行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

問題解決パターン1:時間やお金を無駄遣いしてあとあと追い詰められる

問題の原因を分析しないと解決策は作れない

原因が異なるので解決策をそのまま持ってきても役に立たない

行動の問題に限らずですが、ある人の成功例を知ると、その人が使っていた「方法」が魅力的に見えてしまいます。

〇〇ダイエットって何回も流行っていますし、他にも仕事術や勉強法、節約術などで様々なノウハウが持て囃されます。

ところが「じゃぁ自分も!」と意気込んで、そのノウハウを持ってきても上手く問題が解決しないことが多いです。

なぜそうなるかというと、それぞれのノウハウには解消できる原因があり、そもそも異なる原因で問題が生じているとしたら、そのノウハウはあまり役に立たないからです。

解決策は原因に合わせて作る必要があります。

問題を生じさせている原因の分析から

ですので、行動の問題を解決するのであれば、問題を生じさせている原因を分析し、その分析に対応するように解決策を考慮することになります。

原因を分析し、解決策を作るための枠組みが「セルフマネジメントの枠組み」です。

とはいえ、原因が判明すれば解決策はある程度パターン化することも可能です。

そのパターンをいくつか紹介したいと思います。

リソースに余裕がありすぎるために問題が生じるパターン

今回取り上げるのは「リソースに余裕がありすぎるために問題が生じる」というパターンです。

具体的には次のような問題が起きます。

  • 夏休みは時間がたくさんあるので、すぐに宿題に取り掛からず、始業式間近になって慌てる。
  • 給料日の直後はお金に余裕があるので、買い物で予算オーバーしがち。

余裕があるときに無駄にしても大して痛くない

リソースというのは主に時間やお金になりますが、これらに余裕があるときというのは、多少無駄にしたところ痛手は少ないですよね。

夏休みが始まったころは、1日くらい宿題をしなくてもまだまだたくさん日にちが残っているので、大して気になりません。

給料日の直後はお金に余裕があるので、いつもよりもちょっとお金を使いすぎても大丈夫そうに思えます。

ところがリソースが少なくなると、今度はほんの少しの無駄でも大きな痛手になります。

夏休みの終了直前に宿題が終わっていなければ、一日も無駄にしたくないはずです。

給料日からしばらく経って金欠になったら、数百円すら使うのが惜しくなるかもしれません。

つまり、本当はリソースに余裕があるときに行動をコントロールできれば大丈夫だったのですが、ついついリソースを無駄遣いしてしまう行動が増えてしまい、その結果、しばらく経ってから問題を抱えてしまうことになるのです。

これが「リソースに余裕がありすぎることで生じる問題」です。

この問題についてもう少し詳しく知りたい方は、下記の本も読んでみてください。

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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  • 作者: センディルムッライナタン,エルダーシャフィール,Sendhil Mullainathan,Eldar Shafir,大田直子
  • 出版社/メーカー: 早川書房
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リソースの希少さを作る工夫で問題を解決する

ではこの問題に対応した解決策は何かというと「リソースの希少さ」を上手く作り出すことです。

例えば次のような工夫が考えられます。

  • 宿題をやってもいい時間を毎日10:00~12:00までとする。それ以外は宿題の教材自体を触れられない場所に隠してもらう。
  • 買い物の週単位の予算を決め、その金額しか財布に入れないようにする。あるいはクレジットカードをデビットカードに変え、口座には予算分の金額しか入れない。

いずれも直近で使えるリソースを制限する工夫になります。

いずれやってくるであろうリソースの欠乏を、小さく分割して前倒しにしてしまうのがポイントです。

他にこの考え方を応用して作った仕事術として「時間割ゲーム」というものがあります。

もし興味がありましたら下記の記事も参考にしてみてください。

www.behavior-assist.jp