行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

独自性、それは”選ばれる”ために最も大切なもの。

他にないものだから、向こうから人がやってくる

行動分析学という心理学の講座を開講しています。おかげさまで毎回、そこそこの人数が集まってくれます。参加した人に聞いてみると「数年前に行動分析学の本を読んだが、その時はこうして学べるところが無かった」と言ってもらえます。

行動分析学を学べる場を探すと、僕たちの講座以外ほとんど見つけることができません。定期的に開催している所は皆無に等しいです。だからこそ、僕たちのところに来てくれるのです。他に選択肢が無いのです。

あなた独自の道を見つける

役に立てることを示す機会は貴重だ

社会的な成功は、「あなたの活動が役に立つこと」を人々から評価され、信頼されてから得られます。つまり、まずは誰かに役に立つ機会がないことには、あなたの活動が役に立つことを示すこともできません。

人の役に立つ機会って、意外と貴重なのです。通常、あなたが出会う殆どの人は、あなたのことを「役に立つ」という意味で必要とはしていません(人間関係として必要とはしていると思いますが)。あなたはあなたが役に立てる人に、なかなか出会うことができないのです。

そんな状態で無理矢理知り合いの役に立とうとすれば、それは単なる押し売りです。評価されないばかりか、引かれてしまって関係性を壊してしまうかもしれませんね。

他の人と同じ道を行く限り、あなたの代わりはたくさん居る

では、どうしたら人の役に立つ機会を得られるのでしょうか。

答えは「注目を得るに相応しい活動をすること」になります。そのためにも、みんなと同じようなことをやっていてはいけません。もしみんなと同じことをやっていたとしたら、あなたは大勢の中の1人でしかありませんので、注目を得るのは難しくなります。

この話はビジネスの世界で考えてみると分かりやすくなります。サービスや商品の提供側と、そのサービスを受け取る側との間には、往々にして認識のズレがあります。

サービスを提供する側は、自分たちに他とは違う点があると主張します。例えば、品質の違いであったり、機能の違いであったり、顧客対応の違いであったり、価格の違いであったり。 しかし、それらは受け取る側からみれば、同じカテゴリの中での比較材料というだけに過ぎません。比べることが前提になっているのです。

これは独自の道を歩もうとすることとは全く別のものです。喩えていうなら、同じ道を他よりも速く走ろうとしているだけなのです。このような場合、他も追随してくれば途端に優位性は失われてしまいます。あなたの代わりは容易に見つかるでしょう。

あなたの独自の道を歩もう

あなたはあなたの独自の道を見つけなければなりません。コンセプトやカテゴリそのものが独自のものであるべきです。

ただそれは、「世界であなたしかやってないことを見つける」という意味ではありません。あなたが持っている「人のつながりの中」で、あなたしかやっていないことで独自性を打ち出せばいいのです。

あなたのつながりの中で、放置されている既知の問題はないでしょうか。人々に影響があるにも関わらず、解決されないまま仕方なく受け入れられているようなことです。あるいは、誰も気づいていない未知の問題はないでしょうか。あなたがあなた独自の理想を持つことで、他の人からは見えない新しい問題が見えてくるかもしれません。

そのような問題が見つかったら、何かあなたにできることはないか考えてみてください。あなたはその問題に、どのように関わることを望むでしょうか。問題をあなたの興味・関心に沿って解決するためには、いままでに無いどのようなものが必要でしょうか。

こういった問いに答えていくことが、あなたが独自性を手に入れるきっかけとなります。

繰り返しますが「世界にただ一つ」である必要はありません。あなたがつながっている人間関係の中(例えば会社やサークル、学校のクラスなど)で、あなた独自の道を見つければいいのです。

他に比べる相手がいないから、あなたを選ぶしかない

あなたを選ぶしかないなら、機会は自ずと訪れる

なぜ独自の道を見つけなければならないのでしょうか。

答えは簡単で、あなたのやっていることが独自のものであれば、誰とも比べられないからです。比べる相手がいないので、そのことについて何かを必要としているときは、あなたを選ぶしかないのです。その分、人の役に立つ機会を得られる可能性が高くなります。

人の役に立つ機会が増えれば、あなたが真っ当に取り組む限り、次第に評価と信頼を確立していくことになるでしょう。人々から「○○ならあなた」と評価され、信頼されるようになれば、自然と成果はあなたのもとにやってきます。

独自性を築くのも試行錯誤

独自の道を見つけることは、簡単ではありません。短時間で机の上で考えてすぐに思いつく、なんてものではないのです。繰り返し繰り返し考えながら、これだ!と思えるものを見つけ出します。そうやって苦労して見つけたものであっても、後になってみてやっぱり違うかも・・・となってしまうことは当たり前にあることです。

それでもあなたが社会的な成功を得たいのであれば、そのために人々に役立つ機会を得たいと望むのであれば、独自性を探すことを続けなければなりません。

とはいえ闇雲に探すのも効率が悪すぎますので、下記の本などを参考にしてみると良いと思います。

コンセプトのつくりかた

コンセプトのつくりかた

社会のことを知れば知るほど、独自性の確立は容易になる

独自性は想像の世界から作るものではありません。曖昧で抽象的な社会ではなく、具体的な社会の中から見出すものなのです。あなたが既につながっている人々の中に潜む問題を扱いましょう。

関わる人に影響があるにも関わらず、放置されている問題は何でしょうか。それを見出すには、あなたがつながっている社会のことをより良く知らなければなりません。情報収集(リサーチ)が必要なのです。

そのためには、いろいろな人の話を聞くといいのかもしれませんし、何かの試みを仕掛けてみて反応があるか確認してみるといいのかもしれません。

いずれにせよ、対象とする社会について知れば知るほど、独自性の確立に有利に働くことでしょう。反対に、社会についての情報がないようだと、扱う問題が曖昧かつ抽象的なものになってしまいます。もしかしたら、見当違いのことをやってしまうかもしれません。それでは人の役に立つことはできないのです。

思いは未来に馳せても、実際の活動は現実に立脚したものにしてください。

その社会の1/4に浸透すれば独自性の成立

独自性が浸透したと言える条件

一生懸命考えて、リサーチして見つけた独自性ですが、これでいくと決めれば即独自性の成立かというとそういうわけではありません。あなたが活動する社会やつながりの中で、1/4の人々が「○○といえばあなた」と信頼してくれるようになって、ようやくあなたの独自性が浸透したと言えます。

50人くらいの部署であれば13人前後、20人くらいのサークルであれば5人、3000人くらいの町であれば750人、日本全国であれば1億2千万人のうちの3000万人。対象とする社会によってその具体的な規模は変わります。

いずれにせよ、その社会、そのつながりの中で1/4の評価と信頼を獲得することができれば、あなたはその社会において第一人者となります。そしてその評価と信頼は、あなたの今後の活動を力強く後押ししてくれることでしょう。

独自性を提供した見返りは・・・

例えば、所属する部署であなたが「マーケティングの第一人者」として認識されれば、あなたの話は次第に他の部署へと拡がっていきます。もしかしたら、あなたの下には他の部署からの依頼や問い合わせが来るようになるかもしれません。そこでまた真っ当に、真摯に活動していけば、いつか会社全体から評価と信頼を獲得することになるでしょう。

更に続きがあります。あなたのことは今度は会社の外へと拡がることになります。会社の顧客であったり、パートナー企業であったり、会社に所属する人たちの個人的なつながりであったり。

もちろん、この世界にはマーケティングの専門家は他にも居るでしょうから、どこかで限界は訪れます。そうであったとしても、あなたはあなたに可能な範囲で、独自性を浸透させていくことができます。独自性が浸透した規模に応じて、あなたは多くの人に選ばれ、そして役立つ機会を得ることになります。

それが「未知の良さ」つまり独自性を社会に提供したあなたへの報酬なのです。