個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

30年悩んだ先延ばし癖を克服、やる気なしでも行動力を作る仕組みとは?

僕たちは先延ばしに悩むことがしばしばあります。どうしたら、〆切ギリギリになる前に、前倒しに仕事を終えられるのでしょうか。どうしたら、気の重い仕事をさっさと片付けることができるのでしょうか。どうしたら、後々のためにやっておいた方がいいことに手をつけられるのでしょうか。

その答えは、「やる気に頼ることなく行動するための仕組みを持つ」ことにあります。

そもそも先延ばしをやる気やモチベーションの問題にしてはいけません。やる気に頼るようでは行動力にムラができてしまうのです。だから、ヒトの行動の原理原則に沿った、やる気に頼らない行動するための仕組みが必要なのです。

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〆切ギリギリに悩む日々と、そんな僕が求めていたもの

先延ばし癖に苦しんだ日々

エピソード1:〆切ギリギリ問題

〆切ギリギリの限界まで先延ばししてしまいます。講座の予定があり、テキストを作らなければならないのですが、目先の仕事を優先してしまい、全く手が付いていないなんてことは良くありました。

時間に追われながら徹夜でテキストをつくり、そのままのテンションで講座を何とか乗り切った後は疲労困憊です。そのせいか2〜3日は疲れが抜けません。仕事もあまり進まなくなります。そうこうしているうちに、また次の〆切がヒタヒタと迫ってくるのです。

エピソード2:気の重い仕事を先延ばし

やりたくない仕事、というのがあります。みんなあるとは思いますが、僕の場合はあまり得意でない人宛にメールを書いたり、電話をしたりすることです。さっさと終わらせてスッキリすればいいとは思うのですが、やりたくなくてダラダラと現実逃避してしまいます。もうこれ以上はヤバイってなったところで、ようやく行動に移ります。

エピソード3:「重要かつ緊急ではない」ことに手を付けられない

やった方が確実にいいのだけど、やらなくても致命的な問題にはならない作業、というものがあります。7つの習慣などで「重要かつ緊急でない」に分類されているやつですね。

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例えば僕にとってブログの更新などが当てはまります。この手の作業は、ノッている期間は毎日更新できたりするのですが、ふと気が抜けると「今日はいいか・・・」とサボってしまいます。「今日だけ、明日から本気出そう・・・」と考えているうちに、結構な日数が経過してしまい、そうなると「もういいや・・・」となって全く手を付けない期間がやってくるのです。

前倒しでスマートに作業できるようになりたい

前倒しでスマートに作業できる自分・・・

本当は前倒しで行動したいって思うんです。時間に余裕を持って、スマートに完了させたいのです。少し前に読んだブログの記事で

作業期間の最初の2割で本気を出して、全体の8割を終わらせておくといい。そうすると不測の事態にも対応しやすいし、仕事の完成度も高まる。

といったものがありました。カッコいいです。そうなりたいです。

前倒しできるようになれば、日々を快適に過ごせそうだ

〆切前日には大凡の作業は終わっていて、最後の仕上げをするだけになっていれば、余裕をもって当日を迎えられます。何より自分の時間や体力もマネジメントしやすくなります。

さっさと終わらせたい気の重い作業も、すぐに取りかかって終わらせることができれば、快適に過ごせる時間も増えるに違いありません。後々のためにやった方がいいことも、どんどん手を付けられれば人生もますます好転していきそうです。

その日のやる気に振り回されることなく、一定の行動力を発揮したい

分かっているけどできないから困っているんだ

しかし、この手の問題は概ね「頭はではそうすればいいと分かっているが、実際の行動がそうならない」という特徴を持っています。多くの人は、どうすればいいかなんて知っているんですね。でも、知っている通りにできないから困っているわけです。

分かっているけどできないでいる時、僕たちはその原因をやる気やモチベーションに求めます。「やる気を出すにはどうしたらいいんだろう」とか、「モチベーションを高める方法は・・・」というテーマで、色々と情報を漁ります。

やる気に頼るから行動にムラが出る

ただ残念ながら、僕たちが感じるやる気やモチベーションと、僕たちの行動とはあまり関係がありません。直感的にはちょっと信じられないのですけどね。

僕たちはやる気があろうがなかろうが、一定のペースで行動することができます。

そもそもやる気に頼ってしまったら、確実に行動にはムラができます。やる気がある時はめっちゃ進むけど、やる気がなくなると殆ど仕事ができなくなります。で、これが重要なところなんですが、僕たちは「やる気を感じられない時間の方が多い」ってことなんです。

だから、やる気に頼っていては「すぐに行動し、前倒しで仕事を終えるスマートな働き方」は実現できないのです。

すぐに行動し、前倒しで仕事を終えるスマートな働き方を実現する仕組み

行動契約で活動に確実な変化を付加する

ヒトは効果の法則に従って行動する

まず最初に知っておいてもらいたいことがあります。僕たちの行動の原因についてです。

なぜ人は「そう行動する」のでしょうか。答えは簡単で、その行動によって「ある程度明確で確実な変化」が生じるからです。その変化にメリットがあるから、僕たちは行動するのです。これを「効果の法則」といいます。

この辺りの行動分析学的な行動の見方・捉え方を知りたい方は、下記の書籍などをお勧めします。

メリットの法則――行動分析学・実践編 (集英社新書)

メリットの法則――行動分析学・実践編 (集英社新書)

パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学

パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学

〆切ギリギリ問題を読み解いて分かること

例えば、〆切ギリギリになると行動できるのは、行動することで「〆切に間に合う」という変化が生じているからです。

それなら、前倒しで終わらせても「〆切に間に合う」という変化は起きるのだから、ギリギリまで行動しないのはおかしい、と思うかもしれません。しかし、これは「〆切に間に合うことのメリットの強さ」を考えると謎が解けます。

1ヶ月後の〆切に間に合うことと、明日に迫った〆切に間に合うことでは、後者の方が「間に合うこと」をより強く求めていることは間違いないでしょう。〆切ギリギリ問題は、「間に合うことを求める強さ」が一定のレベルを超えるまで、〆切が僕たちの行動を促す程の力を持たないからこそ生じるものだといえます。

行動契約という希望がある

つまり、先延ばしを止め、前倒しで行動できるようになりたいのであれば、「行動を促すだけの魅力を持った変化」を行動に伴わせればいいのです。そのための手段の一つが「行動契約」です。

行動契約とは、約束した目標を達成することができなかった場合、ペナルティを負うというものです。ペナルティの内容が十分に嫌悪的なものになっていれば、約束を守ることが行動を促すだけの力を持ちますので、僕たちは行動することができます。

行動契約の良い点は、約束の期限を自分で設定できるということにあります。つまり、前倒しで作業を進めたいのであれば、自分の思う理想のスケジュールに沿って行動契約を作ればいいのです。

一週間の時間割をゲーム感覚で設定する

一週間の作業時間枠を決める

行動契約を使うと、僕たちの活動全体が契約の示す方へと促されやすくなります。ペナルティの回避という明確で確実な変化が伴うので、行動の法則的にも当然なのですが。

それに加えて、一週間の自分のパフォーマンスを設定するための時間割を作るといいです。時間割といっても学校にあったようなものとは違い、各時間枠で何をやるかまでは決めなくてもいいです。今週一週間でどのくらいの作業時間を取ることができるか、90分1コマで時間枠を確保しておくのです。

スケジュールに合わせて一週間の作業量を決める

スケジュールがたくさん入っている週であれば、あまりたくさんの時間枠は取れないでしょうし、反対に自由になる時間が多い週であれば時間枠をたくさん取れるはずです。

僕の場合は一日で最大3つ、90分の時間枠を取れる表を用意しておき、スケジュールを見ながら月曜は1つ、火曜日は3つ、水曜日はゼロといった具合に時間枠を作っていきます。

時間割ゲーム

実際に作業する時は、作業の直前に「これから90分で終えるべきToDoのリスト」を作ります。で、ここに少しゲーム性を持たせます。90分以内に全てのToDoを終えられればゲームクリアで、90分経っても未消化のToDoが残っていればゲームオーバー。

一週間全体でみた場合は、当初想定した時間枠の7割をクリアしていれば良しとします。毎週7割をクリアすればOKという行動契約を作っているので、時間割ゲームをクリアするのに結構必死になります。

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先延ばしを無くす時間割ゲーム

先延ばししがちなことは、90分のToDoリストに入れてしまいます。そうすると、とにかく90分以内に終えなければならないことの一つになりますので、先延ばしは激減します。

気の重い作業や、後々のためにやっておいた方がいいこと等は、どんどん90分のToDoリストにいれていきましょう。

時間割と連動したポモドーロテクニック

90分の作業をポモドーロテクニックで

活動全体を行動契約で方向付けし、1週間の作業量を時間割ゲームでコントロールすると、今度は今日一日の行動をどうマネジメントするかが課題となります。基本的には時間割に設定した分だけ活動します。

1つの時間枠は90分になりますのが、その90分の作業に取り組む時にポモドーロテクニックを使います。

90分の時間枠を「1セット25分+5分」で3セットに分ける

ポモドーロテクニックは割と有名なので知っている方も結構いるのではないかと思います。25分の作業時間と5分の休憩時間を繰り返す方法です。時間枠自体は90分なので、25分+5分を1サイクルとすると、1つの時間枠で3回サイクルすることになります。

ポモドーロテクニック自体は、行動しやすいとか、集中しやすくなるとか、持続しやすい等、様々な効果がうたわれています。僕はあまり詳しく知らないので、興味がある人は検索してみるといいでしょう。

25分でできることを考えるとToDoリストが正確になる

僕の場合、ポモドーロテクニックの効果自体は割とどうでもいいのです。25分を作業時間の単位にすると、その中でできそうなことが見積りやすいんですね。時間割の90分でできることを見積もるよりも、25分できることを見積もる方が正確性が増します。時間割ゲームでは作業の直前にToDoリストを作りますが、25分×3回に区分されたリストができあがることになります。

ゲームはクリアを目指すものです。ギリギリクリアできるくらいのToDoにチャレンジするとパフォーマンスが上がります。そのためにも前提となる作業時間の見積りは、正確にできる方がいいのです。

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「行動力の仕組み」を効果的に機能させるコツ

やる気に左右されない行動マネジメントの方法として、「行動契約+時間割ゲーム+ポモドーロテクニック」の組み合わせをお伝えしました。この方法は個人的にも成果が出ていて実用的だと感じていますが、幾つかコツっぽいものもあるので、最後にそれをお伝えします。

行動契約は自分の望みと一致させる

行動契約はなんだか気が重い?

今回お伝えした方法の根幹は、全体の方向付けをする行動契約になります。しかし、行動契約にはペナルティがついてまわるため、どうしてもいいイメージを持てない人がいるようです。何だか窮屈に感じられるとか、やらされている感がでそうだとか。まぁ、実際、辛い時があるのは事実です。

しかし、行動契約で達成すべき目標の部分を、自分の望みと一致させることができていれば、そんなに嫌なものでもなくなります。

望みと実際の行動とのギャップを埋められますよ!

僕たちは自分の望んでいる通りに行動したいと思っているはずです。一方で実際の行動はそうなりません。そのギャップに苦しんでいるからこそ、真綿に首を絞められるように、ジワジワと何かに浸食され日々が辛くなってきます。

行動契約という手段を使うことで、望みと実際の行動とのギャップが埋められるのだとしたら、それはとても有効なことではないかと思うのです。時々はペナルティを負うことになって「ああ・・・orz」と思ったりもしますが、大抵はペナルティを回避できるように頑張ることができて、目標を達成できます。

できなかったことができるようになることの価値

ただ頑張るだけではできなかったことが、行動契約によってできるようになる。そこに僕はとても価値を感じますし(時々生じるペナルティを考慮に入れても!)、だからこそ頑張ることができた嬉しさというのも皆さんに体験していただけたらなぁ、と願うのです。

行動契約もペナルティも、僕たちの敵ではありません。行動を支援してくれる強力な味方なのです。

時間割ゲームでは7割の達成を目指し、達成率を行動契約する

時間割ゲームの難易度は「ギリギリクリアできそう」に設定する

時間割ゲームは前述したように、その週の時間枠の7割をクリアすることを目指してください。どうせなら10割を目指した方がいいようにも思えますが、なぜ7割なのでしょうか。その理由は、時間割ゲームの難易度を「ギリギリでクリアできそうだな」というくらいに設定しておきたいからです。

なので、毎週7割のクリアを行動契約しておくことをお勧めします。

パフォーマンスを引き出すためのクリア基準

時間割ゲームの目的は、僕たちのパフォーマンスを引き出すことにあります。ギリギリを狙うということは、当然、クリアに失敗することもあります。クリアできるかどうか・・・という緊張感が僕たちのパフォーマンスを引き出してくれます。

〆切ギリギリに追い込まれると、結構なパフォーマンスを発揮できると思いますが、あれを瞬間的に引き出しているようなものだと考えてください。

なぜ「7割クリア」なのか

クリア基準を10割にしてしまうと、一度でも失敗するともうその週の基準をクリアすることができなくなってしまいます。そうすると、残りの時間枠はやってもやらなくても同じ、ということになります。一方、難易度を下げて5割くらいにすると、結構失敗しても大丈夫なので、なぁなぁになってやはりパフォーマンスが引き出せなくなります。

僕自身の経験では7割くらいがちょうど良いです。8割は厳しすぎました。もちろん人によって多少違いがあるでしょうから、6〜8割辺りでちょうど良い所を探してみてください。

25分の枠を効果的に活用する

A4一枚で一日のToDoを管理する

その日、1日分のToDoはA4サイズの裏紙を使って管理しています。下記の画像は2コマ(つまり90分×2)のToDoが記載されたものです。90分の作業の前に、これからやることを書き出して、タイマーをスタートさせます。

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ちなみに作業中にふと思い出したことは、いちいち覚えていたくないので紙の端にメモっておくようにしています。こういった簡易的でアナログな手法でも、十分に実用に耐えます。

時間の管理は自動化して甘くならないように

ポモドーロのサイクルを管理するのにはタイマーを使いますが、タイマーは自動で次のフェーズに進むようにしておくといいです。つまり、25分の作業が終わったら強制的に5分の休憩が始まり、休憩が終わったら自動的に25分の作業がスタートする、という感じです。

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タイマーの動作を手動にすると、どうしても時間の管理に妥協が出てきます。あと数秒で作業が終わりそうな時にタイムアップ!なんてことも時々ありますが、手動でタイマー管理していると、そういう時に自分に甘くなってしまうのです。

この辺りの判定がゆるゆるになると、時間割ゲームから緊張感が失われます。それは僕たちのパフォーマンスの低下を招き、最初に求めていた「すぐに行動し、前倒しで仕事を終えるスマートな働き方」の実現から遠ざかることになります。

#尚、この記事はタイムアップ4秒前に書き終えました。ヒヤヒヤものでエキサイティングです^^;

正確に見積もれるからギリギリの基準を設定できる

最後のポイントが25分という短い時間に収まる作業を見積もる点です。先ほども書きましたが、90分に収まるToDoリストを作るよりも、25分に収まるToDoリストを3つ作る方が正確性が増します。

最初は90分のToDoリストを作っていたのですが、どうも実際の作業時間とのズレが出てきてしまい、困っていました。何故かというと、ある程度の正確さで作業時間が見積もれないと、時間割ゲームでギリギリの基準を設定できないからです。これはゲームの緊張感を保ち、パフォーマンスを引き出すためには重要なポイントでした。

25分×3という見積り方は、いまのところちょうど良い時間になっています。

まとめ

やる気に頼るとムラが出る。やる気に頼らない行動の仕組みが必要だ。

先延ばし癖に苦しんでいた僕は、「すぐに行動できて、前倒しで仕事を終えるスマートな働き方」に憧れていました。でも、やる気やモチベーションが安定せず、どうにもコンスタントに行動できそうにありません。

だから、やる気やモチベーションを出す方法を探そうとしていたのですが、それだと結局行動にムラがでてきてしまうことが分かりました。やる気に頼るのではなく、やる気がなくても行動できるための仕組みが必要だと気づいたのです。

すぐに行動し、前倒しで仕事を終えるスマートな働き方を実現する仕組み

やる気に頼らず行動するための仕組みは、次の3つで構成されています。

  1. 行動契約
  2. 時間割ゲーム
  3. ポモドーロテクニック

行動契約で活動全体の方向性を設定し、時間割ゲームで今週達成したいパフォーマンスの基準を決め、最後にポモドーロテクニックを活用して今日一日の作業サイクルを作ります。

この3つの仕組みを組み合わせることで、やる気がなくても行動するための仕組みができあがります。〆切ギリギリになることなく前倒しできたり、気の重い仕事をさっさと終わらせたり、後々のためにやっておいた方がいいことに手をつけられたりするようになります。

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「行動力の仕組み」を効果的に機能させるコツ

行動力の仕組みを効果的に機能させるために、次の3つを意識してください。

  1. 行動契約の内容は、自分の望みと一致させること
  2. 時間割ゲームのクリア基準は7割くらいにすること
  3. 25分の枠を時間管理、ToDo管理に活用すること

そうすることで行動力の仕組みが、あなたの「すぐに行動し、前倒しで仕事を終えるスマートな働き方」を実現するための強力な武器になってくれます。

頑張るだけではできなかったことができるようになる嬉しさ。それを体験してもらえればと願っています。