行動科学実践の手引き。

人が自由に行動し、自由を謳歌するために、行動科学(行動分析学)の知識と実用的なノウハウを記す。

先延ばしの心理:先延ばしは何故起きるのか?どうすればいいのか?

Q.
先延ばしは、どのような心理によって発生するのか?何度も同じ失敗を繰り返しているのに、改善できない。

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photo credit: hufse via photopin cc

Q.
先延ばししてるときって、本当にスッキリしないですよね。やらなきゃと分かっているのに、なかなか手が付けられないでいることにストレスを感じてしまいます。

だから、そんな先延ばしとは無縁の自分になりたいなんて思っちゃうわけですが、なかなかそうもいかないのが現実だったりします。先延ばしってのは、誰にでも、いつでも起き得るものなんですね。

なぜそんな先延ばしが起きてしまうのかという理由と、ではそれとどう付き合っていけばいいのかってのを書いてみたいと思います。

なぜ僕たちは先延ばしのどツボに嵌るのか。

僕たちが先延ばしをしている時、本来やらなければならないと考えている行動を実行に移せていないわけです。やらなければいけない行動があって、それを実行できていない。それは何故でしょうか。

これは単純な話で、「行動する理由 < 行動しない理由」になっているだけですね。その行動を実行することに大小の嫌なことがあるんだけど、一方で、大したメリットを感じられないといったところです。

先延ばしすればするほど、先延ばししやすくなる罠

個人的に先延ばしが大きなストレスになるのは、次のようなケースだと感じています。

  • 行動する理由が「行動しないと嫌なことが起きるので、行動しなければならない」
  • 行動できない理由が「行動すると嫌なことが起きそう」

この状態に嵌ってしまうと、結構辛いんですよね。例えば、次のようなケースを想定してみてください。

仕事でミスがあってそのことを報告するメールを送信しなければならないが、そのメールを送信すると怒られてしまう。

嫌だなぁと思いながらも「えいや!」と終わらせてしまえるなら問題は無いのですが、一旦先延ばしにしてしまうと徐々に辛さが増してきます。何故かというと、このパターンの場合、時間の経過と共に「嫌なことの強度」が強くなっていくからなんですね。

報告しないでいるというのは仕事上マズイことだと思います。時間が経てば経つほどマズくなっていきます。なので、報告しないでいることのストレスが強くなってきます。

一方で、報告が遅れるということは、怒られる可能性が高くなります。それも厳しく怒られる可能性が高くなってきます。嫌なことですよね。

行動すべきだという理由が強くなる一方で、行動したくないという理由も強くなります。進むも退くもできない、がんじがらめの状態です。辛い。時間が経てば経つほど辛くなってきます。

嫌なことが起きるのを阻止したい僕らが持つリスク

このようなパターンに嵌ってしまうのは、主に「嫌なことが発生するのを阻止したい」という理由で行動しなければならない場合です。そういう理由で行動しなければならないケースは、たくさんあります。上司やお客様、先生、親に怒られるのを阻止するために〜、恋人や友達に嫌われるのを阻止するために〜、などなど。

で、すぐに行動できるなら大丈夫なのですが、問題は一度躓いてしまうと先ほどのようなドツボに嵌りやすいってことですね。

やらないと怒られてしまいそうなので、やらなきゃいけないけどやれなかった。 ⇒ やばい怒られるかも。やらないともっと怒られるよね…でも怒られるし ⇒ やばいやばい、超怒られるかも。早くやらないととんでもなく怒られる…でも超怒られるし ⇒ 以下略

嫌なことが発生するのを阻止したいという理由の行動には、こんなリスクが隠れていることが多いように思います。

先延ばしを緩和するにはどうすればいいか?

行動と価値との関係を言語化してみる

では、どうすればいいかという話になりますが、完璧な解決策っていうのは多分ありません。が、先延ばしの程度を緩和することは可能でしょう。

僕のオススメは行動する理由を増やすことです。理由を増やすというのは、具体的には行動して得られるメリットの「言語化」です。とりわけ自分の価値観を刺激するような理由を、行動の中に見出すことができるといいです。

僕自身の例でいうと、「トラブルが起きたけど、こういう時こそやるべきことをやれるのがプロとしてカッコよさを発揮するところだよね!」ってのがありました(・∀・)

上手くハマると一時的にですが、行動する気になっちゃうので面白いもんです。一時的ってのがポイントなので、やる気になった時にすぐに行動しちゃってください。

行動を分解することで嫌なことを切り離す

すぐに行動に移す際に役に立つのが、行動を小さく分解してみることです。メールを書くにしても、例えば、

  • 書くべき内容を箇条書きにする
  • メールの最初と最後に入れる定型文を書く
  • 箇条書きにしたものを文章にしてみる
  • 全体を調整する
  • 思い切って送信ボタンを押す

といったように分解することが可能です。

細かすぎるように感じるかもしれませんが、先延ばしで苦しんでいる場合には、これぐらい細かく分割してしまった方がいいです。ちょっとずつですが進みやすくなります。

それと、行動することで何か嫌なことが起きるのを懸念している場合は、上記の場合、最後の送信ボタンを押すを実行しなければ、その嫌なことは起きないってことを認識してください。まり、それ以外の行動と嫌なことは関係ないってことです。

行動しないでいる居心地の悪さを安易に解消しない

あと注意点としては、先延ばしってのは「行動しないでいる居心地の悪さ」を感じているわけですが、これを安易に解消するのは止めた方がいい場合が多いです。居心地の悪さを解消するというのは、もともとあった「行動しなければ嫌なことが起きる」という行動する理由の解消でもあります。ので、ますます行動しなくなります。

精神的に負担がかかりすぎているとか、偏った思考で行動しなければ…と思い込んでいる場合は別ですが、日常的なケースにおいては「行動しないでいる居心地の悪さ」を解消することは、先延ばし問題を悪化させることが多いように感じます。