行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

問題解決パターン4:面倒くさい問題の「自分なりの解決パターン」を手に入れる

セルフマネジメントの問題解決パターン、その4です。

”面倒くさくて行動できない”を行動科学で分析する

面倒くさくて行動できない、という悩みは割と耳にします。

何よりこれを書いている僕自身がとても面倒くさがりなので、面倒で行動したくないという気持ちはよく分かります。

ほんとダルいですよね。

ちょっとした行動でも面倒さが勝ってできなくなってしまいます。

例えばこんな感じ。

  • 行動の記録をとるのが面倒くさい。スマホを立ち上げて入力するだけなのに。
  • ダイエットのために食事メモを取るのだが、カロリー計算が面倒くさい。
  • 食後に皿を洗うのが面倒で、そのまま放置してしまう。その後、次の料理に必要になるまで手を付けない。

行動すればメリットと負担の両方が生じる

なぜ僕たちはここまで「面倒くさい」と感じてしまうのでしょうか。

そもそも僕たちが行動するのは、行動することで何かのメリットが享受できるからです。

部屋が暗いときに電灯をつければ、部屋が明るくなるというメリットが得られます。

喉が乾いたときに水を飲めば、喉が潤うというメリットが得られます。

駅に向かうときに走って移動すれば、駅に早く着くというメリットが得られます。

一方で、行動することそれ自体は負担にもなります。

部屋の電灯をつけたり、水を飲んだりする程度なら軽い負担が、駅まで走ったりするのであれば重めの負担がそれぞれあるはずです。

面倒くさいのは負担感の方がクローズアップされるから

僕たちが面倒くさいと感じるのは、メリットよりも行動の負担感がクローズアップされてしまうからです。

例えば負担は小さくても行動のメリットが小さければ、負担感の影響力が相対的に大きくなります。

あるいは相応のメリットがあったとしても、負担が大きな行動であればやはりそちらの影響力が大きくなるでしょう。

僕たちの「面倒くさい」を分解してみれば、このように「行動のメリットと負担感」の関係によって生じていることが分かります。

面倒さはゼロにならないので、可能な限り負担を減らすことを考える

面倒くさくて行動できないと悩んでいるとき、僕たちはつい「面倒くささを無くしたい」と考えてしまいます。

しかし、面倒さが行動のメリットと負担感の関係によって生じている以上、この「面倒くささ」をゼロにすることはできません。

なぜなら行動すればそこには必ずある程度の負担が生じるからです。

ましてや負担感がクローズアップされている状況で、その負担をゼロにするのは相当に困難でしょう。

面倒くさい問題への対処方法は2つ

ですので、面倒くさい問題への対処方針は次の2つになります。

  1. 負担感を上回るだけのメリットを行動に付加する
  2. 行動の負担を可能な限り「軽減」する工夫を使う

1の工夫については一つ前の記事で書いたことそのものです。

必要であれば下記から参照してください。

www.behavior-assist.jp

道具を変えることで負担を減らす

2の工夫はプロンプトや道具を使うことで、行動の負担を減らす方法です。

道具を変えることは、行動の負担を大きく軽減することがあります。

例えばパソコンで作業をする方であれば、古いパソコンで処理速度が低下するなか作業をすることの負担感が分かるかと思います。

そこで新しいパソコンを導入したら、いろんなことが快適に作業できるようになります。

やることは変わらなくても、このように道具を変えるだけでその負担感が一気に軽減することもあるんですね。

他にも次のように道具を変えることで負担を減らすことができます。

  • 行動の記録のとり方をスマホから手書きにする。記録用紙を印刷して、ペンと一緒に机の上に置いておく。
  • 食事メモを取るためのスマホアプリを使う。食事内容の検索およびカロリーを自動計算してもらう。

タイミングを変えることで負担を減らす

道具を変える以外でも、行動するタイミングを変えることで負担感が軽減されることもあります。

  • 食べた後の食器洗いを食後ではなく、朝起きたときのルーチンの中に組み込むことにする。

この工夫は食器洗いの面倒さがどの時点で最大化し、どの時点で最も軽減するのかを考えたものです。

食後は最も面倒に感じる一方、僕の場合は朝のルーチンの中に食器洗いを組み込むのが面倒さが一番軽くなるタイミングだったわけです。

自分なりの「面倒さとの付き合い方」を見つけていこう

繰り返しますが面倒さをゼロにすることはできません。

なので、可能な限り負担を軽減した上で、最後にちょっと頑張ってみる、というアプローチがいいかと思います。

その中で自分なりの「面倒さとの付き合い方」が身に付いていくことでしょう。