個人事業家・フリーランスのための行動分析学 - 行動アシストラボ 矢野浩史

僕たちは行動分析学をもっと”使える”道具にする。

現実逃避の原因を解消する超スモールステップ法

ゴールが遠い仕事って大変です。さっさと片付けたいのに簡単には終わらないから気が重くなりますよね。でも、やった方がいいし、やらなきゃとも思います。その板挟みの結果、僕たちは現実逃避を選んでしまいます。

ゴールが遠い仕事は何故、こんなにも僕たちの逃避行動を引っ張り出してくれるのでしょうか。それは仕事を遠ざける手段が現実逃避しかないからなのです。気の重い仕事は無くしてしまいたい。でも簡単には終わらない。よろしい、ならば現実逃避だ!逃避している間は仕事のことを忘れられますからね。

・・・と、まぁ、ゴールの遠い仕事に取り組むことは現実逃避をすることとほぼイコールになってしまうのです。

そんな僕たちの現実逃避癖を解消する方法が、本記事でお伝えする「超スモールステップ法」です。単なるスモールステップじゃなくて、超スモールステップ。

更にこれにスモールタイムという方法と行動契約を組み合わせると、仕事中の現実逃避は激減します。面白そうだと感じた方は、是非続きを読んでみてください。

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逃避行動はなぜ起きるのか?

目の間の仕事が「避けたいもの」になってしまう3つの理由

人が行動するのは、その行動にメリットがあるからです。どのようなメリットかというと2つだけ。

  • 欲しているものを得られる
  • 避けたいものを遠ざけられる

現実逃避も行動です。書かなくても分かるかもしれませんが、逃避行動に伴うメリットは「避けたいものを遠ざけられる」ですね。

では、現実逃避における「避けたいもの」は何かといえば、いうまでも無く目の前の仕事です。なぜ目の前の仕事が避けたいものになってしまうかというと、その理由は3つです。

  1. 嫌な作業がある、嫌な人との接触がある
  2. ゴールが遠くて作業しても少しずつしか近づかない
  3. 手が止まりやすい仕事、すぐに次のアクションに移れない

上記のような仕事を遠ざけるための手段が現実逃避なのです。

この記事では2つ目「ゴールが遠くて作業しても少しずつしか近づかない」からの逃避について取り上げます。逃避してしまう原因を取り除いたり、緩和する方法をお伝えします。

尚、他の2つについての対策も知りたい方は、下記の記事も読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

ゴールが遠い仕事はなかなか完了が得られない・・・だから逃げるッ!

ゴールが遠い仕事から逃げたくなるのは何故でしょうか。それは「完了」が簡単に得られないためです。

完了とは仕事が終了して無くなるということです。仕事自体が「避けたいもの」になっている場合、それを遠ざける手段の一つは仕事を終わらせてしまうことでしょう。そうできれば恐らくベストです。

しかし、ゴールが遠い仕事は簡単には終わらせることができません。簡単に終わらない場合、仕事を遠ざける方法は現実逃避しかなくなってしまうのです。

ゴールが遠い仕事に対処する最も簡単な方法が現実逃避だから、僕たちは現実逃避を選択してしまいます。これは行動の法則に従ったごく当たり前の選択です。この点を抑えた上で対策を練っていきましょう。

超スモールステップで小さな完了をたくさん作ろう

スモールステップに分解すれば小さな完了をたくさん得られる

なかなか仕事が終わらないのであれば自分で工夫して完了を作りましょう。

ゴールが遠い仕事は「仕事のかたまり」としては大きすぎます。必要なのは分解です。徹底的な分解です。

仕事のかたまりを具体的な行動に分解していくことを、行動分析学では課題分析といいます。いまからやる仕事を数分以内に終了できる小さなタスクに分解していきましょう。それができれば僕たちは数分ごとに小さな完了を得られるようになります。

例えば「ブログを書く」場合、次のように分解します。

  • テーマを決める
  • テーマについて書きたいことを練る
  • 書きたいことを箇条書きにする
  • 文章化する
  • ブログに投稿する

「超」スモールステップに分解してみよう

しかし現実逃避が生じる場合、これでも大きすぎます。数分以内に完了するタスクにはなっていません。更に細かく分解すれば、次のようになります。

  1. テーマを決める
  2. テーマについて「何故そうなっているのか」の理由を幾つか思いつくものをあげる
  3. 思いついた理由の1つについて、より根本的な原因を探る
  4. 必要に応じて他の理由についても同様に根本原因を探る(3を繰り返す)
  5. 自分なりに納得した原因について、思いつく対策を幾つかあげる
  6. 思いついた対策の一つについて、より具体的な方法を検討する
  7. 必要に応じて他の対策についても具体的に検討する(6を繰り返す)
  8. ブログで伝えることを3つのポイントにまとめる
  9. 文章を書くアプリを立ち上げて、仮タイトルと大見出し3つを書き込む
  10. 1つ目の大見出しについて書くことを箇条書きにする
  11. 2つ目の大見出しについて書くことを箇条書きにする
  12. 3つ目の大見出しについて書くことを箇条書きにする
  13. 1つ目の大見出しの箇条書きを文章化する
  14. 2つ目の大見出しの箇条書きを文章化する
  15. 3つ目の大見出しの箇条書きを文章化する
  16. 小見出しをつける
  17. 記事のまとめを書く
  18. 記事の冒頭文章を書く
  19. 記事のタイトルを再検討する
  20. アイキャッチ画像として使えるものを探す
  21. はてなブログに投稿する

いかがでしょうか。概ね数分程度で終わるタスクがリストアップされています。これが僕にとって「ブログを書く」という活動を細かく分解したものになります。

最初の分解の仕方がスモールステップであれば、その次の分解の仕方は「超スモールステップ」ですね。ブログを書く場合、僕は21個もの「完了」を得ることができます。

大きな仕事はマンダラートを使ってカテゴリ分けしてみよう

しかし、ゴールが遠い仕事は大抵「ブログを書く」よりも更に大きなかたまりになっていることがあります。

講座のテキストを作らなければならないとか、動画教材を制作しなければならないと、あるツールをプログラミングしなければならないとか、会社のホームページをリニューアルしなきゃいけないとか。どれもブログを書くことよりも大きな仕事で、簡単には終わりそうにありません。

こういう場合は、仕事をある程度のカテゴリに分解することから始めましょう。こういう時に使えるのが「マンダラート」です。普通のマンダラートは3×3の9マスでできていますが、この9マスを更に3×3で並べたものを使います。下記のような感じ。

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プロ野球選手の大谷翔平氏が高校時代に使っていたとのことで、一時話題になったこともありました。このシートに記入していくと、大きな仕事も良い感じに分解されていきます。

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その後、いまから取り組む仕事について「超スモールステップ」に分解してみてください。このシート上で十分に分解できている場合は、そのまま取り組んでもらても大丈夫です。

スモールタイム法を使って仕事に集中する

スモールステップと合わせて使っていきたいのが「スモールタイム」です。

まず仕事に取り組む単位時間を決めてください。例えば90分単位で取り組むと決めたら、スタートしてから一息つくまで90分間、仕事に取り組み続けることになります。

単位時間を決めたら、仕事に取りかかる前にその単位時間内終わらせるタスクを決めてください。単位時間が90分であれば、いまからの90分で終えるべきことをToDoリストに書き出します。

これは是非、ゲーム感覚で取り組んでみてもらいたいです。超スモールステップであれば、90分で15〜20個くらいのタスクを終わらせることができるはず。行けそうだと思えるギリギリくらいを設定して、制限時間内に全てを終わらせられるかチャレンジしてみましょう。

もしクリアすることができれば、時間内にリストアップしたToDoを全て終わらせたという「少し大きめの完了」を得ることができます。

超スモールステップ&スモールタイム。この準備を整えることさえできれば、ゴールが遠い仕事からの現実逃避はかなり改善されることでしょう。

時間が失われることに明確なペナルティを設定して退路を断つ

逃避してもすぐに嫌なことは起きない・・・それが問題だ

ダメ押しでもう一つ工夫します。

僕たちが手軽に現実逃避を使ってしまうのは、逃避することに明確なペナルティが無いためです。

本当は時間が失われるし、後々気が重くなったり後悔したりするのですから、逃避には十分に嫌なことが伴っています。そうであれば現実逃避なんてしないようも思えますが、これらは逃避をしている瞬間に起きることではないため、僕たちの選択にあまり影響を与えません。

現実逃避自体を抑制したいのであれば、逃避することに明確なペナルティを付けてしまうのがいいでしょう。

行動契約を組み合わせると効果抜群

先ほどの超スモールステップ&スモールタイプに「行動契約」を組み合わせれば効果抜群です。例えば「毎日90分の仕事に3回取り組んで、必ず2回はクリアしなければならない」という約束事を作ります。そしてその約束を守れなかった場合に、ペナルティが生じるようにするのです。

ペナルティは自分が嫌なものであれば何でもいいですが、金銭的なものにするとあまり難しく考えなくて済むかもしれません。StickK.comという行動契約用のWebサイトがありますので、そういったものを活用してみるといいでしょう。StickK.comの具体的な使い方は下記を読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

このやり方のポイントは、90分しかタスクを消化する時間を取れないにもかかわらず、それを現実逃避で無駄にすると約束を果たせなくてペナルティが生じるという点です。時間が失われることに、明確なデメリットを付加しているのです。

こうしておけば、少なくとも90分の仕事に取り組んでいる間は現実逃避が少なくなることでしょう。

尚、この方法を発展させた「時間割ゲーム」という方法もあります。下記で紹介していますので、こちらも興味があれば読んでみてください。

www.behavior-assist.jp

まとめ

この記事でお伝えしたことは次の3点になります。

  1. ゴールが遠い仕事は「仕事を終わらせる」という方法で仕事を遠ざけることが難しい。ゴールが遠い仕事を遠ざける最も簡単な方法が現実逃避なので、僕たちは現実逃避を繰り返してしまう。
  2. 仕事を超スモールステップに分解し「小さな完了」がたくさん得られるように工夫しよう。またスモールタイムを組み合わせることによって「少し大きな完了」も得ることができる。
  3. ダメ押しとして仕事中に現実逃避することに、明確なペナルティが伴うようにしよう。超スモールステップ&スモールタイムに行動契約を組み合わせれば、仕事中の現実逃避対策が完璧に!