行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

問題解決パターン3:行動する理由をつくる4つの方法で継続しよう

即時的な分かりやすいメリットがないと継続は難しい

行動の原理原則に従って考えるならば、行動を繰り返すのは行動したら何かのメリットを享受できるからです。

ステーキを食べれば肉やソースの味、肉汁、歯ごたえなどが得られます。

夏の暑い日にエアコンの効いた部屋に入れば、うだるような暑さがすぐに無くなります。

これを強化の法則といい、行動に関する最も基本的な法則の一つです。

一方、僕たちは長期的な取り組みを通して達成を目指すことは苦手です。

例えば次のようなものが該当します。

  • ブログのアクセス10万PVを目指して、毎日コツコツと記事を書いているが、1つの記事を書いたからといってアクセスが劇的に変わるわけではない

こういった行動しても分かりやすいメリットがすぐに得られないような活動は、どうしても継続するのが難しいのです。

ダイエットや資格試験の勉強、スポーツでのトレーニングなどもこれに該当します。

メリットを付加することで行動しやすくする

ではこういった問題にはどう対処するといいのでしょうか。

行動に明確なメリットが伴わないのが原因ですので、何らかの工夫によって意図的なメリットを追加すればいいのです。

メリットを付加するための主な手段は次の4つになります。

  1. インセンティブ
  2. プレマックの原理
  3. 他者からのフィードバック
  4. 行動契約

1. インセンティブ:ご褒美で行動を促す

1つ目の「インセンティブ」はいわゆる「ご褒美」を使った方法です。

予めどういうルールでご褒美が得られるかを決めておき、そのルール通りに行動できたらご褒美を自分に与えます。

例えば次のようにします。

  • 毎週、ブログの記事を2本以上投稿することができたら、好きな赤ワインのボトルを買って飲んでもいい。

インセンティブを使う場合の注意点は、ルールを達成しない限り、ご褒美として選択したものを我慢しなければならないところです。

ブログを書いていないのに日常的にワインを飲んでいて、ブログを書いたから追加でワインを買おう…というのでは上手く機能しないでしょう。

ルールを達成できてはじめてワインが手に入る、という点を自己制御する必要があります。

2. プレマックの原理:いつもやっていることが行動を促す

2つ目の「プレマックの原理」は構造としてはインセンティブに似ています。

ただご褒美として使うのはものではなく「活動」です。

普段から習慣的にやっていることがあれば、ターゲット行動を実行したらその活動もやっていい、というルールにしてしまうのです。

例えば次のようにします。

  • ブログ記事の作成に最低30分取り組んだら、スマホでゲームをしてもいい。

もちろんインセンティブの時と同様に、ルールを達成するまではその活動をしてはいけませんので、ある程度の自己制御は必要です。

インセンティブを使う場合でも、プレマックの原理を用いる場合でも、自分で決めたルールを守ることが難しいようであれば、ルール自体のハードルを少し下げて再挑戦してみるといいでしょう。

3. 他者からのフィードバック:他者からの注目や称賛を利用する

3つ目の「他者からのフィードバック」は、他者の力を借りてセルフマネジメントする方法です。

以前にも書きましたが、他者を上手に巻き込むこともセルフマネジメントの1つです。

例えば次のようにしてみるといいでしょう。

  • ブログ記事を投稿したらFacebookやTwitterでその記事をセルフシェアする。

FacebookやTwitterでつながっている人が多いのであれば、記事に対するイイねやFav、ときにはコメントなどももらえるかもしれません。

1つの記事を書いてアクセスが劇的に増えなくても、SNSを通して他者からのちょっとした注目や承認が得られます。

これも人によっては十分なメリットになるのです。

4. 行動契約:ペナルティも上手く使えば行動を促すメリットになる

4つ目の「行動契約」はペナルティを使った方法です。

予め行動に関する目標を設定し、目標を達成できなかったらペナルティを負う、というもの。

例えば次のようにします。

  • 毎週、1500文字以上のブログ記事を2つ更新する。守れなかった場合はペナルティとして3,000円をよくわからない団体に寄付する。

ペナルティを回避できた、というのも有効なメリットの1つです。

行動契約はペナルティの選択と、ペナルティの実行に関する工夫さえしておけば、行動を強力に促してくれます。

ここぞというところで使ってみるといいでしょう。