは簡単で、すでに気になっているテーマに沿って目標を立てればいいのです。

気になっているテーマには2つの種類があります。1つは欠乏、もう1つは興味関心です。

僕たちは欠乏の解消を日々願っている

欠乏とはリソースが不足していて、そのことが気になっている状態。時間が無いとか、お金が無いとか、人間関係に不足・不満を感じる等です。

例えば忙しくて時間の不足を感じているのであれば、時間のゆとりが作り出せるような目標を設定してみるといいでしょう。何かの仕事を自動化したり、効率化することを目標にします。あるいは仕事を任せられるスタッフを育てる、というものいいでしょう。

お金の不足を感じているのであれば、収入を増やす目標であったり、節約して貯金を増やす目標などが有効です。

欠乏に沿って立てた目標は、もともとが気になるテーマなので「気になる目標」になりやすいです。

興味関心に沿った目標をスムーズに日常に入り込んでくる

欠乏に続くもう1つの方法は興味関心に沿った目標を立てることです。

例えば僕は行動分析学に興味関心を持っていますが「行動分析学についてレクチャーするYoutubeチャンネルを開設する」といった目標等は機能しそうです。

あるいはいまクラッシュロワイヤルというスマホゲームに嵌っていますが「このゲームでランキング○位以内に入る」といったものも、十分に気になる目標になるでしょう。

興味関心をもとに目標を設定すると、そのテーマへの興味関心が薄れない限り、気になる目標としての存在感を持ち続けることになります。

いまの自分ができることを踏まえて適切な難易度にしよう

達成が不可能だと思えた時、目標は存在感を失う

ところが欠乏や興味関心に沿って目標を立てても、目標が気になることの地位を失うことがあります。その鍵となるのが「現実感」です。

目標は達成できることに現実感を感じられなければ、その存在感は失われてしまいます。ただのお題目に成り下がってしまうのですね。

例えばお金の不足を感じているとして、月収を100万にしよう!という目標を立てたとします。そりゃ達成できれば言うことはありませんが、そのための道筋は見えているでしょうか。

いま月収20万しかない人が100万まで増やすことは、もちろん不可能ではありません。でもここで重要なのは、自分にとって可能な目標であるかという点。世の中の誰かには可能であっても、自分には不可能と思えてしまえば目標は現実感を持たなくなります。

自分のできることを理解すれば現実感のある目標が立てられる

目標に現実感を持たせるためには、いまの自分にできることが何かを把握しておきましょう。自己理解が必要になります。

自分のできる範囲でベストを尽くしたとしたら、どの程度の目標を達成することができるでしょうか。この問について漠然と考えるのではなく、可能な限り具体的に考えてみてください。

例えば月収20万を35万まで増やすとして、具体的にどのようなプロセスで達成すればいいのでしょうか。そのプロセスは自分がベストを尽くせば実行可能なものでしょうか。

もしその問いかけに対して、ある程度の確信を持ってYesといえるのであれば、目標は現実感を持ち始めます。

気になるテーマに沿った目標であり、達成することに現実感を持てる。

それが目標を忘れることなく日々達成に向けて行動するために、欠かすことのできない要点なのです。

尚、難易度を低くしすぎると、現実感はありますが達成する魅力を失ってしまうことがあるので注意が必要です。月収が20万から21万になっても、大して嬉しくないかもしれないということですね。魅力と現実感のバランスを取って難易度を決めてください。

まとめ

本記事でお伝えしたことは、次の3点です。

  1. 漠然とした願望に沿って立てた目標は「気になるテーマ」を含んでいないため、日常のなかで存在感を失い忘れられてしまう。
  2. 目標は欠乏や興味関心のあるテーマに沿って立てる。欠乏や興味関心は、すでに「気になること」として存在感を持っているため、それに関連した目標であれば忘れることなく、日常の中で度々思い出しやすくなる。
  3. 目標は今の自分ができることを踏まえて、適切な難易度で設定する。目標を達成するまでの道筋が見えない場合、達成することに現実感が持てず、目標は気になることとしての存在感を失ってしまう。いまできることの延長線上に目標を設定しよう。