個人事業家のための行動分析学 - 一般社団法人行動アシストラボ

僕らが持つ本来の機能・能力を存分に発揮するために行動科学を役立てる。

頭でっかちな起業家でも成長できる「4ステップの行動指針」

2009年に独立し、9年弱が経過しました。
僕はもともと起業家としての能力はさほど高くなくて、ちょっとした成果を出すのにも一苦労、という感じでした。
それでも9年くらい取り組んでいれば、相応に経験を積めるし、状況に応じて必要な手が打てるようになってくるものです。

起業って、せっかく始めても続かない人が多いです。
3年も経つと同じ時期に始めた人の大半が、再就職したりバイトしたりしています。
スタートダッシュに成功して華々しい成果をあげた人もいたのですが。

一方でビジネスの才能に恵まれていたわけではない僕が、9年も続けてこられたのは不思議なことです。
思うにそれは「起業家として成長するための4ステップ」を実践できていたから。

行動科学の観点からも理にかなっているこの学びの4ステップを

  • 何だか地に足の付いた活動ができていない
  • いまいち成長を実感できない

と感じている起業家にお伝えします。

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頭でっかちな起業家はなかなか成果を出せない

冒頭にも書きましたが、僕は起業家としての能力は高くありません。
会社員の頃はSEをやっていて、専門技術には熱心でしたが、契約を取るような営業活動とか一切したことないです。
周りの経営者をみていると売上の立て方が本当に上手くて、才能があるってこういうことかなぁ、などと考えてしまいます(笑)

起業で成功する能力があると思い込みたかったあの頃

でも自分のことをそんな風に評価できるようになったのはここ2〜3年のことで、起業してしばらくは「自分には起業で成功する能力がある」と思い込みたがっていました。
意欲は十分、勉強もたくさん。
勉強すればするほどビジネスのことを理解できたし、何かを問われればスラスラと答えられて、いかにも「分かっている人」のように振る舞えました。

もちろんそれは勘違いで、実際には分かったつもりのイタイ「起業家もどき」だったわけです。
勉強熱心な人ほど注意してください。
本を読んだり、セミナーを受けたりして、何かを「分かろう」としてはいけません。
理解できた!と思えても、実際には分かっていないことがほとんど。

知識は現実の課題に合わせてアジャストしないと使いものにならない

知識は現実の課題に合わせてアジャストしなければ、使いものになりません。
起業について、ビジネスについて分かっている人程、アジャストの仕方が上手です。
もう少し正確にいうと「こういうやり方してもムダだな」と、あきらかに失敗しそうなアジャストの仕方を排除できるようになります。

例えばビジネスで重要な活動の一つに「リサーチ」があります。
ある商品が顧客に受け入れられるかを知るために、最初に小さくテストします。
それで上手くいきそうだと分かってから、時間や労力を集中させます。

ではあなたがいまからリサーチをするとして、具体的にはどんなことを実行しますか?

起業した当初の僕には効果的な選択肢が思い浮かびませんでした。
アイデアが受け入れられるか知りたいのに、どうしたら検証できるかわからないんです。
せいぜいブログで意見を募ってみるくらいで、全く反応がもらえなくてガッカリしたものです。

これはリサーチに限った話ではありません。
ビジネスに関するあらゆる知識を、具体的に活用することができないでいました。
知識を現実に合わせてアジャストする能力に欠けていたのです。
(いまの僕が思うに、効果的なリサーチには「関心ある人々とのつながり」が必要なのです)

しかしながら、そんな僕にも実践できていたことがあります。
3年以内に辞めていく人が多い中、さしてビジネスの才能に恵まれていたわけではない僕が9年も続けてこられたのは、これが大きかったのではないかと思うのです。

分かったつもりの4ステップ vs 成長につながる4ステップ

頭でっかちな起業家を作る「分かったつもりの4ステップ」

まず頭でっかちな起業家が陥りがちな「分かったつもりの4ステップ」をみていきます。

  1. 知る
  2. 分かる
  3. やってみる
  4. できる

これが分かったつもりの4ステップ。
何だか当たり前の学びのプロセスのようにも思えますが、そこに罠があります。

あなたが何かをできるようになったときのことを、ちょっと思い出してみてください。
例えば自転車はどうでしょうか。
いまあなたが自転車に乗れるとしたら、おそらくどうやって乗ればいいか、確信を持って「分かっている」のではないでしょうか。

では乗れるように前はどうだったか。
色々と乗り方についてアドバイスをもらったりしたものの、体感として分かったようには思えなかったはずです。

現実の問題解決に役立つレベルで「分かった」といえるのは、実はそれが「できる」ようになった後なのです。
できたという経験をする前は、知ることと分かることの間に大した違いはありません。
納得したり気付きを得たりすると何だか分かったような気になりますが、それは勘違い。
実際にはまだまだ役に立たない知識なのです。

成果の出せる起業家として成長するための4ステップ

あなたが成果の出せる起業家として成長したいのであれば、次の4ステップを実践することです。

  1. 知る
  2. やってみる
  3. できた
  4. 分かった

知ったことは実際にやってみて、一定の結果を得ることができて、ようやく分かったとなるわけです。

「できて、分かった」

この小さな成功を積み重ねていくと、経験に裏打ちされた効果的な行動のレパートリーが増え、知識を現実にアジャストする能力が成長します。

つまり知識を現実にアジャストするとは、知識を自分なりに実績のある行動に変換したり、実績のある行動と関連させて解釈することなのです。
経験に裏打ちされた行動のレパートリーが乏しければ、知識は宙に浮いたままになり、効果的に活用することもできません。

成長の4ステップを実践するためのヒント

成長の4ステップが機能するかどうかの分水嶺は「やってみる」にあります。
やらなければ失敗することはありませんが、成功することもありません。
成功がなければ、経験に裏打ちされた行動を獲得することもできず、ずっと頭でっかちなままになってしまいます。

では「やってみる」ためには何が必要か。
最後にこの点に触れておきます。

「知って、やってみる」ために必要な情報とは

やってみるためには「実行可能な行動」を見つける必要がある

知ったことをやってみるためには、あなたが実際に実行可能な行動を見つける必要があります。

冒頭に商品のリサーチの例をあげましたが、僕がやったことは「ブログで意見を募ってみる」でえした。
当時の状況を考えれば、これは効果的なリサーチ方法とは言えません。
しかし、僕にとって実行可能な行動として思いついたのは、これだけだったのです。
そしてそれでOKなのです。

学びの4ステップの肝は「やってみる」にあります。
リサーチのためにブログで意見を募ってみた段階で、学びの4ステップを進めていることになります。
たとえ効果に疑念があったとしても、他に行動が思い付かないのであれば、待ち続けるよりはやってみた方がいいでしょう。

上手くいっている人を真似れば自然とあなたオリジナルになる

なるべく効果的な行動で試したいなら、上手くできている人に師事しましょう。
いまは多くの人が情報発信をしていますし、本を出版する人も増えました。
たくさんの情報が世の中にあふれていますので、探してみれば出会えるものです。

人真似は嫌だと思う人もいるかもしれませんが、心配しなくても最終的に分かる段階に来れば必然的にあなたのオリジナルになります。
なぜなら「できたという経験」はあなた固有のものなので、それに基づく理解もまたあなたにしかない情報なのです。
なので安心して真似から始めてみてください。

注意点としては、情報探しにばかり時間を割きすぎないこと。
目的は学びの4ステップを進めることであり、そのために「やってみる」ことなので、2〜3つの実行可能な行動が見つかったら、すぐに試してみてください。
できれば複数の行動を試してみることをおすすめします(その分、経験が増えるので)。

「できた」ことを自覚しやすい工夫をしておく

小さな成功の積み重ねによって起業家としての能力が成長する

学びの4ステップで得る成功は小さな結果です。

例えばブログのPVを伸ばしたいと考えていて、タイトルにキーワードを含めるといいと知りました。
そこで以前に書いた記事のタイトルを見直し、検索エンジンに再インデックスしてもらいます。
その結果、1日辺り5PV前後伸びたとしましょう。

これは小さな成功なのです。
もちろん大きな成果とはいえません。
でも、タイトルを改善することでPVが伸びることを経験できました。
であれば、もっと上手くタイトルをつけられたら、もっとPVが伸びるかもしれません。
そんな次のチャレンジの土台になります。

小さな成功でも積み重ねていけば、誰も持っていないあなただけのオリジナルなノウハウになります。
そんな経験に基づくノウハウが集まり、あなたの起業家としての能力が伸びていくのです。

小さな結果を自覚するために記録を取ろう

しかし小さな結果は小さいがゆえに、変化を捉えづらいという問題があります。

ある記事が1日あたり5PV伸びたとして、漫然とブログ全体のアクセスを見ていたのでは、おそらく気づくことができないでしょう。
Google Analyticsなどを導入しておき、変更前後の記事あたりのPVの変化を比較できるようにしておく必要があります。

明確に数字にすることで、小さな変化を自覚することができます。
何かを試してみる場合、そこには期待する結果があるはず。
上手くいった場合、その結果はどのような具体的な形になって現れるのでしょうか。
それを考え、取り組みの効果を記録・測定するようにしましょう。

僕たちの行動の記録は、僕たちが世界に変化を与えた証拠です。
そんな証拠が積もって僕たちの自信になっていくのです。

「できなかった」は学びの質を高めてくれる

できなかったという経験が学びの目的意識を変える

ところで「やってみたけど何の変化も起きなかった」ということもあるでしょう。
つまり「できなかった」ということなのですが、学びのステップにおいてはこれも重要なリソースになります。

期待した結果が得られなかった場合、試すべき行動を変える必要があるかもしれません。
そのため「知る」のステップに戻るのですが、試してみて上手くいかなかったという経験があるので、学びの質が高まるのです。

例えば、ブログ記事のタイトルを変えてみてPVが全く変わらなかったとしましょう。
そうすると「 なぜこのタイトルではPVが伸びなかったのか?」とか「タイトルを変えるとPVが伸びるのは本当だろうか?」といった問いを持った状態で学ぶことになります。
学びの目的意識が変わるんですね。

存分にガッカリしたら何食わぬ顔で学びに戻ろう

期待した結果が得られなかった時、多くの人は意気消沈してしまうもの。
起業家といえど人間なので、それは仕方がありません。
でも、学びのステップを前提とすれば、できなかったという結果は学びの質を高めてくれる経験の1つだと捉えられます。
気分転換したら、また「知る → やってみる」というプロセスに戻りましょう。

実際に学びのステップを回し続けていくと、「できて分かったこと」と「できずに課題として残ったこと」が混ざった状態で知識を収集することになります。
小さな成功体験と小さな失敗体験とが化学反応を起こすように学びを促進してくれます。

成功しようと失敗しようと、それは僕たちが成長するためのリソースなのです。

まとめ

本記事でお伝えしたことは次の3点です。

  1. 成果を出す起業家になりたければ、知識を現実の課題に合わせてアジャストする能力を伸ばそう。知識をアジャストするとは、知識を経験に裏打ちされた行動に変換したり、関連させて解釈したりすること。
  2. 分かったつもりの4ステップ「知る→分かる→やってみる→できる」では、頭でっかちの起業家になってしまう。本当に分かるのは「できた」後。よって起業家として成長したいなら「知る→やってみる→できた→分かった」の4ステップを実践しよう。
  3. やってみるために必要なのは、自分が実行可能な行動を見つけること。たとえ効果に疑念があっても、待ち続けるよりは試してみた方がいい。できたことを自覚するために、小さな結果を捉えられる記録を取っておこう。また期待した結果が得られなかったとしても、学びの質を高めるリソースとなる。