個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

器用貧乏?ある程度までは上手くいくけど大きな成果は出ない。

ある程度までは上手くいくのだけど、大きな成果は出せないって悩み。器用貧乏という言葉が頭をよぎって、思わず肩を落としてしまいます。

自分なりに頑張っているつもりなのですけどね。

しかし、取り組んでいるものの特性によって、努力と成果とが全く比例しないことがあります。一部の人は著しい成果を上げていて、その他大勢は殆ど成果が出ていないような分野です。

このような特性をもつ分野で活動する場合は、ネットワーク効果の働きを意識した工夫が必要になります。今回はそんな内容です。

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活動領域の特性を知れば頑張り方の方向性が見える

成果の出方には、活動領域の特性によって2つのパターンがあります。自分の活動領域がどちらのパターンに属するかによって、成果を出すための頑張り方が全く異なります。

成果の出方が正規分布になっている場合は努力の質と量

1つ目のパターンは、成果の出方が正規分布になるケース。この場合、平均的な成果を出す人が最も多くなります。それに比べると良い成果・悪い成果を出す人は少なくなります。

学校の成績などが該当しますが、概ね努力の質と量が成果と比例する傾向にありますので、このパターンに該当する場合はストレートに努力するといいでしょう。例であげた学校の成績であれば、勉強時間を増やす、勉強に仕方を工夫するいった努力は、概ね成績の向上に役立つはずです。

成果の出方が著しく偏っている場合はネットワーク効果を意識

2つ目のパターンは、成果の出方が著しく偏っているケース。この場合、少数のエクセレントな成果を出す人がいる一方、その他の大多数の人は乏しい成果しか得られません。

ビジネスの売上であるとか、ブログのアクセス数、SNSのフォロワー数といったものが該当します。

成果が偏ってしまうのは「ネットワーク効果」が働いているからで、このパターンに該当する場合は、ストレートに努力するだけでなく、人々のつながり(ネットワーク)を意識した工夫が求められます。

大きな成果の背景には人々の支持がある

ネットワーク効果がどう働くかをイメージするために、ブログを例に考えてみましょう。

例えばすでに多くの人から支持されているブログがあるとします。そのようなブログは、新しい記事を書くと多くの人がSNSで広めてくれる可能性がありますし、Googleなどでも検索で上位表示されアクセスを集められます。

このような状況が成立するには「人々の支持」が集まる必要があります。その支持を集めるのが難しいところではあるのですが、一旦人々の支持が集まり始めると加速度的に成果が出るようになるのが特徴です。

ただ、全てのブログが多くの人に支持されるなどということはありません。全体の0.1%程度(あるいはもっと少ない)が多数に支持される一方で、その他の殆どのブログは日々僅かなアクセスしか集まりません。

上記のような現象を「ネットワーク効果」といいます。著しく大きな成果の背景には、ほぼ間違いなくネットワーク効果の影響があります。

つまり大きな成果を出したいのであれば、ネットワーク効果を意識した工夫が必要になるのです。

偶然を味方につける”実験と工夫”

ネットワークは頑健であり脆弱である

しかし、難しいのはネットワーク効果がどう働くかを事前に予測できない点です。

ネットワークは頑健であり脆弱である、という言葉あります。

多くの人の支持を集めるのではないかと予想して試してみた施策が、僅かの反応すら得られなかった…というケースはあります。ネットワークは僕たちの意図した通りに変化しません。そういう意味でネットワークは頑健です。

一方で何かがブームになったり、炎上したりすることがあります。その支持の広がり方は凄まじいスピードで、いままでAが支持されてたはずなのに短期間のうちにBが支持されるようになった…などということがあります。この意味でネットワークは脆弱です。

ネットワークの性質が頑健な方に現れるか、それとも脆弱な方に現れるかは予想できません。偶然そうなったとしたいえないのです。

偶然を掴むために”たくさん試す”

ですので、僕たちとしては偶然が味方をしてくれるような取り組み方をするしかありません。偶然を味方につける唯一の方法は、たくさん試すことです。

サイコロで1を出すのに、1回だけしか振れないのと10回振っていいのでは1が出る可能性が違います。偶然でもなんでも、上手くいくためのキッカケを掴む方法はたくさん試すことだけです。

小さなサイズのネットワーク内で繰り返し活動する

一方でネットワーク効果が働きやすいように、少しばかり工夫をしてみるといいでしょう。ネットワーク効果は人々が相互作用するときに生じます。相互作用の結果、人々の変化がある一定数を超えた時、そのネットワークは脆弱さを見せます。

そうするとまずネットワークのサイズは意識しておきたいところです。100人のネットワークを変化させるのと10000人のネットワークを変化させるのでは、後者の方が圧倒的に大変です。最初は小さなサイズのネットワークに対して働きかけるといいでしょう。

また基本的には同じ人のつながりの中で、繰り返し活動した方がいいでしょう。100人のグループが3つあったとして、そのうちの1つに集中するのと、3つに分散して活動するのとでは、前者の方が人々に働きかける回数が多くなります。その分、ネットワークが変化を起こす可能性が高くなります。

とはいえ、そもそもの変化の兆しを得られるかどうかは偶然が作用しますので、最初はいくつかのネットワークに同時並行にアプローチした方がいいでしょう。しかし、一旦兆しを掴んだなら、そのネットワークに集中して、繰り返し活動してみるといいでしょう。

まとめ

本記事では次の3つについてお伝えしました。

  1. 活動領域の特性により、成果の出方には2つの傾向がある。1つは成果が正規分布するパターンで、この場合は努力と成果とが比例しやすい。もう1つは成果が著しく偏って分布するパターンで、この場合は単に努力するだけでなく、ネットワーク効果を意識した工夫が必要となる。
  2. 多くの人々が支持することによってネットワーク効果が働く。多数の支持を得るごく僅かな人たちと、殆ど支持を得られない大多数の人たちとがいる。
  3. ネットワークの動きには偶然性があるため、狙ってネットワーク効果を働かせるのは難しい。たくさん試すことによって偶然を味方につけ、ネットワークの変化の兆しを掴もう。またネットワークに変化を起こしたいのであれば、小さなサイズのネットワーク内で繰り返し活動した方が良い。