行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

誰かの役に立つから成功できる。

個人的な活動が社会的に意義を持つ瞬間

僕は行動分析学という心理学が好きです。最初は一人で本を読んでいるだけで十分楽しかった。学んだことをドヤ顔でブログに書いたりってのも、楽しかったのです。

ある時、行動分析学を気楽に学ぶ場が日本には少ないことに気づきました。正確には、薄々気づいていて、でもハッキリと意識していなかっただけなのですが、それが明確な言葉になって仲間と共有されたんです。

大学院でもない、独学でもない、行動分析学を学ぶための第三の場を作ろう。ーそれは僕たちの活動が社会的なものになった瞬間でした。

個人的成功から社会的成功へのシフト

個人的な成功と社会的な成功には違いがあります。

個人的な成功は、自分が満足できればいい趣味の世界です。他の人が何と言おうとも、自分が満足できていれば成功です。逆にいえば、他人がどれだけ賞賛してくれようとも、自分で満足できていないなら成功とはいえません。とても個人的な世界での話です。

一方、社会的な成功は、「社会」である以上、他者が介在することになります。誰かがあなたの活動を「良いもの」と評価してくれるから、社会的な成功が得られるのです。自分だけがどれだけ良いものだと思っていても、それが社会の誰にも伝わらず、評価されないのでは、残念ながら社会的な成功とはいえません。これも逆にいえば、自分がどれだけダメだと考えていても、周囲から評価され求められているのであれば、それは社会的に認められている(認められつつある)ということでしょう。

ヒトモノカネは、評価され信頼された人たちから得られる

全ては人を介してやってくる

社会的に何かを得ようとすれば、全ては「人を介して」得ることとなります。

SNSで支持されるためには、支持してくれる人たち、フォローしてくれる人たちが必要です。ビジネスで成果を得るには、お客様が必要です。会社で出世するためには、あなたの仕事ぶりを評価してくれる人が必要です。仲間達と楽しく盛り上がるためには、あなたと楽しんでくれる仲間が必要です。

ひとりひとりの個人的評価から始まる

社会的な活動は人を介して成立します。自分ひとりで頑張ったところで、大して広がりはしませんし、なかなか評価されることもありません。あなたを評価し、信頼する人たちがいてこそ、その人達の言葉に乗って、あなたの活動は徐々に広まっていきます。

最初は1人1人が「個人として」あなたの活動を評価してくれるだけでしょう。何人かがあなたのやっていることを知っていて、評価してくれいる状態。でも、それが「種」なのです。あなたのことを少しずつ広めてくれるかもしれません。会話の中にあなたの話題が出ることがあるのかもしれません。あなたの書いた記事をシェアしてくれたり、コメントしに来てくれたりするかもしれません。

「○○といえばあなた」は第一人者の証

あなたのことを評価してくれる人たちのそんな小さな行動が、あなたの活動を広めることに貢献してくれるのです。あなたを評価する人が、集団の1/4にまで広がったとき、それまで個人個人の評価だったものが集団からの評価となります。

ここでいう集団とは、ある程度「同じ人たち」が「一定の頻度で繰り返しコミュニケーション」する人のつながりのことを指しています。その人のつながりの中で、あなたは「○○といえばあなた」という評価と信頼を確立したことになります。

○○においての第一選択はあなたになるのです。映画について聞くならまずはあなたから。ブログの運営について聞くなら。料理について聞くなら。海外旅行について聞くなら。チームマネジメントについて聞くなら。○○に入った何かについての第一人者があなたなのです。

何をすることを通して、誰に、どう役に立つのかを見つける

評価の根本にあるものは「役に立つ」

「○○といえばあなた」という集団からの評価を確立できれば、社会的な成果を得たも同然の状態といえます。しかし、そのような集団からの評価も、最初は目の前の1人からスタートします。人々からの評価の根本にあるものは「役に立つ」です。

あなたの活動は、具体的にどこの誰に役に立とうとしているものなのでしょうか。是非、「具体的に」考えてみてください。どこかで聞いたことがあるような話、想像の世界のことではなく、あなたが生きる現実の社会の話として表現してみてください。

あなたが関心を向けられる問題は?

あなたがいままで実際に見てきた世界の、何に関心を向け、どんな問題を解決し、どんな未来を作ろうとしているのでしょうか。そしてその活動を通して、誰に、どう役に立とうとしているのでしょうか。 あなたが中心的に取り組む問題を決めてください。ここでいう問題とは、理想と現実のギャップを生み出しているもののことです。つまり、あなたがどんな理想を描くかによって、問題の形も変わります。理想の描き方は、あなたの活動そのものに大きな影響を与えることになります。

あるいは理想を描くことよりも、問題に気づくことに優れている場合もあるかもしれません。みんなが当たり前と放置しているようなことを問題と捉え、それを何とかした方がいいと考えるかもしれません。それもあなたの社会的活動の方針を定める指針となるでしょう。

問題から先に考える場合は、その問題がどうなると理想的なのかを描きましょう。あなたが潜在的に気づいている未来の姿を具体化するのです。

悩みとベネフィットのフレームワーク

また、誰にどう役立とうとしているかを考えるためには、「悩みとベネフィットについてのフレームワーク」を活用すると考えやすくなるかもしれません。ここで注意して欲しいのは、こういったフレームワークは、あくまでも視点を得るための道具であるということです。

最初からフレームワークに沿って考えようとすると、本来あなたが関心を向けたい領域から視点が逸れてしまいます。先にあなたが関心を向けたいものがあって、それについて具体的に考えるためのヒントとして使う、チェックリスト代わりに使う、という程度に収めるのがいいでしょう。

  悩み ベネフィット
1.お金 収入や貯金が少ない、お金が減る、支払への不安、借金など 収入やお金が増える、節約できるなど
2.時間 時間がかかる、忙しい・余暇が無いなど 時間がかからない・短縮できる、自由な時間があるなど
3.身体 労力や手間がかかる、健康に不安がある、身体的に負担が大きい、苦痛があるなど 労力・手間が省ける、活力に満ちている、身体的に楽、苦痛が和らぐなど
4.頭脳 考えることに負担感がある、分からないなど 考えなくて済む、考え方が分かるなど
5.精神 気苦労がある、気を遣う、不安、精神的に辛いなど 安心できる、ワクワクする、楽しい、感動する、安らぎ・心地よさ、閃き、夢中になれる、共感できる、信頼できる・してもらえるなど

このフレームワークについて詳しく知りたい方は、下記の書籍をオススメします。

楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方

楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方

活動の意義を旗として掲げる

旗を掲げる意味

あなたがどんな活動を通して、誰に、どのように役に立とうとしているのかは、あなたの活動の「旗」となります。大義といってもいいです。

これは少しきれい事に聞こえてしまうかもしれませんね。でも、活動の意義があるかどうかは、とても大切なのです。活動に一貫性を持たせるために、活動に継続性を持たせるために、人々があなたの活動をどう認知するかのために、etc。メリットはたくさんあります。

しかし、仮にそれらのメリットが無かったとしても、それでも尚、あなたの掲げる「旗」は大切なのです。なぜなら、あなたの旗は「この活動に積極的に取り組む」ことを自ら選んだ証だからです。

”それをする意味”を自ら選ぶ

少し話が逸れますが、あなたは人生はどんなものだと考えているでしょうか。僕の人生観では「人生に意味はない」です。波が寄せて引くことに意味はありません。太陽が東から昇り西に沈むことにも意味はありません。地球がいまこの瞬間に自転をしていることにも意味はありません。ただ現象としてそこにあるだけです。僕たちの人生も、やはりそれ自体が何か意味を持っているのではなく、ただそこにあるだけなのだと思います。

一方で次のようにも考えています。僕たちは「人生の意味を自ら選ぶ」ことはできます。生まれながらに人生に意味が備わっているのではなく、僕たちが自分で能動的に意味を選ぶものだと考えています。 あなたの活動の意義も、これと同じです。あなたがあなたの活動の「旗」を掲げることは、あなたがその活動に積極的に関わろうとしている意思の表れです。あなたの関心がそこにある、そこに力を注いでいるのだ、という宣言なのです。

それはあなた自身とあなたの活動に共鳴する人々の支えとなることでしょう。