行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

現実逃避せずに目の前の作業に集中するための行動マネジメント法

Q.
集中力を保って作業を続けられません。我慢できずにゲームをしたり、動画を観たりします。作業の完了まで時間がかかってしまいます。

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A.
完了まで時間がかかる作業は、途中で現実逃避に嵌まりやすいです。中間作業で明確なメリットが得られるように、トークンと行動契約を併用して使ってみると良いです。

解説:トークンを使って変化を作り、行動契約でメリットを付加する

中間作業はメリットが乏しいので集中し続けるのが難しい

ゲームや動画は分かりやすいメリットがあるので、ついやってしまいがちな現実逃避ですよね。なのでそれを抑制する工夫も必要かもしれませんが、ただ根本的にはいまやっている作業に「続ける理由」が無いのが問題です。

完了まである程度時間がかかる作業というのは、複数のステップで構成されていることが多いです。例えばブログを書く作業は、次のようなステップになります。

  1. 今日のテーマを決める
  2. そのテーマについてどんなことを書くか考える
  3. 考えたことを文章にする
  4. アイキャッチ画像を写真サイトで探す
  5. ブログを更新する

この場合、問題は最後のステップが完了しないと、メリットのある変化を得られない点です。

ブログを書くことの一番分かりやすいメリットは、ブログの記事が増えるということでしょう。ブログの記事が完成するのは、上記ステップでいうと5番目の「ブログを更新する」を実行した後です。1〜4をやっている間は、メリットのある変化は得られないのです。

メリットの乏しさが負担感につながり現実逃避しやすい環境を作る

メリットのある変化がないことは、行動の継続に不利に働きます。意思の力でもって続けるのは難しいでしょうし、それでもやろうとすれば負担感や面倒さを感じるのではないかと思います。

負担感や面倒さというのは、なるべくなら避けたいものです。その避けるために一番手軽にやれることが、ゲームだったり動画だったりするわけです。なので、ついついそちらの方へと現実逃避してしまうのですね。

それもこれも負担感や面倒さの原因となっている「メリットある変化が起きない」のせいです。こいつを何とかしないと作業に集中しにくい状況が続きます。

トークンと行動契約を使った行動マネジメント

一つの方法としてトークンと行動契約を使う方法を提案します。

またブログの例を使って説明します。現状では最後のステップのみ、直接的なメリットが生じている状況。これを途中のステップでも分かりやすいメリットが生じるように工夫します。

まず導入するのがトークン。トークンと書くと分かり難いので、ポイントにしましょうか。例えば、1〜5の作業を終わらせたタイミングで、それぞれ1ポイント獲得とします。1つのブログ記事を完成させると、合計5ポイントになりますね。

次に使うのが行動契約。行動契約は設定した行動目標を達成できなかったらペナルティを負う、というものです。詳しくは下記の記事を読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

この行動契約を使って、例えば次のような制約を作ります。

  • ブログを書く作業について、1週間の間に10ポイント獲得することを行動目標とする。この目標が守れなかった場合は、$30のペナルティとする。

片方だけじゃなくて、トークンと行動契約の両方を使うことに意味がある

このような工夫を導入すると、中間作業についてもポイント獲得という分かりやすい変化が生じます。加えて、ポイントの獲得は「行動目標の達成」および「ペナルティの回避」というメリットにつながっています。

ポイントを獲得する、十分な理由があるのです。なのでポイントを獲得するための行動が起きます。

先ほどの例では全てのステップを1ポイントにしましが、重たいステップがあるようなら重み付けを変えても良いかもしれません。この辺りはちょうど良い塩梅を試してみるといいでしょう。

以上、トークン&行動契約を活用して、中間作業に分かりやすくかつメリットのある変化を作り出す工夫でした。