行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

考えても答えが出ない時は「考えるに値する問い」を再設定しよう

ヒトは悩みます。悩んで、悩んで、でも答えが見つからなくって、どうしたらいいのか分からなくなって思考の袋小路に迷い込んでしまいます。

気になるあの問題を解決するにはどうしたらいいのか。あれをやった方がいいのか、それとも別のこれをやるべきなのか。心配事があって、その問題を避けるためにはどうしたらいいのか。

なかなか答えを出せないでストレスだけを抱えてしまう時、僕たちはどうすればいいのでしょうか。

実はこの問題は「うまい考え方」を手に入れようとしても解消されません。そもそも根本の部分で間違ったアプローチをしている可能性があります。

答えの出ない問題に終止符を打ちたい方へ。もしかしたらこの記事がヒントになるかもしれません。

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答えが出ない問題を考え続けてはいけない

そもそも答えの無い問題について考えていないか

考えても考えても答えが出なくて悩み続けてしまうことがあります。解決の見通しが立てられなかったり、どちらを選択したらいいのか決められなかったり、問題を事前に回避する方法が見つからなかったり…。

こんな時、どうすればスッキリとした答えを見つけられるのでしょうか。

考えても答えが見つからない場合、幾つかの原因が考えられます。その最たるものが「そもそも答えのない問題について考えている」というものです。

実際に対処が必要な問題と自分で作り出した不安や心配

実際に対処が必要な問題について考えているのか、それともそこから派生して生じる不安や心配いついて考えているのか。

例えば来週が締め切りの仕事があったとします。締め切りに間に合うにはどうすればいいかを考えるのは、対処が必要な問題について考えていますのでOK。

一方で、間に合わなかったら相手からなんて言われるんだろうとか、頑張っても間に合わなかったらどうしようといったことは、問題から派生して作り出した「まだ起きていない出来事」であり、これらについて考えても答えが見つかることはありません。

また対処すべき問題について考えようとしている場合でも、問題についての理解が浅かったり、問題に関する情報が不足している場合は、考えても答えを見つけることはできません。

そのようなケースでは、考え方を改善する以前に「答えの出る問題なのか」であったり、「答えに辿り着くことが可能なのか」といった点を吟味する必要があります。

問いの設定を吟味してみよう

というわけで最初に考えるべきことは、問題の解決方法ではなくて「どのような問題について考えようとしているのか」になります。

”問い”の設定を吟味しましょう。

そのためにまず2つのことをチェックしておきます。

  1. 問題と悩みを切り分けよう
  2. 自分のコントロールできる範囲を見極めよう

あなたが対処すべき具体的な問題は何だろう

問題と悩みの切り分けについては先程も書きましたが、「対処すべき現実的な問題」なのか「そこから派生して作り出した悩み」なのかをチェックしてみてください。後者については考えても答えはでません。それよりも実際に対処すべき前者の問題について考えるべきです。

もし自分が悩みについて考えていて、答えの出ない思考の底なし沼に嵌ってしまっているようであれば、一旦その悩みから距離を取ってみましょう。頭に浮かんでくる悩みをどんどん紙に書き出し、全部出しつくした上で「そもそも対処すべき具体的な問題は何か?」を問い直してみましょう。

コントロールできる範囲が分かればベストの尽くし方も分かる

また自分のコントロールできないことについて考えている場合も、答えは見つかりません。例えば客先に営業に行く予定だけど、相手が気に入ってくれなかったらどうしよう…などと悩むのは無駄です。相手が気に入るかどうかは相手次第であり、あなたのコントロールできることではありません。

それよりも自分のコントロールできること…例えば、商品の魅力的な部分をちゃんと伝えるための準備は?とか、相手の求めているものを知るにはどうすればいいか?といったことを考えましょう。

自分のコントロールできる部分に集中し、ベストを尽くすことです。コントロールできない部分は、運を天に任せてしまいましょう。人事をつくし天命を待つ、というやつです。僕たちにできることは、自分のベストを尽くすことだけなのです。

考えるに値する問いを設定しよう

問題と悩みを切り分け、自分のコントロールできる範囲を見極めた上で、改めて「何を考えればいいか」を問い直してみてください。考えるに値する「問い」を設定することができるはずです。

答えにたどり着くための3ステップ

有効な問いを設定することができたら、ようやく答えを考えるステップに入ります。といっても実際に答えを出すのは最後の最後。まずは準備を2つ。

  1. 問題についての情報を収集する
  2. 問題について理解を深める

知らないことは考えても答えが出ない

知らないことは考えても答えは出せません。情報が必要なのです。例えば友人の誕生日にプレゼントを贈ろうと思っていたとして、友人の好みや最近購入したもの、欲しがっているものを知っているかどうかは、何をプレゼントするか決めるのに重要なヒントになります。

情報が無いまま問題について考えることは、地図がない状態で歩き回るようなもの。ゴールに辿り着くのが不可能とはいいませんが、試行錯誤が必要となり、かなり時間と労力がかかってしまうことでしょう。

ですので、ひとまず現段階であなたが入手可能な情報を集めてみてください。

答えを出す前に問題への理解を深めよう

問いが設定され、それに関連した情報が得られたら、今度は問題についての理解を深めます。このステップを省略してすぐ答えに飛びついてしまうと、浅い理解に基づいた役に立たない解決策になってしまうことが多いので注意してください。

やることは簡単です。問題について「何故?」と繰り返し問うだけ。何故この問題が起きているのか、何故いままで解決できていないのか等の問いを、自分が問題を理解したと確信できるまで繰り返してみてください。

何をもって問題を理解したと判断するかは、自分の主観で構いません。ああ!これはそういうことだったのか!という気づきがあるはず。それが自分なりの理解に到達した瞬間です。

最後の最後に答えを導く

問いを設定し、情報を集め、理解を深めました。ようやく答えを出す時です。あなたが問うべきことはこれ。

  • ではどうするか?

ここまでの全てを踏まえた上で、これからどうすればいいかを考えてみましょう。この問いも何回か繰り返してみてください。

例えば友人に誕生日プレゼントを送るとして、どうするか?という問いに「彼の弟から情報を聞いてみよう」と思いついたとして、更にもう一度「ではどうする?」と考えると「明日彼の弟に電話してみよう」となるわけです。

このように「ではどうする?」を繰り返し問うことで、実行可能な行動へと辿り着くことができます。実行可能な行動の積み重ねによって、問題は解決に向かいます。

これまでの準備を踏まえた上で見つけた行動ですので、納得感もあるはず。是非試してみてください。答えが出ずに悩み続けてしまう状態からはオサラバできますよ。

まとめ

本記事でお伝えしたことは次の3点です。

  1. 考えても答えが出ない場合、そもそも「答えの無い問い」について考えてしまっているかもしれない。特に本来の問題から派生して「自分で作り出した悩み」に答えを出そうとしている場合、思考の底なし沼にはまり込んでしまうので注意。
  2. 最も大切なのは「問い」を吟味すること。答えの質は問いの質に依存する。問題と悩みを切り分け、自分にコントロールできる範囲を認識した上で、何について考えればいいのかを検討しよう。
  3. 有効な問いが設定された上で、(1)問題についての情報を集める、(2)問題についての理解を深めることをする。これなしに答えを出しても、浅い理解に基づく答えなので問題が解決しないことが多い。問題への理解を深め、それに基づき答えを導いていこう。