個人事業家のための行動分析学 - 一般社団法人行動アシストラボ

僕らが持つ本来の機能・能力を存分に発揮するために行動科学を役立てる。

時間の使い方が上手くなりたければ緊急性をコントロールできればいい

〆切ギリギリ問題、というものがあります。

〆切が迫ってきてギリギリにならないと行動できず、追い詰められてから必死に頑張ることになるという病。

僕自身も非常に身に覚えのあることでして、講座前日等は徹夜で資料の準備をしていました。

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この問題の困ったところは、時間に余裕がある時は全く行動しないという点にあります。

余裕のある時に少しでも進められていたら、〆切間際の追い込みも多少は楽になるはずなので、ほとんど手をつけられません。

何故こうなってしまうのでしょうか。

僕が怠惰だから?

それだと循環論法になってしまい本当の原因を見逃すことになってしまいます。

僕たちは自然にしているとじかんをムダにしてしまう

緊急性が高ければ時間をムダにしなくなる

〆切ギリギリ問題の根底にあるのは「緊急性」です。

緊急性が高いというのは、そのことに充てられる時間が希少であることを指しています。

イメージしてもらいたいのですが、〆切まで2週間ある時の1時間と、〆切前日の1時間とでは、後者の方の「時間の価値」が高くなるはずです。

価値の高い時間をムダにするなんてできませんので、〆切間際は一分一秒を惜しんで必死に取り組むことになります。

緊急性はある日、突然高くなる(のでそれまでは時間をムダにする)

ところが時間の価値が低い〆切2週間前などでは、いまこの1時間を仮にムダにしても、大して痛くもありません。

なのでなかなか手をつけなくなるのです。

そうしているうちに段々と時間が減っていくのですが、厄介なことに徐々に緊急性が高まっていくのではなく、ある瞬間に突然、緊急性の低い状態から高い状態へとジャンプアップしてしまうのです。

徐々に作業のスピードを上げていくのではなく、0から一気にトップスピードで動かなければいけなくなってしまいます。

〆切ギリギリ問題は繰り返される

そうやって何とか乗り切った後、緊急性はリセットされるので、再び僕たちは時間をムダにし始めます。

こうして何度も何度も〆切ギリギリ問題を繰り返すことになってしまいます。

これは僕たちが怠惰だからこうなるというよりは、行動の法則に則ったある種、自然な行動の結果でもあります。

時間の使い方が上手くなりたいなら”ゆとり”を作り出せるようになろう

緊急性の高い状態は日常生活の質を著しく低下させる

〆切ギリギリの最も緊急性の高い状態に陥ると、僕たちはその作業”しか”やることができなくなります。

それが短期間であればいいのですが、恒常化していると生活の多くの部分が犠牲になります。

僕がSEとして働いていた時、納期的に追い詰められたプロジェクトに携わっていました。

毎日終電で、帰宅しても寝るだけという生活。

幸い何とか納期に間に合わせて余裕のある状態を取り戻せたのですが、結構長い期間、そのプロジェクトのことだけをやっていたので、いざ時間に余裕ができると何をしていいか分からなくなってしまいました。

あれ、前は何をして過ごしてたっけ?みたいな状態です。

緊急性の高い状態は、パフォーマンス自体はとても上がりますが、その裏では他のあらゆることが犠牲になっていると考えてください。

中長期的に生産性が高いのは「ゆとり」の状態

というわけで緊急性の高い状態は望ましくないのですが、一方で時間に余裕がある緊急性の低い状態では、仕事を進められません。

僕たちが目指すべきなのは「ゆとり」と呼ばれる状態です。

ゆとりとは、適度なプレッシャーがある状態。

時間に余裕があるとはいえなくなってきているが、1〜2つの想定外の何かが起きてもリカバリーできる程度の「アソビ」はある。

プレッシャーとアソビの両方があることで、何かを犠牲にすることもなく、比較的高いパフォーマンスで作業を進められるようになります。

持続可能でもありますので、中長期的にみれば最も生産的な状態だといえます。

時間の使い方が上手い人 = ゆとりを自ら作り出せる人

時間の使い方が上手くなるということは、この「ゆとり」を自ら作り出すことができるようになる、ということです。

例えば講座の準備を前倒しにして取り組みたいと考えているなら、講座の準備作業についての緊急性をある程度コントロールできるようになればいいのです。

そうすれば必然的に作業が進むようになるでしょう。

具体策の一例としての「時間割ゲーム」

ゆとりを作り出すための2つの要点

では、その「ゆとり」を作り出すにはどうすればいいのでしょうか。

考え方としては「その作業に割り当てられる時間を制限すること」になります。

割り当てられる時間に制限があれば、その分だけ時間が希少になりますので、緊急性も高くなります。

1時間しか作業に使えないなら、なるべくムダにしようとはしないでしょう。

もう少し具体的にいうと次の2つが要点となります。

  1. 時間と作業を管理するための枠組みを持つ
  2. 制限された時間の範囲内でしか作業できないような強制力を使う

例えば残業を禁止している会社がありますが、これは次の2つの要点を満たした取り組みといえます。

就業時間と職場という時間と作業を管理する枠組みがあり、残業することができないという強制力があります。

これによって就業中の時間の価値が高くなり、生産性をある程度引き上げる効果が見込めます(もちろん例外はあるでしょうけど)。

時間割ゲームというツールを手に入れた

僕自身の場合でいうと、個人事業主として活動していますので、就業時間も就業規則もありません。

自由です。

一見、良いことのように感じられるかもしれませんが、時間を上手く使うという点においては非常に困難な状況です。

そこで考えたのが「時間割ゲーム」という方法でした。

学校で使っていた時間割と行動契約という強制力を組み合わせたツールです。

時間割ゲームの効果と実践方法

これが非常に上手く機能してくれて、次のような効果を発揮してくれました。

  • いつも期限ギリギリだった資料作りが、2〜3日前には完成して、ゆとりをもって当日を迎えられる。
  • 時間がないので毎日寝る直前まで仕事をしていたのが、朝10時くらいから始めて16時くらいには仕事を完了。夕方以降はプライベート、趣味、勉強などに気兼ねなく時間を充てられる。
  • 何となくやれそうという判断で始めたことに、意外と時間が取られてしまい、時間に追われるように作業していたが、今はどんな作業にどれくらいの時間がかかるかが実績から把握できているので、時間的余力と比べながら、何をやるのか、あるいは何を止めるのかの判断が正確になった。
     
    いまでは欠かすことのできないツールになっています。

この手法の詳細については下記の記事に書いてありますので、もし興味があれば読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

繰り返しますがポイントは

  1. 時間と作業を管理するための枠組みを持つ
  2. 制限された時間の範囲内でしか作業できないような強制力を使う

の2つを組み合わせて「ゆとり」を作り出すことです。

これができれば、いまよりも格段に時間の使い方が上手くなれます。